対話型シミュレーター
偏心ボルト群シミュレーター
偏心せん断を受けるボルト群について、直接せん断、モーメント成分、最大ボルト力、許容比を評価します。
ボルト群・力ベクトルのライブ表示
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e を自動スイープ
4本 正方形
6本 2×3
4本 一列
8本 円形
9本 3×3
直接せん断 V/n
ねじりせん断 P·e·rᵢ/J
合力 Rᵢ
危険ボルト
理論・主要公式
各ボルトの合力は、直接せん断ベクトルとねじりせん断ベクトルのベクトル和 で求めます(弾性ベクトル法)。
$$\vec{F}_i=\underbrace{\frac{\vec{P}}{n}}_{\text{直接せん断}}+\underbrace{\frac{M\,r_i}{J}\,\hat{t}_i}_{\text{ねじりせん断}},\quad M=P\,e,\quad J=\sum_j r_j^2$$
直接せん断 $\vec P/n$ は全ボルトで等しく荷重と同方向。ねじりせん断は重心からの距離 $r_i$ に比例し、半径に垂直(接線 $\hat t_i$)方向。合力 $|\vec F_i|$ が最大のボルトが危険ボルトです。$J=\sum r_j^2$ は極二次モーメント。$M=Pe$ は重心まわりのモーメント。この簡易モデルは弾性挙動・剛体回転を仮定し、すべりや支圧、規格補正は別途確認します。
偏心ボルト群とは
荷重 P がボルト群の重心を通らない とき、接合部にはせん断力だけでなく重心まわりのモーメント M = P·e が生じます。これを「偏心せん断」と呼び、各ボルトには (1) 全ボルトに等しく分配される直接せん断 P/n と、(2) 回転を妨げようとするねじりせん断 P·e·rᵢ/J の2成分がかかります。両者はベクトル なので、単純な足し算ではなく向きを考えた合成(ベクトル和)で各ボルトの合力 Rᵢ を求めます。これが弾性ベクトル法(elastic vector method)です。
このページのライブ表示では、各ボルトから出る3本の矢印——直接せん断(水色)、ねじりせん断(橙)、合力(黄)——が荷重と偏心距離に応じてリアルタイムに伸縮します。合力が最大のボルト(赤)が危険ボルト で、設計はこの1本が許容値を超えないことで決まります。
物理モデルと主要な数式
重心からボルト i までの距離を rᵢ とすると、極二次モーメント(極断面係数のもとになる量)は $J=\sum_j r_j^2$ です。直接せん断は荷重と同じ向きに $\vec P/n$、ねじりせん断は大きさ $M r_i/J$ で半径に垂直(接線)方向。合力は次のベクトル和です。
$$\vec F_i=\frac{\vec P}{n}+\frac{M r_i}{J}\,\hat t_i,\qquad |\vec F_i|=\sqrt{\left(\tfrac{P}{n}\right)^2+\left(\tfrac{M r_i}{J}\right)^2+2\cdot\tfrac{P}{n}\cdot\tfrac{M r_i}{J}\cos\theta_i}$$
ここで θᵢ は直接せん断とねじりせん断のなす角です。両ベクトルが同じ向きになるボルト(荷重の反対側で、回転方向と一致する位置)で合力が最大になります。だから「最も遠いボルト」が常に危険とは限らず、向きの一致が効きます——本ツールがベクトル和で判定する理由がここにあります。
会話で学ぶ偏心ボルト群
🙋 偏心ボルト群って、要はモーメントがかかるボルト接合ですよね。なぜ単純に「一番遠いボルトが一番危ない」じゃダメなんですか?
