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電磁気・光学

アンテナ基礎・ダイポールアンテナ計算

半波長ダイポール・1/4波長モノポール・ループ・パッチアンテナの共振長・放射抵抗・利得・VSWR・自由空間伝搬損失をリアルタイム計算。極座標放射パターンを可視化。

パラメータ設定
プリセット
アンテナ電気長 L/λ
ダイポール全長を波長で割った値(0.5 = 半波長):0.50
周波数 f
1 MHz〜100 GHz(スライダーは対数スケール相当)。物理長を決定します
特性インピーダンス Z₀
Ω
観測距離 r
m
オーバーレイ表示
計算結果
電気長 L/λ
指向性 D [dBi]
ビーム幅 3dB [°]
放射抵抗 R_rad [Ω]
物理全長 [mm]
ダイポール放射ライブビュー
放射パターン(極座標)
指向性 vs 電気長 L/λ
VSWR vs 周波数
理論・主要公式

半波長ダイポールの放射パターン:

$$F(\theta)= \left[\frac{\cos\!\left(\frac{\pi}{2}\cos\theta\right)}{\sin\theta}\right]^{2}$$

指向性・放射抵抗(λ/2): $D\approx 1.64\;(2.15\,\mathrm{dBi})$, $R_{rad}\approx 73\,\Omega$

一般長ダイポール(全長 $\ell=\beta L$):

$$F(\theta)= \left[\frac{\cos\!\left(\frac{\beta L}{2}\cos\theta\right)-\cos\!\frac{\beta L}{2}}{\sin\theta}\right]^{2}$$

共振長: $L = \dfrac{\lambda}{2}=\dfrac{c}{2f}$, 自由空間損失: $\mathrm{FSPL}=20\log_{10}\!\left(\dfrac{4\pi r}{\lambda}\right)$

$L/\lambda$ が 1 を超えると主ローブが分裂し、複数のローブ(指向性の向上+サイドローブ)が現れます。

アンテナ基礎・ダイポールアンテナ計算とは

🙋
「半波長ダイポール」って、アンテナの長さはどうやって決めるんですか?
🎓
大まかに言うと、使いたい電波の波長の半分の長さが基本だよ。例えば、Wi-Fiで使う2.4GHzの電波だと、計算上は約6.25cmになる。このシミュレーターで上の「周波数f」のスライダーを動かしてみて。アンテナ長Lが自動で計算されて、共振する長さがわかるよ。
🙋
え、そうなんですか!でも、アンテナの仕様書には「インピーダンス50Ω」って書いてあるのに、博士が言う「放射抵抗73Ω」と違いますね。これって大丈夫なの?
🎓
良いところに気づいたね。そのズレが「インピーダンスミスマッチ」の原因で、VSWR(電圧定在波比)が悪化するんだ。実務では、給電線(同軸ケーブル)の特性インピーダンスが50Ωや75Ωなのに、半波長ダイポールは約73Ωだからね。シミュレーターで「特性インピーダンスZ₀」を50Ωに設定すると、VSWRのグラフがどう変わるか確認してみよう。
🙋
なるほど!で、この「指向性パターン」の極座標グラフ、真ん中が凹んでるのはなぜ? 全方向に飛んでるのではないの?
🎓
これがダイポールアンテナの面白いところだ。アンテナの棒に対して垂直な方向には強く放射するけど、棒の先端方向にはほとんど放射しない「8の字」パターンなんだ。スマホのアンテナがどう置かれているかで電波の強さが変わるのはこのためさ。「アンテナ種別」を「モノポール」に変えると、今度は地面を鏡として考えて、上の半分だけの放射パターンになるよ。操作してみて!

