パラメータ設定
θ をスイープ
リセット
既定値は n_1=1.00(空気)、n_2=1.50(ガラス)、θ_i=30°、β=0.5(自然光)。s 偏光比率 β は入射光に占める s 偏光成分の割合で、β=1 が純 s 偏光、β=0 が純 p 偏光、β=0.5 が非偏光(自然光)です。
光線の幾何模式図
青帯=媒質1(n_1)/緑帯=媒質2(n_2)/黄=入射光/赤=反射光(角度 θ_i と等しい)/青=屈折光(角度 θ_t、スネルの法則)/白点線=法線
反射率の入射角依存性
横軸=入射角 θ_i(0°〜90°)/縦軸=反射率 R(0〜1)/青=R_s/橙=R_p/緑=R_unpol/緑点線縦線=ブリュースター角/黄縦線=現在の θ_i
理論・主要公式
フレネル反射式は、2 媒質界面における s 偏光・p 偏光ごとの反射係数を与えます。Snell の法則 $n_1 \sin\theta_i = n_2 \sin\theta_t$ から透過角 $\theta_t$ を求めます。
s 偏光(電場が入射面に垂直)と p 偏光(電場が入射面に平行)の反射係数:
$$r_s = \frac{n_1\cos\theta_i - n_2\cos\theta_t}{n_1\cos\theta_i + n_2\cos\theta_t},\quad r_p = \frac{n_2\cos\theta_i - n_1\cos\theta_t}{n_2\cos\theta_i + n_1\cos\theta_t}$$
反射率と非偏光(β は s 偏光比率)反射率:
$$R_s = r_s^2,\ R_p = r_p^2,\ R_{\text{unpol}} = \beta R_s + (1-\beta) R_p$$
ブリュースター角($r_p = 0$)と臨界角($n_1>n_2$ のとき):
$$\tan\theta_B = \frac{n_2}{n_1},\qquad \sin\theta_c = \frac{n_2}{n_1}$$
$n_1, n_2$ は屈折率(無次元)、$\theta_i, \theta_t$ は入射角・透過角。$n_1 < n_2$ のときは全反射しません。
フレネル反射式 シミュレーターとは
🙋
スネルの法則は知ってるんですけど、「フレネル反射式」って何が違うんですか?同じ光の屈折の話ですよね?
🎓
いい質問だ。スネルの法則は「光がどの方向に曲がるか」を決めるが、フレネル式は「光の何 % が反射し、何 % が透過するか」を偏光別に決める。Augustin-Jean Fresnel が 1823 年に弾性体波動論から導出した式で、光学設計の根幹だ。本ツールで既定値(n_1=1.00、n_2=1.50、θ_i=30°、β=0.5)のまま「計算結果」を見てごらん。R_s ≈ 0.058、R_p ≈ 0.025、非偏光 R ≈ 0.041、ブリュースター角 56.31° と表示されるはずだ。空気からガラスへの 30° 入射でも反射は約 4% 程度なんだ。
🙋
なんで s 偏光と p 偏光で反射率が違うんですか?同じ光なのに不思議です。
🎓
電磁波の電場ベクトルが境界面に対してどう向いているかが鍵だ。s 偏光(独 senkrecht)は電場が入射面に垂直、p 偏光(独 parallel)は入射面に平行。境界面での電場の連続条件と Maxwell 方程式から、両者は異なる反射係数を持つ。本ツールで θ_i を 0° から 89° まで動かしてみて — R_s は単調増加するのに対し、R_p は途中で 0 に落ちてから増加する。この「R_p が 0 になる角度」が 1812 年に David Brewster が発見したブリュースター角だ。
🙋
ブリュースター角!偏光サングラスとかで聞いたことがあります。実際どう使われてるんですか?
