PTC Creo Simulateの位置づけ
Pro/MECHANICAからCreo Simulateへ
PTCのCreo Simulateって、CADと一体型の解析ソフトなんですか?
そうだ。もともとはPro/MECHANICAという名前で、1988年にPTCがPro/ENGINEERの解析モジュールとして開発したのが始まりだ。当時から「CADモデルから直接解析する」というコンセプトを持っていた。
1988年ってかなり昔ですね。それから名前が変わったんですか?
2010年にPro/ENGINEERがCreoにリブランドされたタイミングで、Pro/MECHANICAもCreo Simulateに改名された。でも中身の技術思想は一貫していて、p要素法(p-version FEM)を採用している点がずっと変わらない特徴だ。
p要素法という独自戦略
p要素法って、普通のFEMとどう違うんですか?
ざっくり言うと、一般的なFEMソフト(Ansys、Abaqus、Nastranなど)はh要素法を使っている。メッシュを細かくすることで精度を上げる方法だ。一方、p要素法はメッシュの大きさを変えずに、要素内の多項式の次数(p = polynomial order)を自動的に上げていく。
えっ、メッシュを細かくしなくていいんですか? それって楽ですよね?
まさにそこがCreo Simulateの最大の売りだ。例えば通常のh法だと、メッシュサイズを段階的に半分にして結果が収束するか確認するだろう? Creo Simulateでは、ソルバーが自動的にp次数を1→2→3…と上げて、結果が収束したかチェックしてくれる。設計者がメッシュ収束の手間を一切かけずに、精度が保証された結果を得られるんだ。
なるほど、それなら専門のCAEエンジニアじゃなくても使いやすそうですね。
そう、まさに設計者向けに作られている。ただしp要素法にも弱点はあって、応力集中や接触問題のような局所的に急変する場では、h要素法のほうが効率的なこともある。万能ではないことは覚えておくといい。
CAD一体型解析の実務メリット
CAD一体型だと、具体的にどんな場面で便利なんですか?
例えば自動車部品の設計で、ブラケットの板厚を3mmから2.5mmに変更したいとする。Creoなら、CADモデルのパラメータを変更した瞬間に解析モデルも自動更新される。わざわざメッシュを切り直したりデータを受け渡したりする手間がない。
それ、AbaqusやAnsysだとCADからデータをエクスポートして読み込み直す必要がありますよね?
そのとおり。設計変更→解析のサイクルが1日に何十回も発生する初期設計段階では、この差が大きい。PTCの調査によれば、設計者の解析サイクルが従来の約3分の1に短縮されるケースもあるそうだ。ただし、これは線形解析の範囲での話だけどね。
得意分野と限界
Creo Simulateって、どんな解析ができるんですか?
得意分野は明確で、線形静解析、線形座屈、モーダル解析、定常熱解析が主力だ。つまり設計者が「この部品、強度大丈夫かな?」「固有振動数はいくつ?」と確認するような用途にぴったりだ。
じゃあ、衝突解析とか大変形の問題は無理ですか?
そうだね。ゴムの大変形、塑性変形、接触の大すべり、陽解法での衝突解析などは対象外だ。そういう場合はCreo Ansys Simulation(Ansysとの提携モジュール)やAbaqus、LS-DYNAなど専門のCAEツールに任せることになる。「設計者が日常的に回す線形解析」と「専門家が詳細に検証する非線形解析」で棲み分けているイメージだ。
競合製品との比較
同じようなCAD一体型解析ソフトって他にもありますよね?
主な競合は、SOLIDWORKS Simulation、Siemens NX Nastran(CAD統合モード)、Autodesk Fusion Simulationだ。どれも「CADから直接解析」がウリだけど、p要素法による自動メッシュ収束機能はCreo Simulateだけの特徴と言っていい。
じゃあ、どういう会社がCreo Simulateを選ぶんですか?
当然ながらCreo ParametricをメインCADにしている企業だな。自動車のティア1サプライヤーや産業機械メーカーに多い。PTCのCADを使っているなら追加コストなしで基本的な解析機能が使えるので、「まずCreo Simulateで設計初期の検討を行い、詳細設計段階で専門CAEソフトに引き渡す」というワークフローが一般的だ。
今後の展望
Creo Simulateって今後どうなっていくんですか?
PTCは近年、Ansysとの提携を強化してCreo Ansys Simulationを追加したり、リアルタイムシミュレーション機能を拡充したりしている。また、PTCのIoTプラットフォーム「ThingWorx」やALMツール「Windchill」との連携で、デジタルツインの文脈でシミュレーション結果を活用する方向に進んでいる。
設計者が気軽に使える解析ツールの方向性は変わらないんですね。p要素法の自動収束のおかげでメッシュに悩まなくていいのは、すごく魅力的だなと思いました。
そうだね。「設計者にとっての使いやすさ」と「解析結果の信頼性」を両立しているのがCreo Simulateの強みだ。ただし、非線形領域や大規模モデルでは専門CAEツールが必要になるから、自分の解析がどの範囲に収まるかを常に意識することが大事だよ。
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