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機械力学

ファンカーブ・システム曲線計算機

ファン特性曲線とダクト系のシステム曲線をリアルタイム描画し、動作点・効率・軸動力・比速度を自動計算します。

パラメータ設定
ファン形式
締め切り全圧 ΔP₀
Pa
最大流量 Qmax
m³/s
回転数 n
rpm
システム設定
システム抵抗係数 K
ダクト内径 D
mm
ダクト長さ L
m
ファン効率 η

ファン特性曲線(放物線近似):

$$\Delta P_{fan}= \Delta P_0 \left(1 - \left(\frac{Q}{Q_{max}}\right)^2\right)$$

システム曲線:

$$\Delta P_{sys}= K \cdot Q^2$$

軸動力・比速度:

$$P_{shaft}= \frac{Q \cdot \Delta P}{\eta}, \quad N_s = \frac{n\sqrt{Q}}{\Delta P^{3/4}}$$

ファン則(相似則): $Q \propto n$, $\Delta P \propto n^2$, $P \propto n^3$

計算結果
動作流量 Q [m³/s]
動作全圧 ΔP [Pa]
ファン効率 η [%]
軸動力 P [W]
比速度 Ns
ファン
理論・主要公式

$$H = H_0 - k Q^2$$

ファン特性曲線:全圧 $H$(Pa)は流量 $Q$(m³/s)の2乗で減少。$H_0$ は締切圧力。

$$\Delta P_{sys} = R \cdot Q^2$$

系の圧力損失:抵抗係数 $R$(Pa·s²/m⁶)と流量の2乗に比例。

$$P_{shaft} = \frac{\rho g Q H}{\eta}$$

軸動力(W):$\rho$ は流体密度、$\eta$ は総合効率。ファン選定の基準値。

ファンカーブ・システム曲線とは

🙋
ファンカーブとシステム曲線って、どうしてグラフに2本も線があるんですか?どっちが大事なんですか?
🎓
どちらも大事で、この2本の線の「交点」が実際の運転状態を決めるんだ。大まかに言うと、ファンカーブは「ファンが出せる能力」、システム曲線は「ダクトが邪魔する度合い」を表すんだよ。例えば、上の「締め切り全圧 ΔP₀」のスライダーを動かすと、ファンカーブだけが上下に動くのがわかるかな?これがファンの性能を変えているイメージだ。
🙋
え、そうなんですか!じゃあ「システム抵抗係数 K」を変えると、もう一方の線が動くんですね。この交点が「動作点」ってやつですか?
🎓
その通り!その交点で、実際の「流量Q」と「圧力ΔP」が決まるんだ。実務では、この交点がファンカーブの急な下り坂(右肩下がり)の部分にあると、流量がちょっと変動しただけで圧力が大きく変わって不安定になる「サージング」という現象が起きやすいんだ。シミュレーターで「最大流量 Qmax」を小さくしすぎて交点を右端に近づけてみると、グラフの傾きが急になるのがわかるよ。
🙋
「比速度」って計算結果に出てきますけど、これは何に使うんですか?ファンを選ぶ時の目安?
🎓
いいところに気が付いたね。比速度はファンの「形」を分類するための無次元数なんだ。例えば、比速度が小さい(100以下)と高圧・小流量の「遠心ファン」に多く、大きい(200以上)と大流量・低圧の「軸流ファン」に多い傾向がある。ツールで「ファン形式」を変えたり、パラメータをいじったりすると、計算される比速度の値がどう変わるか確認してみて。設計の第一歩は、この値で大まかなファンタイプを決めることからなんだ。

よくある質問

通常、放物線近似のファン曲線と2次式のシステム曲線の交点は1つです。もし複数表示される場合は、入力した締切全圧や最大流量、システム抵抗係数に矛盾がある可能性があります。数値を見直し、特に流量ゼロ付近の圧力値が適切か確認してください。
軸動力の単位はワット(W)です。この値に安全率(通常1.1〜1.2倍)を掛けたものをモーター定格出力の目安としてください。ただし、実際のモーター選定では始動トルクや使用温度、設置環境も考慮する必要があります。
実測値がない場合は、ダクトの長さ・直径・材質からダルシー・ワイズバッハ式で圧力損失を推算し、流量の2乗に比例する形で係数を逆算してください。簡易的には、既存の類似システムの設計値を参考に初期値を設定し、実機運転後に補正する方法も有効です。
本ツールは放物線近似を用いた簡易モデルです。実機の効率はファン形状やレイノルズ数、漏れ損失などで変わるため、誤差は10〜20%程度生じることがあります。設計の初期検討や傾向把握には有用ですが、最終選定にはメーカーカタログ値や実測データをご使用ください。

実世界での応用

建築空調・換気設計: オフィスビルや商業施設の空調ダクトシステム設計で最も一般的に使用されます。必要な換気量とダクトレイアウトからシステム曲線を求め、カタログ上のファンカーブと照合して適切なファン機種と回転数を選定します。

工場の局所排気装置: 溶接煙や粉塵を捕捉するフードとダクトからなるシステムの設計に活用されます。フードの形状やダクト長さがシステム抵抗係数Kに影響し、動作点が変わるため、確実に汚染空気を吸引できるファンを選ぶために必須の検討です。

電子機器の冷却ファン選定: サーバーラックや変圧器の冷却では、内部の通風経路(フィン間隙など)がシステム抵抗となります。許容温度上昇から必要な冷却風量を求め、その動作点で効率の高いファンを選ぶことで、消費電力と騒音を低減できます。

CAEシミュレーションとの連携: ダクトシステム全体の詳細な流れ解析(CFD)を行い、得られた圧力損失データからシステム曲線の抵抗係数Kを正確に同定します。その後、このツールで様々なファンの組み合わせを試し、最適な動作点を見つける前段階の検討ツールとして活用されます。

よくある誤解と注意点

このツールを使い始めるとき、いくつかつまずきやすいポイントがあるよ。まず「システム抵抗係数Kは定数」という思い込み。実は、ダクトの仕様(内径、長さ、付加損失)が決まれば理論的に計算できるけど、実際の施工後は想定より曲がりが多かったり、ダクトがへこんでいたりで「設計値の1.2〜1.5倍のK値になる」ことはよくある。シミュレーションで最適と思った動作点も、実機では流量不足になる可能性があるんだ。

次にファンカーブの信頼性。このツールの放物線近似はあくまで簡易モデルだ。実際のカタログ曲線は、特にピーク効率付近でなだらかで、高流量域で急激に落ちる複雑な形をしている。近似式は傾向を理解するのに最適だが、最終選定では必ずメーカーカタログの実測曲線と照合しよう。例えば、ΔP₀=500Pa, Qmax=10m³/sで計算したら、カタログでそれに近い特性のファンを探す、という使い方が現実的だね。

最後に安全率の考え方。「必要流量が5m³/sなら、その交点で選べばいいんでしょ?」と考えがちだけど、それは危険。ダクトの目詰まりやフィルターの汚れでシステム曲線は時間とともに上昇する。だから、動作点はファンカーブの効率が最大となる点(最高効率点:BEP)より少し右側(大流量側)に設定するのがコツ。そうすれば、経年変化で交点が左にズレても、効率の良い領域を維持できるし、不安定運転域から遠ざけられるんだ。