水処理・浄水計算 戻る
環境工学

水処理・浄水計算ツール

凝集沈殿・砂ろ過・塩素消毒の3タブで浄水プロセスを計算。薬品注入量・CT値・ジアルジア不活化率をリアルタイムにグラフ表示します。

パラメータ設定
原水濁度 (NTU)
NTU
流量 Q (m³/h)
m³/h
凝集剤投入量 D (mg/L)
mg/L
ろ過速度 v (m/h)
m/h
ろ層厚さ L (m)
m
流量 Q (m³/h)
m³/h
媒体係数 Ce
mg/L
流量 Q (m³/h)
m³/h
接触時間 T (min)
min
目標CT値 (mg/L·min)
mg/L·min
計算結果
薬品量
(g/s)
除去率
(%)
処理後
(NTU)
水頭損失
(m)
必要面積
(m²)
ろ過負荷
(m/h)
必要濃度
(mg/L)
塩素注入量
(g/s)
不活化
(log)
凝集剤投入量 vs 濁度除去率
メイン
理論・主要公式
薬品量 = D × Q ÷ 3600 [g/s]
除去率は濁度-投入量の経験曲線で推算。
沈殿速度 ∝ (粒径)² (Stokes則)
ΔH = Ce × v × L [m]
面積 A = Q / v [m²]
設計基準: v = 3〜7 m/h
CT = C × T [mg/L·min]
必要濃度 C = CT目標 / T
ジアルジア3-log基準: CT≈6 (25℃)

水処理・浄水計算ツールとは

🙋
このツールで「凝集沈殿」って何が計算できるんですか?上の「原水濁度」や「凝集剤投入量」のスライダーを動かすと何が変わるんですか?
🎓
大まかに言うと、どれだけ汚れた水をきれいにできるかのシミュレーションだね。例えば、濁った川の水(原水濁度)に、PAC(ポリ塩化アルミニウム)などの凝集剤をどれだけ入れるか(投入量)を決めるんだ。スライダーを動かすと、グラフの「濁度除去率」がリアルタイムで変わるよ。実務では、ジャーテストという実験で最適な薬品量を探るんだが、このツールはその経験則を再現しているんだ。
🙋
え、じゃあ「薬品量 = D × Q ÷ 3600 [g/s]」って表示されるのは、実際の浄水場で1秒間にどれだけの薬品をポンプで送ってる計算なんですか?
🎓
その通り!D (mg/L)は濃度、Q (m³/h)は処理する水量だ。この二つを掛けて単位を合わせると、実際の薬品注入ポンプの設定に直結する毎秒の質量(g/s)が求まるんだ。ツールの「流量 Q」を変えてみると、薬品量がどう変わるかすぐにわかるよ。現場では、この値をもとに薬液タンクの容量やポンプの能力を設計するんだ。
🙋
「砂ろ過」のところで「ろ過速度」を速くすると「水頭損失」が増えてますね。これはフィルターが目詰まりしやすくなるということですか?
🎓
鋭いね!その通り。水が砂の間を速く通り抜けようとすると、抵抗(水頭損失)が大きくなる。ツールで使っている「ΔH = Ce × v × L」という式は、きれいな砂の状態での初期の抵抗を表しているんだ。v(ろ過速度)を3 m/hから7 m/hに上げてみてごらん。ΔHが2倍以上に跳ね上がるだろう?設計では、この速度が速すぎると目詰まりが早くなり、バックウォッシュ(逆洗浄)の回数が増えてしまうんだ。

よくある質問

Dの標準的な値は原水の濁度やpHにより異なりますが、一般的な目安として10~50 mg/Lの範囲で設定します。まずは原水水質を基にジャーテストで最適濃度を求め、その値をツールに入力してください。
Carman-Kozeny式は清浄な砂層を前提としています。実際の運転では、ろ過の進行に伴い砂層に濁質が蓄積し、水頭損失が増加します。定期的な逆洗(バックウォッシュ)を行い、初期状態に戻すことが重要です。
Tは塩素が水と接触する有効時間で、通常は塩素注入点から最初の需要家までの配管容積を処理水量で除して求めます。タンク内の場合は、タンク容量を流量で割った値を目安にしてください。
CT値が不足している可能性があります。塩素注入量を増やすか、接触時間を長くする(例:配管延長や接触タンクの設置)ことでCT値を向上させてください。また、水温が低いと不活化効率が低下するため、冬季は特に注意が必要です。

