WBGT 暑熱指数シミュレーター 戻る
労働衛生シミュレーター

WBGT(湿球黒球温度)暑熱指数シミュレーター

乾球温度・相対湿度・日射量から WBGT 暑熱指数をリアルタイム算出。屋内・屋外モードを切り替えて、厚生労働省・JIS Z 8504 基準の危険度区分を確認できます。

パラメータ設定
乾球温度 T_a
°C
相対湿度 RH
%
日射量
W/m²
環境(0=屋外 / 1=屋内)

屋外は日射の輻射熱を含む式 WBGT=0.7T_w+0.2T_g+0.1T_a、屋内は日射なしの式 WBGT=0.7T_w+0.3T_g を使います。

計算結果
自然湿球温度 T_w (Stull)
黒球温度 T_g(推定)
WBGT 指数
危険度区分
乾球温度に対する WBGT と危険度区分

横軸=乾球温度 T_a (°C)/縦軸=WBGT (°C)/曲線=RH 30/60/90% の等湿度線/帯=危険度区分/黄点=現在の (T_a, WBGT)

理論・主要公式

WBGT(Wet Bulb Globe Temperature)は、湿度・輻射熱・気温を1つの数値にまとめた暑熱指数です。屋外(日射あり)と屋内(日射なし)で式が異なります。

屋外:

$$\text{WBGT} = 0.7\,T_w + 0.2\,T_g + 0.1\,T_a$$

屋内(日射なし):

$$\text{WBGT} = 0.7\,T_w + 0.3\,T_g$$

自然湿球温度(Stull 2011 近似):

$$T_w = T_a\arctan\!\bigl[0.151977\sqrt{\text{RH}+8.313659}\bigr] + \arctan(T_a+\text{RH}) - \arctan(\text{RH}-1.676331) + 0.00391838\,\text{RH}^{1.5}\arctan(0.023101\,\text{RH}) - 4.686035$$

黒球温度の簡易推定:

$$T_g \approx T_a + 0.005\,S_{\text{solar}}$$

T_a は乾球温度 [°C]、RH は相対湿度 [%]、S_solar は日射量 [W/m²]。Stull 近似は気象データ(気温・湿度)だけからほぼ実測値の自然湿球温度を再現します。

WBGT 暑熱指数シミュレーターとは

🙋
夏になると「今日は WBGT が28を超えたので運動中止」みたいなニュースを見るんですけど、気温じゃダメなんですか?
🎓
ざっくり言うと、人間の体は気温だけでなく湿度と日射の影響をモロに受けるから、気温だけ見ていたら危ない場面を見落とすんだ。WBGT は湿球温度に7割の重みを置いて湿度を強く取り込み、黒球温度で日射の輻射熱も評価する。上のシミュレーターで湿度のスライダーを30から90まで動かしてみて。気温32度のまま湿度だけ変えても、WBGT の値が大きく動くのがわかるよ。
🙋
本当だ!湿度を上げると WBGT が上がって、危険度の色も変わりました。どうして湿度がそんなに効くんですか?
🎓
人間が体を冷やす一番のメカニズムは、汗の蒸発による気化熱だ。湿度が高いと汗が蒸発しにくくなって、いくら気温が同じでも体に熱がこもる。WBGT の式で T_w の係数が0.7と圧倒的に大きいのはそのためだよ。湿度65%・気温32度の屋外という今日のような条件だと、WBGT は約29°Cで「警戒」区分に入る。スポーツや屋外作業では休憩を増やす目安になる。
🙋
屋内・屋外スライダーを1(屋内)にすると、日射量を動かしても WBGT が変わらなくなりました。これはなぜですか?
🎓
屋内モードでは日射がないと仮定するので、黒球温度を気温と同じとみなしている。式も WBGT=0.7T_w+0.3T_g に切り替わって、T_a の項が消えるんだ。実際の体育館や工場でも、強い直射日光が入らない場所では黒球温度と気温がほぼ等しくなる。逆に屋外で日射が強いと、黒球温度は気温より5〜10度くらい高くなるのが普通だよ。
🙋
自然湿球温度って、Stull 近似で気温と湿度から計算してるんですよね?実機の湿球温度計と比べてどれくらい合うんですか?
🎓
Stull (2011) の式は気温5〜50度・湿度5〜99%の範囲で、実機の自然湿球温度に対しておおむね±0.3〜0.5度の精度で合うとされている。気象観測の T と RH からだけで実用十分な T_w が出せるので、防災や労働衛生のリアルタイム監視で広く使われている。現場で WBGT 計を持っていない場合の代替手段として、Stull 近似は非常に強力な武器だよ。