🎓
最も身近な応用が偏光サングラスと写真の偏光フィルタだ。水面や濡れた路面・車のフロントガラスからの反射光は、ブリュースター角付近では p 偏光成分がほぼゼロで、強い s 偏光成分のみが反射される。だから水平方向の振動を遮断する偏光フィルムをサングラスに入れると、反射光だけがカットされ、まぶしさが激減する。本ツールで n_1=1.00、n_2=1.33(水)に変えると θ_B ≈ 53.06° と表示される。これが「水面のグレアを最大に消せる角度」だ。プロカメラマンが偏光フィルタを回しながら最適角を探すのも同じ理屈さ。
🙋
n_1 が n_2 より大きいときって何が起こるんですか?グラフが急に変わりそうですね。
🎓
鋭い!本ツールで n_1=1.50(ガラス)、n_2=1.00(空気)に切り替えてごらん。臨界角 θ_c = arcsin(1/1.5) ≈ 41.81° で、これを超えると R_s = R_p = 1(全反射、TIR)になる。光ファイバー通信はこの全反射を利用していて、コア(n≈1.47)とクラッド(n≈1.46)の界面で光が無損失で何 km も進む。本ツールでは θ_c の縦点線が現れ、それ以上の入射角で曲線が天井に張り付くのが見える。ブリュースター角もこの場合は内側にあり、θ_B ≈ 33.69° で R_p = 0 になる。光線図でも全反射時は屈折光が消え「全反射 (TIR)」の文字が出るよ。
よくある質問
フレネル反射式とは何ですか?
フレネル反射式は、2 つの異なる屈折率を持つ媒質の境界で光がどれだけ反射し、どれだけ透過するかを偏光別に与える方程式です。Augustin-Jean Fresnel が 1823 年に弾性体波動論から導出しました。s 偏光(電場が入射面に垂直)と p 偏光(電場が入射面に平行)で反射係数 r_s, r_p が異なり、反射率は R = r² で計算します。本ツールでは n_1=1.0、n_2=1.5、θ=30°、β=0.5(自然光)で R_s ≈ 0.058、R_p ≈ 0.025、非偏光 R ≈ 0.041、ブリュースター角 θ_B ≈ 56.3° と表示されます。
ブリュースター角とは何で、なぜ p 偏光が消えるのですか?
ブリュースター角 θ_B は p 偏光の反射率が 0 になる特別な入射角で、tan θ_B = n_2/n_1 で与えられます。この角度では反射光と屈折光のなす角が 90° になり、p 偏光(入射面に平行な電場)の双極子放射方向と反射方向が一致するため、双極子の指向特性により放射されません。ガラス(n=1.5)に対しては θ_B ≈ 56.3°、水(n=1.33)では 53.1° です。本ツールで θ を 56.31° に合わせると R_p が 0 に落ち、反射光が完全に s 偏光になることが確認できます。偏光サングラスや写真の反射除去フィルタはこの原理を利用しています。
n_1 > n_2 のとき臨界角と全反射はどう関係しますか?
光が屈折率の高い媒質(光密、n_1)から低い媒質(光疎、n_2)へ進むとき、入射角が臨界角 θ_c = arcsin(n_2/n_1) を超えると全反射が起こり、R_s = R_p = 1 となります。例えばガラス(n_1=1.5)から空気(n_2=1.0)への場合、θ_c ≈ 41.8° で、これ以上の入射角では光は 100% 反射されます。本ツールで n_1=1.5、n_2=1.0 に切り替え θ を 0°→89° で動かすと、θ_c で反射率が急上昇し全反射領域に入る様子が R-θ 曲線で観察できます。光ファイバーの伝送原理はこの全反射を利用しています。
本ツールで考慮していない物理現象は何ですか?
