地震応答スペクトル計算機 戻る
機械力学

地震応答スペクトル計算機

設計用応答スペクトル(日本建築基準法・ASCE/SEI 7準拠の簡略モデル)をインタラクティブに計算。減衰比・地盤種別を変えてSa、Sv、Sdスペクトルをリアルタイムで比較できます。

地震動・地盤条件
減衰比 ζ
主要減衰比
鉄骨: 2%, RC: 5%, 免震: 20%
スペクトル種別
構造物固有周期
固有周期 T
s
低層RC: 0.1〜0.3s / 超高層: 3〜5s
Sa = — m/s²
計算結果
固有周期 T [s]
Sa [m/s²]
Sv [m/s]
Sd [m]
応答スペクトル(複数減衰比) 加速度スペクトル Sa [m/s²]
スペクトル
建物揺れアニメーション — 地震応答の可視化
理論・主要公式

$$m\ddot{x} + c\dot{x} + kx = -m\ddot{x}_g$$

1自由度系地震応答方程式:$ 質量、$ 減衰係数、$ 剛性

$$\omega_n = \sqrt{k/m}, \quad h = \frac{c}{2m\omega_n}$$

固有角振動数と減衰比:=0.05$(5%)が建物の標準値

$$S_a(T,h) = \omega_n^2 \cdot S_d(T,h)$$

加速度応答スペクトル:$ 変位応答スペクトル

地震応答スペクトルとは

🙋
地震応答スペクトルって何ですか?教科書でグラフを見たけど、何のためにあるのかよく分からなくて…。
🎓
大まかに言うと、建物の「揺れやすさ」を一覧表にしたものだよ。横軸に建物の固有周期(揺れるテンポ)、縦軸に最大応答加速度をとって、ある地震動でどれだけ揺れるかを示しているんだ。このシミュレーターで「固有周期」のスライダーを動かすと、グラフ上で対応する点が動くでしょう?あの値を使って、建物に働く等価的な地震力を $F = S_a \times m$ で簡単に計算できるんだ。
🙋
え、そうなんですか!でも、グラフには加速度(Sa)だけじゃなくて、速度(Sv)と変位(Sd)の線もありますよね?これらはどう使い分けるんですか?
🎓
良いところに気が付いたね。実務では、部材の応力やせん断力を見る時は加速度スペクトル(Sa)、人間の感じる揺れや非構造部材の損傷は速度スペクトル(Sv)、隣接建物との衝突や免震装置のストロークは変位スペクトル(Sd)が重要になるんだ。試しに「主要減衰比」を5%から20%に上げてみて。免震構造のように減衰が大きいと、全てのスペクトル値が一気に下がるのが分かるよ。
🙋
なるほど!でも、このツールのグラフは滑らかな曲線ですよね。実際の地震波で計算したスペクトルはギザギザなのに、どうして設計ではこんな滑らかな曲線を使うんですか?
🎓
鋭い質問だ!実際の地震波ごとのバラツキを考慮して、多くの記録を包絡するような「設計用」のスペクトルを作るからなんだ。ここで「地盤種別」を変えてみて。硬い地盤(Ⅰ種)から軟弱な地盤(Ⅲ種)に変えると、周期が長いところでスペクトル値が大きく盛り上がるでしょう?これは軟弱地盤で長周期の建物が共振しやすいことを表していて、設計ではこの影響を必ず考慮するんだ。

よくある質問

減衰比を大きくすると応答スペクトル全体の値が低下します。地盤種別では、軟らかい地盤ほど長周期側の応答が増幅され、硬い地盤では短周期側が卓越します。リアルタイム比較機能で各ケースの差異を確認できます。
Sa(加速度応答)、Sv(速度応答)、Sd(変位応答)は、近似的にSd = Sa / ω²、Sv = Sa / ωの関係があります(ω=2π/T)。ただし設計用スペクトルでは減衰の影響で厳密には一致しないため、3つを比較して構造物の応答特性を把握してください。
日本国内の建築確認には日本建築基準法のスペクトルを使用します。ASCE/SEI 7は米国基準で、国際プロジェクトや日米比較検討に適しています。本ツールでは両方を切り替え可能で、減衰比や地盤種別も独立に設定できます。
本ツールは簡略モデルによる概略検討用です。実設計では、敷地の地盤調査に基づく詳細な地盤種別判定や、設計用地震動の設定が必要です。あくまで初期検討やパラメータスタディに活用し、最終設計は専門家の判断を仰いでください。

実世界での応用

建築物の耐震設計:建築基準法に基づく最も基本的な応用です。建物の一次固有周期を算定し、設計用応答スペクトルから対応する $S_a$ 値を読み取り、全階に働く等価静的せん断力 $F = S_a \times W$ ($W$は重量)を算定します。この力に対して部材断面を決定します。

免震・制振構造の設計:免震構造では減衰比が20〜30%と高く、周期も長くなります。シミュレーターで減衰比を大きく、固有周期を長く設定するとスペクトル値が大幅に低減されることが確認でき、これが免震効果の基本原理です。装置のストロークは変位スペクトル $S_d$ から評価します。

重要施設(プラント・病院)の耐震評価:石油化学プラントの配管やタンク、病院の大型医療機器など、社会機能維持に重要な非構造部材の耐震性評価に用いられます。機器の固有周期と減衰を評価し、速度スペクトル $S_v$ から期待される応答を予測します。

地震動の特性評価と地盤増幅の考慮:ある地震記録から計算されたスペクトル形状を分析することで、その地震動がどの周期帯の建物に大きな影響を与えるかを評価できます。また、異なる地盤種別のスペクトルを比較することで、軟弱地盤による長周期成分の増幅効果を定量的に把握できます。

よくある誤解と注意点

このツールを使い始める際、いくつか気をつけてほしいポイントがあるよ。まず「設計用スペクトルは絶対的な答えではない」という点。ツールで出てくる滑らかな曲線は、多数の地震記録を統計処理した「代表値」だ。例えば、実際にある地震波を入力して計算すると、この設計曲線を大きく上回るピークが現れることも珍しくない。だから実務では、この設計値に「保有水平耐力」などの安全率を上乗せして設計するんだ。

次に、「1自由度系」モデルの限界を理解しておこう。このツールは建物を1つの質点とばねでモデル化しているけど、実際の建物は多自由度系で、2次、3次の高次モードも応答に影響する。例えば、細長いタワー状の構造物では、1次モード(一番ゆっくりした揺れ)だけでなく、2次モード(逆S字に揺れる)の応答も無視できない。ツールの結果はあくまで一次モードの目安として使おう。

最後に、パラメータ設定の落とし穴。特に「減衰比」は感度が高い。鉄筋コンクリート造で一般的な5%を基準に、鋼構造は2%、免震構造は10〜20%と変わる。ここを安易にデフォルトのままにしておくと、想定とは全く異なる応答評価をしてしまう。必ず対象構造物のタイプに応じた値を設定するクセをつけよう。