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電磁気・光学

伝送線路・インピーダンス整合計算機

特性インピーダンス・負荷インピーダンス・線路長を入力し、反射係数・VSWR・入力インピーダンスを即座に計算。定在波パターンをグラフで確認できる。

プリセット
パラメータ
特性インピーダンス Z₀ 50 Ω

負荷インピーダンス Z_L = R + jX [Ω]

R (実部)

X (虚部)

線路長 l/λ(波長比) 0.25 λ
計算結果

入力インピーダンス Z_in

計算結果
|Γ| 反射係数
VSWR
反射損失 [dB]
反射電力 [%]
電圧・電流定在波パターン
理論・主要公式
$$\Gamma = \frac{Z_L - Z_0}{Z_L + Z_0}$$ $$\text{VSWR}= \frac{1+|\Gamma|}{1-|\Gamma|}$$ $$Z_{in}= Z_0 \frac{Z_L + jZ_0\tan(\beta l)}{Z_0 + jZ_L\tan(\beta l)}$$

伝送線路・インピーダンス整合とは

🙋
「インピーダンス整合」って何ですか? 聞いたことはあるけど、具体的に何を合わせるんですか?
🎓
大まかに言うと、信号を送る線路と、信号を受け取る負荷(アンテナとか)の電気的な「抵抗感」を合わせることだね。これが合ってないと、信号が反射してしまうんだ。例えば、特性インピーダンス$Z_0=50\Omega$の同軸ケーブルに$Z_L=100\Omega$のアンテナをそのまま繋ぐと、信号の一部がケーブルの中を逆戻りしてしまうよ。このシミュレーターで、上の「負荷インピーダンス $Z_L$」を変えてみると、反射の度合いがどう変わるかすぐにわかる。
🙋
え、反射すると何がまずいんですか? 信号が弱くなるだけ?
🎓
信号が弱くなるのも問題だけど、もっと深刻なのは「定在波」が発生して、ケーブルの特定の場所で電圧が異常に高くなったりすることだ。これがVSWR(電圧定在波比)の値で表されるんだ。VSWRが大きいと、送信機が壊れたり、効率がガタ落ちしたりする。実務ではVSWRを2以下に抑えることが多いよ。ツールのグラフで「線路長 $l/\lambda$」のスライダーを動かすと、線路上の電圧が場所によってどう変化するか、目で見て確認できる。
🙋
なるほど!じゃあ、もし整合が取れてないことがわかったら、どうやって合わせるんですか?
🎓
代表的な方法が「$\lambda/4$整合線路」を使うことだ。線路長を波長の1/4($l/\lambda = 0.25$)にすると、入力インピーダンス$Z_{in}$が$Z_0^2 / Z_L$になる性質を利用するんだ。例えば、$Z_0=50\Omega$のシステムに$Z_L=100\Omega$を繋ぎたい時、間に特性インピーダンスが$\sqrt{50 \times 100}\approx 70.7\Omega$で長さが$\lambda/4$の線路を入れると整合が取れる。このツールで$l/\lambda$を0.25に設定して、色々な$Z_L$を試してみると、この関係がよく理解できるよ。

よくある質問

反射係数の絶対値|Γ|は反射の大きさ(0で無反射、1で全反射)を表します。偏角(角度)は負荷での反射波の位相のずれを示し、線路長を変えると入力インピーダンスが変化する理由に関係します。グラフの定在波パターンと合わせて確認すると理解しやすいです。
VSWR=1.0は負荷インピーダンスが特性インピーダンスと完全に一致(Z_L=Z_0)し、反射がない理想状態です。逆にVSWRが無限大(∞)となるのは、負荷が開放(Z_L=∞)や短絡(Z_L=0)の時で、全反射が発生し定在波の最小値がゼロになります。
伝送線路上では反射波が進行波と干渉するため、観測点から負荷までの距離(線路長)によって電圧と電流の位相関係が変わります。これにより、同じ負荷でも線路長に応じて入力インピーダンスが周期的に変化します。本ツールで線路長を変えて試すと、その様子を確認できます。
グラフは線路上の電圧振幅分布を示します。最大値と最小値の位置や間隔から、負荷が容量性か誘導性か、また整合状態を視覚的に判断できます。例えば、負荷端で電圧が最大なら開放端、最小なら短絡端に近い状態です。アンテナ給電部の設計や整合回路の調整に役立ちます。

実世界での応用

無線通信・アンテナ設計:基地局やスマートフォンのアンテナと送信機の間の整合が最も重要な応用分野です。整合が悪いと通信距離が短くなり、送信機の電力増幅器が過熱・破損するリスクがあります。VSWRを常時監視する装置も使われます。

高周波回路・ミリ波回路:プリント基板上のマイクロストリップ線路などで、IC(集積回路)同士を接続する際にインピーダンス整合を行います。数GHz以上の高周波では、配線そのものが伝送線路とみなされるため、整合設計が不可欠です。

高速デジタル信号伝送:パソコン内部のメモリバスや差動信号線(PCI Express, USB等)でも、信号の立ち上がりが高速になるほど伝送線路効果が無視できなくなり、整合(終端)処理が必要になります。反射による波形の乱れがビット誤りを引き起こします。

測定器・計測システム:ネットワークアナライザなどの高周波測定器は、被測定デバイス(DUT)とケーブル間の整合が取れていないと、正確な$S$パラメータ(散乱パラメータ)を測定できません。校正作業の一環として整合の確認と調整が行われます。

よくある誤解と注意点

このツールを使い始めるときに、多くの人が引っかかるポイントがいくつかあるよ。まず第一に、「特性インピーダンス$Z_0$はただの抵抗値じゃない」ということ。直流抵抗とは全くの別物で、線路の構造(導体の太さ、間隔、間の誘電体)で決まる、高周波信号に対する“感じ方”なんだ。だから、テスターで測れるものじゃない。同軸ケーブルなら50Ωや75Ω、マイクロストリップ線路なら計算やシミュレーションで求める必要がある。

次に、「整合が取れてる」状態を「反射係数$\Gamma=0$」だけで判断しないこと。実務では、$Z_L$そのものが周波数によって変わる(例えばアンテナの共振特性)のが普通。ある一つの周波数で$\Gamma=0$になっても、帯域全体では反射が大きいかもしれない。このツールで$Z_L$を複素数(例えば $50 + j30$)に設定し、周波数が変わると位相定数$\beta l$が変わる(=実効的な線路長が変わる)ことを想定して$l/\lambda$を動かしてみると、整合帯域の狭さが体感できるよ。

最後に、計算結果の解釈。例えばVSWR=2は「許容範囲」と覚えがちだが、これは反射電力が約11%も失われている状態だ。大電力アプリケーションでは発熱問題に直結する。また、入力インピーダンス$Z_{in}$が純抵抗(虚数部0)になっても、それは必ずしも$Z_0$と一致しているとは限らない。$l/\lambda=0.25$の時のように、線路がトランスとして働いているだけの場合もあるから注意してね。