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電磁気・光学

アンテナアレイ・ビームフォーミング計算機

線形フェーズドアレイのアレイファクタをリアルタイム計算。素子数・間隔・走査角・窓関数を自由に設定し、極座標ビームパターンとdB特性曲線を可視化。

アレイパラメータ
素子数 N
素子間隔 d/λ
λ
グレーティングローブ回避: d/λ < 1/(1+|sinθ₀|)
走査角 θ₀
°
窓関数
グレーティングローブ警告: 素子間隔が大きすぎます。可視空間内にグレーティングローブが発生しています。
計算結果
— °
HPBW(半値幅)
— dB
第1サイドローブ
— dBi
指向性
なし
グレーティングローブ
極座標ビームパターン(対数スケール)
理論・主要公式

アレイファクタ(線形アレイ):

$$AF(\theta) = \sum_{n=0}^{N-1}w_n \cdot e^{j n k d \sin\theta}$$

where $k = 2\pi/\lambda$, 走査位相: $\psi = kd(\sin\theta - \sin\theta_0)$

一様窓(Dolph-Chebyshev最適化前):

$$|AF(\psi)| = \left|\frac{\sin(N\psi/2)}{N\sin(\psi/2)}\right|$$

グレーティングローブ条件: $d > \frac{\lambda}{1+|\sin\theta_0|}$

指向性: $D \approx 2Nd\cos\theta_0/\lambda$ (高指向性近似)

AF(θ) — dB vs 角度

アンテナアレイ・ビームフォーミングとは

🙋
アンテナアレイって、単にアンテナをたくさん並べるだけじゃダメなんですか?「ビームフォーミング」って何ができるようになるんですか?
🎓
大まかに言うと、電波の“懐中電灯”を作れるんだ。単に並べるだけだと、電波は全方向にバラバラに飛ぶ。でも、各素子から出る電波のタイミング(位相)や強さ(振幅)をうまく制御すると、特定の方向に強いビーム(光の束のようなもの)を向けたり、逆に邪魔な方向への電波を弱めたりできるんだよ。このシミュレーターで「走査角」のスライダーを動かすと、メインビームの向きがクルクル変わるのがわかるよ。
🙋
え、そうなんですか!でも、グラフにビーム以外にも小さな山(サイドローブ)がいっぱいありますね。これって邪魔じゃないですか?
🎓
その通り!サイドローブは、狙った方向以外にもエネルギーが漏れてしまう“無駄遣い”で、他の通信の妨害にもなる。実務ではこれをいかに抑えるかが重要だ。このツールの「窓関数」を「Uniform」から「Hann」や「Chebyshev」に変えてみて。サイドローブが大きく下がる代わりに、メインビームが少し広がるトレードオフが体感できるよ。Chebyshevはサイドローブレベルを指定できる優れものだ。
🙋
「素子間隔」も変えられますね。詰めれば詰めるほど良さそうな気がするけど…。これにもルールがあるんですか?
🎓
いいところに気づいたね。実は詰めすぎるとアンテナ同士が干渉するし、広げすぎると大問題が!「素子間隔」を1.0λ以上にして「走査角」を動かしてみて。メインビーム以外に、同じ強さの偽物のビーム「グレーティングローブ」が現れるだろ?これは絶対に避けなきゃいけない。5Gなどでは、全方向を走査できるλ/2間隔(d=0.5)が黄金律なんだ。シミュレーターでこの条件を確かめてみよう。

よくある質問

λ/2を超えると、所望のメインビーム以外の方向に同じ強度のローブ(グレーティングローブ)が発生します。これはアンテナの利得低下や誤探知の原因となるため、通常はλ/2以下での運用が推奨されます。
窓関数はサイドローブレベルとメインビーム幅をトレードオフします。例えばハミング窓はサイドローブを抑えますがビーム幅が広がり、一様分布(矩形窓)は最も狭いビームですがサイドローブが高くなります。用途に応じて選択してください。
走査角が大きくなるとアレイの投影開口面積が減少し、ビーム幅が広がります。また、素子間隔がλ/2に近い場合、グレーティングローブが可視領域に入りやすくなるため、パターンが非対称に変形します。
本ツールは点源を仮定したアレイファクタのみを計算しており、素子単体の指向性や相互結合、給電回路の損失は考慮していません。実際の設計では、これらを別途シミュレーションや測定で補正する必要があります。

実世界での応用

5G/6G 移動通信:ミリ波帯(28GHzなど)では電波が直進性が強く、基地局と端末間でビームを精密に向け合う「ビームフォーミング」が必須です。64〜256素子の平面アレイが用いられ、ユーザーの動きに合わせて高速にビームを走査します。

レーダーシステム:航空管制や気象観測レーダーでは、鋭いビームで遠方の目標を探知・追尾します。サイドローブを極限まで抑える(Chebyshev窓など)ことで、強いクラッタ(雑音)の中から微弱な目標信号を検出します。

衛星通信:静止衛星や衛星コンステレーション(Starlinkなど)のアンテナでは、特定の地上エリアだけを照らすスポットビームを形成します。これにより、周波数を地理的に再利用でき、通信容量を飛躍的に増大させています。

医用画像(超音波):超音波プローブも一種のアンテナアレイです。各素子の発信タイミングを制御することで超音波ビームを体内の任意の点に集中させ、高解像度の画像を得ることができます。

よくある誤解と注意点

まず、「素子数を増やせば増やすほど絶対に良い」と思っていませんか?確かに指向性は鋭くなりますが、現実にはコスト、計算量、物理的な設置スペースが跳ね上がります。例えば、素子数を16から32に倍増させても、ビーム幅の改善は約1/√2倍(約30%の狭まり)に過ぎず、費用対効果の判断が必要です。また、全ての素子を駆動する複雑な回路と制御システムが必要になり、故障リスクも高まります。

次に、「窓関数はHannが一番優秀」という誤解。Hann窓はサイドローブを確かに抑えますが、メインビーム幅が広がり、指向性ゲインが約1.5dB低下します。例えば、目標が遠くの一点と精密に通信することなら、サイドローブが多少高くてもメインビームが鋭いUniform(等振幅)の方が有利な場合もあります。用途に応じて「何を犠牲にし、何を得るか」のトレードオフを理解しましょう。

パラメータ設定で陥りがちなのは、「走査角」と「素子間隔」の組み合わせを無視することです。ツールで確認してみてください。d=0.7λで走査角を60度まで大きくすると、メインビームの強さが大幅に低下(ビームが「くたびれる」)ことがわかります。これは有効アパーチャが小さく見えるためで、実設計では走査可能範囲を事前にシミュレーションで確認し、素子間隔を決めることが鉄則です。