本ツールは Fresnel 方程式の実数表現のみを扱い、吸収のある媒質(金属など、複素屈折率 n+ik が必要)、薄膜干渉(多層膜での建設的・破壊的干渉)、光の波長依存性(分散)、表面粗さによる散乱、量子効果は含めません。実際の反射防止コーティングや高反射ミラー設計では、TFCalc や Essential Macleod などの薄膜計算ソフトを用い、複数層の干渉効果を考慮します。本ツールは単一界面での偏光反射の基礎理解と概算用途に十分で、光学設計の最初の見積りとして活用してください。複素屈折率を用いた金属反射計算には別途専用ツールを参照する必要があります。
実世界での応用
反射防止コーティング(AR コート): カメラレンズ・眼鏡・スマホ画面に施される反射防止膜は、フレネル式から計算される単一界面反射(ガラス→空気で約 4%)を、薄膜干渉によりほぼ 0% まで低減する技術です。理想的には膜厚 λ/4、屈折率 √(n_substrate) の単層膜(MgF_2 など)が最適で、現代の高級レンズは 10 層以上の多層膜で全可視域 0.5% 以下を実現しています。本ツールで R_unpol を確認すると、無コーティングでは垂直入射でも 4% 反射するため、20 枚レンズ構成のズームレンズでは透過光が (0.96)²⁰ ≈ 44% にまで減ることが理解できます。
偏光サングラス・偏光フィルタ: 水面・路面・車体からの反射光は、ブリュースター角付近で p 偏光がほぼ 0、s 偏光のみが強く反射されます。偏光サングラスは水平方向(s 偏光)の振動を吸収する偏光膜を内蔵し、反射光のグレアを 70〜90% カット。釣り人が水中の魚を見やすくしたり、運転中のヘッドライト反射を防いだりします。本ツールで θ を θ_B 付近に合わせると R_p が 0 に落ち、反射光が完全偏光することが確認でき、偏光フィルタの動作原理を直接観察できます。
光ファイバー通信: ガラスファイバーのコアとクラッドの界面では、入射角が臨界角を超えるよう設計され、光が全反射により無損失で伝送されます。本ツールで n_1=1.47(コア)、n_2=1.46(クラッド)に設定すると θ_c ≈ 81.9° と表示され、これより浅い角度(受光角内)の光だけがファイバー内に閉じ込められます。シングルモードファイバーでは θ_c がさらに急峻に効き、長距離通信(100 km 以上)の損失わずか 0.2 dB/km を実現しています。
太陽電池・建材ガラス: 太陽電池は表面反射を最小化するため、テクスチャー加工と AR コートで反射率を 30%(無加工 Si)から 1% 以下に低減。建材の Low-E ガラスは赤外域の反射率を高め冷暖房効率を向上させます。本ツールで n_2 を 3.5(シリコン)に上げると、無コーティング Si の R_unpol が垂直入射で約 30%、60° 入射で約 35% になることが確認でき、AR 技術の重要性が実感できます。
よくある誤解と注意点
最も多い誤解が、「ブリュースター角では反射光がゼロになる」 というものです。実際にはブリュースター角で 0 になるのは p 偏光 の反射率 R_p のみで、s 偏光 R_s は依然として反射されます。非偏光(自然光)入射の場合、β=0.5 として R = 0.5(R_s + 0) = R_s/2 となり、たとえばガラス(n=1.5)の θ_B では R ≈ 0.078 と決して 0 ではありません。完全に反射を消すには、入射光をあらかじめ p 偏光に偏光させる必要があります。本ツールで β スライダーを 0.0(純 p 偏光)にして θ_B を見ると、初めて R = 0 になることが確認できます。
次に多いのが、「入射角を増やせば反射率は単調に増える」 という誤解です。s 偏光 R_s は確かに 0° → 90° で単調増加しますが、p 偏光 R_p はブリュースター角で一旦 0 まで下がってから急激に増加する非単調曲線を描きます。これは Maxwell 方程式の境界条件から自然に導かれる現象で、Brewster が 1812 年に経験的に発見し Fresnel が 1823 年に理論的に証明しました。本ツールの右グラフで橙色の R_p 曲線をよく観察すると、必ず θ_B で 0 に触れ、そこから急峻に立ち上がっているのが見えます。この非単調性こそがブリュースター角の物理的意味です。
最後に、「フレネル式は実数だから複素数の屈折率は不要」 と思いがちですが、金属(銀・アルミ・金など)や半導体の反射計算では必ず複素屈折率 n + ik(k は消衰係数)を使う必要があります。本ツールは k = 0 の透明誘電体(ガラス・水・プラスチック)専用です。例えば可視光(550 nm)でアルミニウムは n ≈ 0.96、k ≈ 6.69 で、これを実数 n だけでフレネル式に入れると反射率を著しく過小評価します。複素数版の Fresnel 式(位相変化込み)は別途専用シミュレータや数値計算が必要で、エリプソメトリーや薄膜光学の標準ツールが対応しています。