実世界での応用

浄水場の基本設計:このツールで扱う凝集・ろ過・消毒の計算は、新しい浄水場を計画する際の初期検討(プレ設計)に不可欠です。処理水量(Q)を設定し、各プロセスに必要な薬品量、ろ過池の面積、接触槽の容量などを大まかに見積もることができます。

薬品費の概算:凝集剤の注入量(D)と処理水量(Q)から求められる「薬品量(g/s)」は、年間の薬品消費量とコストを計算する基礎データとなります。原水の濁度が季節によって変わることを想定し、コストシミュレーションにも活用できます。

ろ過設備の運転管理:「ろ過速度(v)」と「水頭損失(ΔH)」の関係は、実際のろ過池の運転状態をモニタリングする際の基本です。計算された初期水頭損失よりも実測値が大きくなれば、目詰まりが進行していると判断し、逆洗浄のタイミングを決定する目安になります。

消毒プロセスの安全性確認:「CT値」の計算は、水道法で定められた消毒基準を満たしているかを確認するために用いられます。特に、クリプトスポリジウムやジアルジアなどの塩素耐性が強い病原体に対して、接触時間(T)を十分に確保できているかの検証に使われます。

よくある誤解と注意点

このツールを使い始める際、特に初学者が陥りがちなポイントがいくつかあります。まず一つ目は、「凝集沈殿の除去率が100%に近づけば良い」という思い込みです。確かにツールではスライダーを動かせば高除去率を実現できますが、実務では薬品コストとスラッジ(発生汚泥)処理費が跳ね上がります。例えば、原水濁度50 NTUで除去率95%を達成するのにPACを40 mg/L必要とする場合、その半分の20 mg/Lで除去率85%が得られれば、コスト対効果を考えて後者を選ぶことが多いんです。

二つ目は、「砂ろ過の水頭損失ΔHだけを見て設計を判断する」こと。ツールで計算されるΔHは、あくまで「きれいな砂」の初期値です。実際の運転では、捕捉した汚れで目詰まりが進み、ΔHは時間とともに増加します。設計では、この初期ΔHに余裕を見て、目詰まりによる損失上昇分も含めた全体の許容損失(通常2.5〜3 m)の中で、バックウォッシュの頻度を決めます。

三つ目は消毒計算で、「CT値が基準を超えていれば絶対安全」と考えてしまう点。ツールは理想的な完全混合を仮定した計算です。しかし実際の接触槽では、流速分布のムラや短絡流が発生し、一部の水が短時間で通り抜けてしまうことがあります。そのため、計算上のCT値が基準の1.5倍や2倍あることを目標に設計する「安全率」の概念が不可欠です。

使い方ガイド

  1. 「入口濁度」に原水の濁度値(NTU)を入力します。浄水場では通常5~50NTU、大雨時は100NTU以上になるため、想定される最悪ケースを設定してください。
  2. 「凝集剤注入量」にPAC(ポリ塩化アルミニウム)またはAlumの設計用量を入力します。一般的に5~30mg/Lの範囲で、濁度が高いほど増量が必要です。
  3. 「砂ろ過流量」と「ろ過面積」から自動計算されるろ過負荷(m/h)を確認し、5~10m/h範囲内に収まるよう調整します。必要濃度はCT値計算に用いられ、0.1N除去にはCT値が必要です。
  4. シミュレーション実行後、除去率(%)、処理後濁度(NTU)、水頭損失(m)、塩素注入量(g/s)の結果を確認し、設計基準との適合性を判定します。

具体的な計算例

入口濁度40NTU、流量500m³/h、PAC注入量15mg/Lの浄水場を想定します。凝集沈殿で約70%除去され、処理後濁度は12NTUに低下します。砂ろ過面積50m²の場合、ろ過負荷は10m/hになり、水頭損失は約0.8mです。その後、塩素消毒でCT値35(塩素濃度1.0mg/L、接触時間35分)を確保し、ジアルジア(Giardia)対数除去値(LRV)2.0を達成する場合、塩素注入量は約0.139g/sになります。

実務での注意点

  1. PAC過剰投与は浄水のアルミニウム残留濃度上昇を招くため、濁度と薬品量は定期的な瓶詰め試験で最適化してください。
  2. 砂ろ過の水頭損失が1.5mを超える場合は、逆洗が必要な信号です。運用管理基準を0.5~1.2m範囲に設定しましょう。
  3. 塩素注入量はCT値計算に基づきますが、給水栓での遊離塩素濃度0.2~0.5mg/Lを維持するため、配水管での減衰も考慮してください。
  4. 原水水質変動が大きい場合、入口濁度を常時監視し、PAC自動注入システムの導入を検討してください。