S-N曲線 — CAE用語解説
S-N曲線
疲労解析のレポートで「S-N曲線を参照」って書いてあったんですけど、これってただのグラフですか?
「ただのグラフ」と言えばそうだけど、疲労設計のすべての出発点になるデータだよ。横軸に繰返し回数N(対数)、縦軸に応力振幅S(対数)をとって、材料試験で破断するまでの結果をプロットしたもの。Wöhler曲線とも呼ばれる。例えば自動車のサスペンション部品の寿命を見積もるとき、まずこのS-N曲線から始まるんだ。
定義
グラフの形って、どんな感じになるんですか?
両対数グラフでほぼ直線的に右下がりになる。応力が高いほど少ない回数で壊れる、っていう直感通りの形。鉄鋼材料だと10⁶〜10⁷回あたりで曲線が水平になるんだけど、この水平部分の応力を「疲労限度」と呼ぶ。つまり、それ以下の応力なら理論上は何回繰り返しても壊れない。
え、じゃあアルミニウムにも疲労限度ってあるんですか?
実はアルミや銅合金には明確な疲労限度が存在しないんだ。S-N曲線がずっと右下がりのまま。だから航空機のアルミ構造部材では「10⁸回での強度」のように特定の寿命で区切って評価するのが一般的だよ。
構造解析における役割
FEMの疲労解析で、S-N曲線はどのように使われるんですか?
まずFEMで応力分布を求めて、各点の応力振幅をS-N曲線と照合する。変動荷重の場合は、レインフロー法で応力サイクルを抽出してからMiner則で累積損傷を計算するんだ。例えばエンジンのクランクシャフトなら、1回転ごとの曲げ応力をS-N曲線から寿命に換算して、何万km走れるか予測する。
S-N曲線の基本的な関係式はBasquinの式で表される。
試験片のS-N曲線をそのまま実部品に使えるんですか?溶接部とかだと違いそうですけど…
鋭い指摘だね。試験片の結果を実部品に適用するときは、表面仕上げ係数、寸法効果、応力集中係数などで修正する必要がある。溶接継手は特にS-N曲線が大幅に下がるから、溶接等級ごとの専用S-N曲線(例えばIIW規格のFATクラス)を使うのが実務の常識だよ。
関連用語
S-N曲線とε-N曲線の使い分けってどうなんですか?
S-N曲線は高サイクル疲労(10⁴回以上、弾性域)向き。ε-N曲線(ひずみ-寿命)は低サイクル疲労(塑性域が支配的)向き。エンジン部品のように熱サイクルで塑性ひずみが繰り返される場合はε-N曲線を使う。関連用語をまとめるとこんな感じだ。
材料によって疲労限度の有無が違うなんて知りませんでした。サスペンション部品の解析、S-N曲線の選び方から見直してみます。
うん、S-N曲線の出典と試験条件(平均応力、環境温度、表面状態)を必ず確認してね。カタログ値をそのまま使うと、実際の寿命と大きくずれることがあるから要注意だよ。
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