クリック/ドラッグで熱源を配置。フーリエの熱方程式をリアルタイムで体験。
材料・境界条件・速度を自由に変更し、温度場の時間発展を観察できます。
電子機器の熱設計:CPUやパワー半導体の発熱を基板やヒートシンクに効率よく拡散させる設計では、まさに2次元(3次元)の熱拡散解析が必須です。このシミュレーターで「熱源を1点に置いて広がりを観察する」操作は、チップからの放熱パスの設計と同じ感覚を体験できます。
建築の断熱・結露対策:壁や窓を通じた熱の流出入は、熱伝導方程式で記述されます。冬場に窓の室内側が結露するのは、ガラスを通じた熱拡散により表面温度が露点以下に下がるためです。このツールで冷源と熱源を壁の両側に置くと、その温度勾配を直感的に確認できます。
金属加工・溶接の温度管理:溶接時の熱影響部(HAZ)の広がりは、母材中の熱拡散で決まります。材料ごとの熱拡散率の違い(鋼 vs アルミ vs 銅)は、溶接条件の設定に直結します。シミュレーターで材料を切り替えて拡散速度を比較すると、なぜアルミの溶接には大電流が必要なのかが実感できます。
食品工学・殺菌プロセス:缶詰やレトルト食品の加熱殺菌では、容器の中心部まで十分な温度が到達する時間を計算する必要があります。食品の熱拡散率は水に近い値で、金属よりはるかに小さいため、厚い食品ほど加熱に時間がかかります。
まず一つ目の注意点は、「熱伝導率が高い=温度が上がりやすい」は間違いということ。銅は熱伝導率が高いけれど、比熱容量も大きいため、「温度の変わりやすさ」を表す熱拡散率は熱伝導率ほど極端には大きくならない。シミュレーターで鋼と銅を比べると、銅の方が熱が広がるのは速いけど、「温度が上がりにくい」のは比熱の影響なんだ。
次に、「シミュレーションの速度=実際の時間」と思い込まないで。このツールの「速度」スライダーは1フレームあたりの計算ステップ数を変えているだけで、実際の物理時間のスケールは材料のαに依存する。鋼で1秒かかる拡散が、木材では何十秒もかかる。画面上では同じ速度で動いて見えるけど、物理的な時間スケールは「シミュレーション時間 t」の表示を必ず確認しよう。
最後に、2次元シミュレーションの限界を理解しておこう。現実の熱拡散は3次元で起こるため、薄い板の面内拡散には良い近似だけど、厚みのある物体(例えば丸太の断面)の温度分布を正確に予測するには3次元解析が必要。また、このツールは対流や輻射を無視した純粋な熱伝導のみを扱っている。実際の放熱設計では、空気の対流(自然対流・強制対流)が支配的な場合も多いことを忘れずに。
盤面は一様25°Cで始まります。中央に「熱源」(100°C固定)をブラシサイズ3で描き、速度5×で実行すると、銅(相対α=11.6)では熱が速く周囲へ広がり短時間で盤面全体が温まります。同じ操作で木材(相対α=0.13)を選ぶと、αが約90倍小さいため熱が局所に留まり、ゆっくりしか広がりません。材料ごとの熱伝導性の違いが一目で分かります(実際の熱拡散率は銅≈116×10⁻⁶ m²/s、木材≈0.13×10⁻⁶ m²/s)。