🎓 いい質問。ねじりせん断 P·e·rᵢ/J は確かに距離 rᵢ が大きいほど大きい。でも各ボルトには直接せん断 P/n も同じ向き(荷重方向)で重なる。この2本の矢印が同じ向きにそろうボルト で合力が最大になるんだ。図で赤くなるボルトが、荷重の真下じゃなく少しずれた位置にいることが多いのはそのため。だからベクトルの足し算が必要になる。
🙋 なるほど、向きが大事なんですね。スライダーで偏心距 e を大きくすると、どんどん橙の矢印が伸びていきます。
🎓 そう、ねじり成分は M=P·e に比例するから e に正比例で伸びる。e=0 にすると橙はゼロになって、全ボルトが同じ水色の直接せん断だけになる——これが純せん断の状態。逆に e を大きくすると橙が水色を上回り、危険ボルトの合力が急増する。例えば鉄骨のブラケット接合でアームを長く取りすぎると、この偏心でボルトが効かなくなるんだ。
🙋 ボルトを増やしたり配置を広げたりすると効きますか?「配置スケール r」を大きくすると合力が下がる気がします。
🎓 効くよ。J=Σrᵢ² は配置を広げると二乗で 効くから、外周を広げるとねじりせん断 M·rᵢ/J が下がる。本数 n を増やせば直接せん断 P/n も下がる。プリセットで「一列」と「3×3」を比べると、同じ本数でも縦に広い配置のほうがモーメントに強いのが見える。実務でも、偏心方向に列を広げるのが定石。
🎓 縦軸 V・横軸 e に対して、危険ボルトの利用率を色で塗った地図だよ。白い十字が今の動作点。緑なら余裕、赤に入ると許容オーバー。設計では「e が少し増えても赤に飛び込まないか」を確認する。単一点の計算だと安全に見えても、施工誤差で e がずれた瞬間に危険側、というのを未然に防げる。最終判断は規格値(JISやAISC)と実材料で確認してね。
実世界での応用
鉄骨梁端のブラケット・ガセット接合:偏心したアームに荷重がかかり、ボルト群がモーメントを受ける典型例。
機械架台・ブラケットのボルト締結:片持ち荷重が支持ボルト群を偏心せん断する。
クレーン・搬送機のレールブラケットや、配管サポートの方杖(ブレース)接合の一次検討。
よくある誤解と注意点
「最遠ボルト=危険ボルト」は誤り。 直接せん断とねじりせん断の向きが一致するボルトが危険。本ツールは全ボルトのベクトル和を計算して判定します。
成分を単純に足さない。 直接せん断とねじりせん断はベクトルなので、最大ボルト力は √ で合成します(同方向のとき最大)。
この弾性ベクトル法は剛体回転・弾性挙動を仮定した一次評価です。すべり耐力(高力ボルト摩擦接合)、支圧、板の降伏、規格固有の係数は別途確認してください。
よくある質問
危険ボルト(最大ボルト力)はどう決まりますか? 各ボルトで直接せん断 P/n とねじりせん断 P·e·rᵢ/J をベクトル合成し、合力 |Fᵢ| が最大のボルトが危険ボルトです。最遠ボルトとは限らず、2成分の向きが一致する位置が支配します。本ツールは全ボルトを計算して赤で表示します。
極二次モーメント J とは何ですか? 重心からの距離の二乗和 J=Σrᵢ² です。ねじりせん断 M·rᵢ/J の分母で、配置を外周に広げると二乗で大きくなり、ねじり応力を下げます。偏心モーメントへの抵抗力の指標です。
偏心距 e と本数 n はどちらを優先して見直すべきですか? ねじりせん断は M=P·e に比例するため、e の削減(荷重を重心に近づける)が最も効きます。難しい場合は配置スケール r を広げて J を増やすか、本数 n を増やします。偏心距離マップで動作点が緑域に収まるか確認してください。
この簡易モデルの限界はどこですか? 弾性ベクトル法は剛体回転・弾性挙動を仮定した一次評価です。高力ボルト摩擦接合のすべり、支圧、板の降伏、規格固有の補正係数は扱いません。最終判断では規格値(JIS・AISC等)、実測値、詳細解析、メーカー条件を確認してください。
使い方ガイド
せん断力V(kN)と偏心距離e(mm)を入力します。例:V=50kN、e=120mm
ボルト群の重心軸からの距離r(mm)とボルト本数nを設定します。例:r=85mm、n=4本
スライダーを動かすと、直接せん断/本、偏心成分、最大ボルト力が即時に再計算されます
「許容ボルト力」スライダーに使用ボルトの許容値(kN)を入れると、最大ボルト力に対する利用率(%)が表示されます
具体的な計算例
鋼製フレーム接合部にて、V=60kN、e=150mm、r=90mm、ボルト4本の場合:直接せん断/本 = V/n = 60/4 = 15kN/本。偏心成分 = V·e/(n·r) = 60×150/(4×90) ≈ 25kN/本。本ツールは最も不利な向き(両成分が同方向)として最大ボルト力 = 15+25 = 40kN を評価します。許容ボルト力を80kNとすると利用率 = 100×40/80 = 50%。偏心距 e を大きくすると偏心成分が直接せん断を上回り、利用率が急増します。
実務での注意点
偏心距離eが大きいほどモーメント応力が増大します。e=200mmを超える場合は補強プレートやボルト本数増加を検討してください
ボルト配置が正方形でない場合、重心軸の計算を別途確認し、最遠ボルトのrmax値を入力してください
JIS B 1080の張力値はボルト等級により異なります。M16級(13.2kN)、M24級(22.4kN)で利用率が大きく変わるため、設計段階で確認が必須です