よくある質問

いいえ、端部効果により実際の共振長は理論値より短くなります。ダイポールでは短縮率0.95〜0.98を乗じた電気的長さを用いてください。本ツールの理論値はあくまで基準値です。
VSWRが大きい(例:2以上)場合は、アンテナ長が共振周波数からずれている可能性があります。周波数またはアンテナ長を微調整し、本モデルでの最小値付近(50Ω給電の半波長ダイポールではVSWR≈1.46)を探してください。
送信アンテナから受信アンテナまでの基本的な電波減衰量を見積もる際に使います。リンクバジェット計算や通信距離の概算に有用ですが、実際の環境では反射や障害物の影響を別途考慮する必要があります。
極座標グラフで、中心がアンテナ位置、角度が方位、半径が相対利得(dB)を示します。半波長ダイポールでは8の字型、モノポールでは水平面で無指向性のパターンが表示されます。

実世界での応用

無線機器の認証試験:規制当局(例えば総務省)への技術基準適合証明(技適)取得では、機器から放射される実効等方放射電力(EIRP)の測定が必須です。このシミュレーターでアンテナ利得を確認し、送信機出力と合わせて規制値内に収まるかを事前検討します。

EMC(電磁両立性)試験:電子機器が外部からの電波で誤動作しないか(イミュニティ試験)、また自らが過剰なノイズを放射していないか(エミッション試験)を評価する際、試験用アンテナの設置位置や距離の影響を、このツールで簡易的にシミュレーションできます。

アンテナアレイの初期設計:5G基地局や衛星通信用のアンテナは、単体のアンテナ(素子)を多数配列して高い利得とビーム制御を実現します。その基本素子としてのダイポールやパッチアンテナの特性を、このツールで素早く把握できます。

衛星通信リンクバジェット計算:地球局と衛星間の通信リンクが成立するかどうかは、送信電力、アンテナ利得、伝搬損失など全てを勘案した「リンクバジェット」で決まります。ここで計算されるFSPL(自由空間伝搬損失)は、その計算の根幹をなす要素です。

よくある誤解と注意点

まず、「シミュレーションの結果がそのまま実物の性能」と思わないでください。このツールは「自由空間」という理想環境を仮定しています。実際には、近くにある金属筐体や導体、さらにはあなたの手(人体は誘電体です!)がアンテナの共振周波数を大きくずらします。例えば、スマホ内蔵アンテナの設計では、バッテリーや液晶パネルの影響を考慮するのが最大の難関です。

次に、「VSWRが低ければすべてOK」という誤解。確かにVSWRは給電系のマッチング指標ですが、アンテナの「放射効率」は別物です。極端な例ですが、アンテナの代わりに50Ωの抵抗をつなげばVSWRは完璧な1ですが、電波は一切放射されません(すべて熱に!)。放射抵抗とリアクタンスの両方を見て、初めてアンテナとして機能しているか判断できます。

最後に、高周波では導体損失や実装環境の影響も無視できません。特に5GHz以上では表皮効果や周囲の金属部品により、実効抵抗や共振点が理想モデルからずれます。本ツールの結果は自由空間・単純モデルでの一次確認として扱ってください。

使い方ガイド

  1. 周波数スライダーで動作周波数を設定します(例:2.4GHz WiFi、5.8GHz ドローン通信、28GHz 5G mmWave)
  2. 長さファクタで共振長を調整します(0.9~1.1で λ/2 の微調整が可能)
  3. 給電点インピーダンス Z0 を設定し、距離を入力すると放射抵抗、利得、ビーム幅、自由空間伝播損が自動計算されます
  4. グラフで指向性パターンと周波数特性を確認し、目標周波数でのアンテナ性能を評価します

具体的な計算例

2.4GHz IEEE 802.11b WiFiアンテナ設計:周波数 2400MHz、共振長 λ/2 ≈ 62.5mm、給電インピーダンス 50Ω(同軸ケーブル標準値)の場合、放射抵抗は約 73Ω となります。距離10mでの自由空間伝播損は約60.0dB、アンテナ利得は2.15dBiです。本モデルでは長さファクタ約0.94付近でVSWRが最小となり、その値は約1.46です。

実務での注意点