FWSF(自由水面流, Free Water Surface Flow)は浅い池の水面に水を流すタイプで、生物多様性が高く維持コストも安いが、寒冷地では機能低下し、必要面積が最も大きくなります。HSSF(水平流地下式)は砂礫層の中を水平に水を流す方式で、嫌気・好気の中間環境を作りやすく BOD 除去に強い反面、窒素硝化(NH4→NO3)はやや弱いです。VSSF(垂直流地下式)は上から散水して重力で浸透させる方式で、酸素供給が良く硝化に強く、面積効率が最も高い代わりに配水ポンプや定期的な散水サイクルが必要です。
k 値はパイロット試験での実測がベストですが、文献値の目安は BOD 除去で HSSF が 0.06〜0.2 m/day、VSSF が 0.5〜1.0 m/day、FWSF が 0.03〜0.1 m/day です。本ツールのデフォルト 0.3 m/day はおおむね VSSF の中位を想定しています。温度補正は Reed 式 1.06^(T-20) で 10°C 下がると 1.79 倍の面積が必要になります。窒素(TN)の k 値は BOD より一桁小さく、典型で 0.05 m/day 程度を使います。
都市下水処理場の三次処理(仕上げ磨き):活性汚泥法の後段に人工湿地を 1 ha 程度設置すると、残留 BOD・TN・SS をさらに 30〜60% 低減でき、放流先の閉鎖性水域(湖沼・内湾)の富栄養化対策に効きます。霞ヶ浦や琵琶湖、米国フロリダの Everglades Stormwater Treatment Area(4 万 ha 超)が代表例で、後者は世界最大級の人工湿地です。
農業・畜産排水の処理:養豚場・酪農場の汚水は BOD 1,000〜5,000 mg/L、TN 200〜500 mg/L と高負荷で、通常の活性汚泥では維持費がかさみます。VSSF+HSSF のハイブリッドで処理する事例が多く、放流水を灌漑用水としてリサイクルすることで「水・養分・植物バイオマス(ヨシなど)」の三重メリットを得られます。
ストームウォーター・道路雨水処理:都市の道路雨水には重金属・油・タイヤ粉塵が含まれ、そのまま河川に流すと水質悪化を招きます。低地に FWSF タイプの人工湿地を配置すると、雨水ピーク流量の調整池機能と汚染物除去を同時に担えます。米国 EPA の Green Infrastructure Plan で推奨されている手法で、シアトル・ポートランド・東京臨海部などで広く採用されています。