動的破壊力学
動的破壊力学の理論基礎
動的破壊力学
先生、動的破壊は静的破壊とどう違いますか?
動的破壊は亀裂が高速で伝播する現象。亀裂先端の速度がRayleigh波速度(材料の表面波速度)に近づく。衝撃荷重による脆性破壊、パイプラインの急速き裂伝播が典型例。
動的SIF
$k(\dot{a})$ は亀裂速度 $\dot{a}$ に依存する動的補正係数。$\dot{a} \to c_R$(Rayleigh波速度)で$k \to 0$。
FEMでの動的破壊
まとめ
シャルピー試験が生まれた理由
シャルピー衝撃試験は1901年にフランス人技師ジョルジュ・シャルピーが鉄鋼の脆性-延性遷移を手軽に評価するために考案した。当時の鋼橋・圧力容器の冬季脆性破壊が社会問題化しており、−40℃での27J以上(ISO基準)という要求値は現在も使われている。動的破壊力学の先駆的試験として名を残す。
動的破壊力学の数値計算手法
動的破壊のFEM
```
*MAT_ADD_EROSION
$ 最大主ひずみで要素削除
```
Abaqus/Explicit:
```
DAMAGE INITIATION + DAMAGE EVOLUTION + STATUS
```
要素の損傷が1.0に達したら削除(STATUS)。
まとめ
動的応力拡大係数Kdの計算法
動的破壊では応力波の伝播により応力場が時間変化し、準静的のKIcがそのまま使えない。動的応力拡大係数KIdは高速度カメラによるき裂先端応力縞(コーティング法・等色縞)の観測から求めるのが精度高いが、FEMによる仮想節点力法でも±10%の精度が得られる。伝播速度がレーリー波速の0.3倍を超えるとKI/KId比が急激に変化する。
動的破壊力学の実務適用
動的破壊の実務
パイプラインの急速き裂伝播(DF: Dynamic Fracture)。ガスパイプラインで亀裂が音速で伝播する事故。
実務チェックリスト
自動車クラッシュ解析の延性破壊
自動車衝突安全解析では鋼板が破断するかどうかの判定が重要だ。高張力鋼(590MPa級)の衝撃破断は変位速度5〜10m/sで起き、準静的破壊より20〜30%低い破断エネルギーとなる。ToyotaはLS-DYNAの動的破壊モデル(ジョンソン-クック基準)を使い、側面衝突での乗員保護構造の破断予測精度を±15%以内に改善した。
動的破壊力学のソフトウェア比較
ツール
LS-DYNA動的破壊解析の実力
LS-DYNAはSPH法・EFG法・ペリダイナミクス法など複数の動的破壊解析手法を実装している。GM社はls-dynaのXFEM機能(2016年追加)を使いバンパーのき裂伝播解析を行い、試験との一致率を5〜10ms単位の時刻歴で95%以上達成した。衝突解析でのMaterial Type 24(ジョンソン-クック)との組合せが実務でのスタンダードだ。
動的破壊力学の先端研究
動的破壊の先端
ひずみ速度依存破壊靭性の材料データ
動的破壊靭性KIdはひずみ速度dε/dtに強く依存する。炭素鋼A508では準静的KIc=120 MPa√mから衝撃KId=60〜80 MPa√mまで低下する(ひずみ速度1000 /s)。この差が原子炉圧力容器の熱衝撃解析で重要で、ASME Code Appendix Gでは補正係数をひずみ速度推定から求める手順を規定している。
動的破壊力学のトラブル対応
動的破壊のトラブル
シミュレーションで破断が起きない場合
衝突解析でシミュレーションが実験の破断を再現できない場合、破断判定基準のしきい値の設定ミスが多い。ジョンソン-クック損傷モデルのパラメータd1〜d5は引張試験・穿孔試験・ノッチ試験の組合せで同定が必要だが、引張試験だけで推定すると実衝撃での破断が20〜50%過大な変形まで発生しないと予測される。必ず動的な穿孔試験データも取得すること。
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