よくある質問

本ツールは厚生労働省「職場における熱中症予防基本対策要綱」と JIS Z 8504 で示されている区分(25未満:ほぼ安全/25〜28:注意/28〜31:警戒/31〜35:厳重警戒/35以上:危険)を採用しています。日本スポーツ協会の運動指針もほぼ同じ閾値で構成されており、屋外スポーツでは WBGT 28 で激しい運動を中止、31 で運動を原則中止することが推奨されています。
黒球温度計は直径15cmの黒く塗った中空銅球で、その表面温度を測定します。日射の吸収と空気への対流放熱の平衡で表面温度が決まるため、おおむね日射量に比例した分だけ気温より高くなります。屋外の典型的な風速条件で T_g ≈ T_a + 0.005×S(S は W/m²)が経験的な簡易式としてよく使われ、本ツールでも採用しています。風速や球の特性によりずれが出るため、実測値とは数度の差が出ることがあります。
屋外モードでは日射の輻射を含む式 WBGT=0.7T_w+0.2T_g+0.1T_a を使い、黒球温度 T_g を気温+日射量×0.005 で推定します。屋内モードでは日射がないと仮定して T_g=T_a とし、式も WBGT=0.7T_w+0.3T_g に切り替えます。式の違いは黒球温度の重みが0.2→0.3になり、乾球温度の重み0.1が消える点です。これにより屋内・屋外で WBGT 計算が JIS Z 8504 に整合します。
屋外スポーツでは WBGT 28 を超えたら激しい運動を中止、31 で運動を原則中止が標準的な判断です。労働現場では作業強度ごとに基準値が異なり、重作業ほど低い WBGT で休憩を増やす必要があります。本ツールは概算用ですので、実際の判定には現場で測定した WBGT 値と、作業内容・着衣・順化の度合いを総合した個別判断が必要です。特に高齢者・幼児・持病のある人ではより低めの閾値で警戒してください。

実世界での応用

労働衛生と作業管理:建設現場、製鉄所、屋外保守作業など、夏季の屋外労働では WBGT による作業管理が義務化されています。厚生労働省の指針では作業強度ごとに WBGT の基準値が定められ、これを超える場合は休憩時間の延長、冷却ベストや空調服の導入、作業時間帯の変更などの対策が必要です。本ツールで現場の気温・湿度・日射条件を入力すれば、おおよその危険度区分を事前に把握できます。

学校体育とスポーツ運営:日本スポーツ協会の「熱中症予防運動指針」は WBGT を基に5段階で運動可否を示しており、学校現場ではこれに従って体育の授業や部活動の中止判定が行われています。グラウンドでの直射日光、体育館の蒸し暑い空気など、状況に応じて屋内・屋外モードを切り替えて WBGT を評価することで、より実態に合った判断が可能になります。

イベント・興行の安全管理:夏フェスや屋外スポーツイベントの主催者は、参加者の熱中症リスクを WBGT で管理することが一般的になってきました。気象庁や環境省が発表する暑さ指数(WBGT)の予測値と、本ツールでのシナリオ計算を組み合わせることで、給水ポイントの増設、ミストシャワーの設置、最悪の場合の開催延期判断などに活用できます。

建築・空調設計:体育館やスポーツ施設、工場の作業エリアの設計では、想定される気温・湿度・日射条件下での室内 WBGT を推定し、空調・換気の必要能力を決めます。本ツールで屋内モードを使えば、日射の影響を除いた純粋な気温・湿度から WBGT を計算できるため、空調目標値の検討にそのまま使えます。

よくある誤解と注意点

最も多い誤解は、「気温が高くなければ熱中症にならない」と思い込むことです。WBGT の式で湿球温度 T_w の係数が0.7と圧倒的に大きいことが示すとおり、湿度が高ければ気温が30度を切っていても WBGT は28を超えて「警戒」区分に入ります。たとえば気温28度・湿度90%の梅雨明けの蒸し暑い日は、見た目の気温が穏やかでも、シミュレーターで湿度を上げて確認すると WBGT が思った以上に高いことが分かります。湿度を軽視せず、体感より計算値を信じることが重要です。

次に多いのが、屋内なら安全だと油断することです。屋内モードでは日射の項が消えますが、湿度の影響は変わりません。体育館や工場のような大空間で換気が不十分だと、外気と同じ湿度のまま気温も30度を超え、屋内でも WBGT が「厳重警戒」に達するケースは珍しくありません。シミュレーターで屋内モードに切り替えても、気温と湿度を実際の屋内値に合わせて入力すれば、屋内特有の高 WBGT 環境を見える化できます。

最後に、WBGT は個人差を考慮していない平均的指標であることに注意が必要です。高齢者、乳幼児、持病のある人、暑さに順化していない人は、同じ WBGT でも熱中症リスクが大きく異なります。本ツールが返す危険度区分はあくまで一般的な目安であり、現場では「最も弱い人に合わせた判断」が必要です。また、Stull 近似や黒球温度の簡易推定にも誤差があるため、厳密な判定には校正済みの WBGT 計による実測を併用してください。