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疲労解析ツール

疲労寿命・Goodmanダイアグラムツール

σa/Se + σm/Su = 1——3 つの破壊規準(Goodman 直線、Gerber 放物線、Soderberg 線)を 1 つの線図に重ね、動作点が安全領域内かを瞬時に判定。設計の保守性を視覚化。

材料・荷重パラメータ
引張強さ S_u
MPa
材料の極限引張強さ
疲労限度 S_e
MPa
修正疲労限度(応力集中・表面係数考慮後)
平均応力 σ_mean
MPa
変動応力振幅 σ_alt
MPa
計算結果
安全率 n
Goodman基準
Goodman判定値
σa/Se + σm/Su(< 1: 安全)
予測寿命 N_f
cycles
破壊モード
予測
Goodmanダイアグラム
S-N 曲線(現在の応力振幅での寿命推定)
理論・主要公式

$$\frac{\sigma_a}{S_e} + \frac{\sigma_m}{S_u} = 1$$

修正グッドマン線図:$\sigma_a$ は応力振幅、$\sigma_m$ は平均応力、$S_e$ は疲労限度、$S_u$ は引張強さ(MPa)。

$$N = \left(\frac{S_e}{\sigma_a}\right)^b \cdot N_e$$

S-N曲線(べき乗則):$b$ は疲労強度指数(鋼では約 −0.085)。

$$D = \sum_i \frac{n_i}{N_i}$$

マイナー則:損傷累積 $D \geq 1$ で疲労破壊予測。各応力レベルの繰返し数と寿命の比を積算。

疲労寿命・Goodmanダイアグラムとは

🙋
「疲労寿命」って何ですか?部品が壊れるまでの時間を予測するって聞いたけど、どうやって計算するんですか?
🎓
大まかに言うと、材料が繰り返し応力を受けた時に、いつ破壊するかを予測するための考え方だよ。例えば、自動車のサスペンションスプリングは走行中に何百万回も伸び縮みするよね。その「平均的な力」と「揺れの大きさ」の組み合わせで、寿命が決まってくるんだ。このシミュレーターでは、上のスライダーで「引張強さ $S_u$」や「平均応力 $\sigma_m$」を変えて、その組み合わせが安全かどうかをすぐに確かめられるよ。
🙋
え、平均応力と揺れの大きさで寿命が変わるんですか?図にある「修正Goodman線」と「Gerber放物線」は何が違うんですか?
🎓
そうなんだ。同じ揺れの大きさでも、平均的に引っ張られている力が強いと、早く壊れやすくなる。で、その破壊の限界を表す線がいくつかあるんだ。「修正Goodman線」は実験データを安全側(保守側)に包む直線で、実務で最もよく使われる。一方、「Gerber放物線」は実験データへのフィットが良いんだけど、限界ギリギリを使うことになる。ツールで「疲労限度 $S_e$」の値を小さくしてみると、安全な領域がどんどん狭まっていくのがわかるよ。
🙋
なるほど!で、表示されている「安全率 n=...」って、どう見ればいいんですか?n=1.5とか2.0って、現場ではどう判断するんですか?
🎓
良い質問だね。安全率 $n$ は、今の応力状態が破壊限界の何分の1か、つまり余裕を表しているんだ。$n=1$ なら限界ピッタリ、$n<1$ ならもう壊れている領域だ。実務では、材料のばらつきや想定外の荷重を考慮して、$n \geq 2$ を安全設計の目安にすることが多いよ。例えば航空機部品はもっと厳しい基準だ。ツールで「変動応力振幅 $\sigma_a$」を大きくしていくと、安全率が1を下回って赤く表示されるはずだよ。実際の設計では、この図を見ながら形状や材質を変更して、動作点を安全領域に収める作業をするんだ。

よくある質問

はい、修正Goodman線の内側にある応力点は理論上無限寿命(10^7回以上の繰返し)と判断されます。ただし、これは完全な疲労限度を仮定した基準であり、実際の材料では表面仕上げや応力集中などの影響を考慮する必要があります。安全率を確認し、余裕を持った設計を推奨します。
修正Goodmanは最も一般的で、延性材料に広く使われます。Gerber放物線は修正Goodmanよりやや非安全側ですが、実験データとの一致が良い場合があります。Soderbergは降伏点を基準とするため最も安全側の評価となり、脆性材料や絶対に塑性変形を避けたい場合に適します。用途に応じて切り替えて比較してください。
安全率は、原点から動作点(σm, σa)を通る直線(荷重線)を延長し、破壊限界線との交点までの距離を、原点から動作点までの距離で割った値です。このツールでは自動計算され、数値と色で表示されます。荷重線は平均応力と応力振幅の比率が一定のまま増加する仮定に基づきます。
一般的な金属材料のSeとSuは材料データベースや機械設計便覧に掲載されています。Seは完全逆繰り返し疲労試験から得られ、Suは静的引張試験の値です。不明な場合は、鋼材でSe≒0.5Su程度の概算値を使用できますが、正確な設計には実測値または信頼できる規格値を入力してください。

実世界での応用

自動車・鉄道車両の車軸・サスペンション:走行中に繰り返し曲げとねじりを受ける部品の寿命予測に不可欠です。路面の凹凸による応力変動($\sigma_a$)と、車重による平均応力($\sigma_m$)を評価し、10年や20万kmといった保証寿命を満たす設計を行います。

航空機エンジンタービンブレード:遠心力による高い平均引張応力と、燃気流による振動応力が複合的に作用します。安全性が最優先されるため、保守的な修正Goodman線が設計基準として用いられ、非常に高い安全率が要求されます。

産業機械の回転軸・歯車:モーターやエンジンの出力を伝達する軸は、トルク変動によるせん断応力振幅と、ベルト張力などによる平均応力を考慮します。予期しない過負荷に備え、Gerber線ではなくGoodman線を用いた安全側設計が行われます。

橋梁や建築構造物の接合部:風や交通振動による繰返し荷重を受けるボルトや溶接部の疲労評価に応用されます。特に鉄橋では、数十年にわたる繰返し荷重に耐えるよう、疲労限度$S_e$を正確に見積もった上でGoodmanダイアグラムによる検証が行われます。

よくある誤解と注意点

このツールを使い始める際、特に現場経験の浅いエンジニアが陥りがちな落とし穴がいくつかあります。まず第一に、「疲労限度 $S_e$ は材料カタログ値そのままでは使えない」という点。カタログに載っているのは、鏡面研磨された小さな試験片の理想的な値です。実際の部品は、寸法効果、表面粗さ、加工方法(切削跡や焼入れ)、使用環境(腐食)によって疲労強度が大きく低下します。例えば、引張強さ $S_u=600\text{MPa}$ の鋼でも、大きな部品で表面が粗い場合、疲労限度 $S_e$ は $300\text{MPa}$ から $150\text{MPa}$ 以下にまで下がることも珍しくありません。ツールでパラメータを設定する際は、この「疲労強度低下係数」を考慮した実効的な $S_e$ を使うことが必須です。

第二に、「安全率 $n$ の値だけを見て安心しない」こと。$n=2.0$ だから絶対安全、とは言い切れません。この計算はあくまで「一定振幅応力」を仮定したものです。しかし実機では、大きい応力と小さい応力がランダムに混在する「変動振幅応力」がほとんど。大きな過負荷が一度かかるだけで、その後の小さな応力に対する疲労損傷が加速される「過負荷効果」など、単純なGoodmanダイアグラムでは捕捉できない現象があります。ツールの結果は第一近似として使い、必ず実機での耐久試験や、より高度な累積損傷計算(マイナー則など)と組み合わせて判断しましょう。