$\log_{10}E = 1.5M + 4.8$
$$\begin{aligned}&\log_{10}\text{PGA} = 0.41M + 1.30\\ &\quad - 0.0034R - \log_{10}(R + c)\\ &c = 0.032\cdot 10^{0.41M}\end{aligned}$$(Fukushima–Tanaka (1990)。Rは本来断層面までの最短距離。本ツールは震源距離 √(R²+h²) で代用)
マグニチュード・震源深さ・震央距離を変えて、PGA(最大地盤加速度)・気象庁震度・MMIスケールをリアルタイム計算。地震波の伝播をビジュアルで確認。
防災・都市計画:特定の活断層で想定される最大マグニチュードの地震が起きた時、市内の各地区でどの程度の震度になるかをシミュレーションし、避難所の耐震強化優先順位や地域防災計画の策定に活用されます。
建築・土木設計:建築物の耐震設計では、建設地における想定震度が基本入力となります。本ツールのような簡易計算は、地盤条件を加味した詳細な解析を行う前の初期検討や、異なる立地条件の比較に用いられます。
地震速報・緊急地震速報システム:観測点で得られた初期微動(P波)のデータからマグニチュードと震源位置を即時推定し、主要動(S波)が到達する前に、各地の予想震度と到達時間を計算して発表する技術の基礎となります。
地震保険・リスク評価:保険会社が地震保険の料率を設定する際や、企業が事業継続計画(BCP)を策定する際に、特定の地点で一定期間内に特定の震度に見舞われる確率(地震ハザード)を評価するプロセスで、基本的な震度推定モデルとして利用されます。
このツールを使う上で、特に実務を意識するなら押さえておきたいポイントがいくつかあります。まず、「計算結果はあくまで平均的な地盤での目安」だということ。ツールの式(Fukushima–Tanaka 1990)は平均的な地盤条件での回帰式で、特定の地点の地盤は反映しません。軟らかい堆積層の上では揺れが大きく、硬い岩盤では小さくなります。例えば、同じ震源から20kmの地点でも、硬い山地では震度5弱と計算されても、埋立地や谷底平野では震度5強以上になる可能性があります。次に、マグニチュードと震度の関係は単純比例ではない点。M7がM6の約32倍のエネルギー(log₁₀E = 1.5M + 4.8)だからといって、震度が1階級上がるわけではありません。震源から十分離れた地点では、Mが1上がっても震度はほとんど変わらないこともあります。最後に、「震央距離」と「震源距離」の違い。ツールの入力は「震央距離R」ですが、実際の揺れは震源からの直線距離「震源距離」で決まります。深さ50kmの地震で震央距離1km(入力の最小値)と入力すると、震源距離は50kmとして計算されます。震央から離れた地点の計算では、この差は無視できますが、震央近くで浅い地震を扱う際は意識が必要です。
2011年東北地方太平洋沖地震(Mw9.0、震源の深さ24km)の震央から仙台市役所までは約175kmです。M=9.0、h=24、R=175を入力すると震源距離は約177km、PGAは約73 gal、震度の目安は4になります。実際には仙台市内で震度5強〜6強(宮城野区で6強)が観測されました。差の主な理由は、長さ数百kmの断層面が仙台の沖合まで広がっていたのに、本ツールは震源を1点とみなして震源距離を使うことです。1995年兵庫県南部地震は気象庁マグニチュード7.3、モーメントマグニチュードは約6.9です。M=6.9、h=16、神戸市中央区までの震央距離R=17を入力するとPGAは約250 gal(震度の目安は5弱と5強の境目)ですが、気象庁の解説では神戸で818 galが記録されています。どちらも、単一の距離減衰式と点震源で求めた値が観測を大きく下回りうることを示す例です。
準拠/参考: モーメントマグニチュード Mw = (2/3)(log₁₀M₀ − 9.1)(Hanks & Kanamori 1979 / USGS)。放出エネルギー log₁₀E = 1.5M + 4.8(Gutenberg–Richter、E は J)。TNT 換算 1 kt = 4.184×10¹² J。PGA 距離減衰は Fukushima & Tanaka (1990):log₁₀PGA = 0.41M − log₁₀(R + 0.032·10^(0.41M)) − 0.0034R + 1.30(gal)。
モデルの前提: スライダーの M をモーメントマグニチュード Mw とみなす。PGA には震源距離 \(\sqrt{R^2+h^2}\)(震央距離 R と深さ h から算出)を用いる。Fukushima–Tanaka式と同じ平均的な地盤条件を仮定する。MMIはWaldら(1999)のPGA区分(%g)をgalに換算した目安(震度VII超ではPGVの方が適するとされる)。気象庁震度は正式には3成分の波形から求める計測震度で決まりPGAだけでは決まらないため、表示は粗い目安である。
適用範囲・限界: 単一の経験的距離減衰式に基づく教育用推定。表層地盤の増幅、断層面の広がり、破壊方向・放射特性、地形効果は含まない。回帰式のばらつきは常用対数で0.21(1σで約0.6〜1.6倍)あり、断層面の広がりを無視するため大地震の震源域近くではさらに大きくずれる。耐震設計の確定値には用いないこと。