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産業ロボット・ペイロード

産業用ロボット 可搬重量 TWR シミュレーター

6軸垂直多関節・SCARA・デルタ・協働ロボットの定格ペイロード・リーチ・ツール条件を入力し、TWR (ペイロード対自重比)、リスト負荷トルク、慣性負荷、サイクル時間を即座に比較できます。FANUC・ABB・Yaskawa・URのカタログを開く前の最初の絞り込みに使えるツールです。

パラメータ設定
ロボット形式
機構ごとに典型 TWR と繰り返し精度を自動設定
定格ペイロード m_payload
kg
最大リーチ r
m
ツール (エンドエフェクタ) 質量
kg
ツール重心距離 r_COG
mm
フランジ面からツール+ワーク重心までのオフセット
目標先端速度 V
m/s
動作モード
主用途を選択 (情報表示のみ。物理計算には影響しません)
計算結果
ロボット質量 (kg)
実効ペイロード (kg)
リスト負荷トルク (N·m)
リスト許容トルク (N·m)
慣性負荷 (kg·m²)
サイクル時間 (s)
ロボットアーム模式図 — 動作軌跡と TWR ゲージ

ベース→アーム→リスト→ペイロードのリンクと、ツール先端の円弧動作軌跡をアニメーション表示します。右上の TWR ゲージは現在の機種別目安値です。

機種別 TWR 比較
ペイロード vs リーチ — 設計マップ
理論・主要公式

$$TWR = \frac{m_{payload}}{m_{robot}},\quad \tau_{wrist} = (m_{tool}+m_{payload})\,g\,r_{COG}$$

TWR (Payload-to-Weight Ratio) はロボット本体質量に対する可搬重量比。リスト負荷トルク τ_wrist はツール+ワーク質量とフランジ面からの重心距離 r_COG の積。

$$\tau_{allow}\;\approx\;m_{payload}\,r\,g\,\cdot\,0.1,\qquad J\,\approx\,(m_{tool}+m_{payload})\,r^{2}$$

経験則のリスト許容トルク (6軸 で payload·reach·g·0.1 程度) と慣性負荷 J。J が大きいとサーボ加減速時の追従誤差が増える。

一行解説: 6 軸 TWR 0.05–0.10、SCARA 0.15–0.25、デルタ 0.05–0.10、協働 0.08–0.12。リスト負荷で過大ツールチェック。

産業用ロボット 可搬重量 vs 重量比 TWR — ペイロード設計

🙋
同じ「10kg運べる」ロボットでも、メーカーや形式によって本体重量が全然違うって聞きました。これってどう選べばいいんですか?
🎓
いいところに気づいたね。鍵は「ペイロード対自重比=TWR」だ。6軸垂直多関節は剛性確保のためどうしても重くなって、10kg運ぶのに本体125kg級。一方SCARAは構造が単純で同じ10kgを50kgで運べる。デルタはアームを軽くした分0.05〜0.10、協働ロボットは安全減速機構を含めて0.08〜0.12が目安。床耐荷重・架台コスト・配電容量にぜんぶ効くから、選定の最初の足切りに使えるよ。
🙋
なるほど。でもツールも付けるじゃないですか。グリッパとか溶接トーチとか。あれって「ペイロード」に含まれるんですか?
🎓
いい質問だね。カタログの「定格ペイロード」はフランジ面に取り付ける「全質量」のことなんだ。だからグリッパ3kg+ワーク7kgで合計10kgなら、定格10kgのロボットでギリギリOK。さらに重心オフセット r_COG が効いてくる。リスト負荷トルクは τ = m·g·r で出るから、ワークがフランジから100mm離れていると、軽くてもトルクは思った以上に大きくなる。各メーカーの「ペイロード許容ダイアグラム」を必ず確認してね。
🙋
リーチを長くすればワークが遠くても届くから良さそうですけど、デメリットってあるんですか?
🎓
大いにあるよ。リーチが伸びるとリスト許容トルクは relativly に下がるし (本ツールでは payload·reach·g·0.1 で近似)、慣性負荷 J ∝ r² で2倍リーチで4倍だ。サーボの加減速がついていけなくなって、サイクル時間が延びる、軌跡精度が落ちる、振動が増える、と良いことがない。だから「必要最小リーチ+10〜15%余裕」が定石。例えば自動車ボディの溶接で1.6m必要なら、1.8mリーチを選ぶ感じ。
🙋
最後にひとつ。協働ロボット (cobot) って最近よく聞きますが、普通の6軸とどう違うんですか?
🎓
大きな違いは「安全」だ。普通の6軸は安全柵の中で高速 (2m/s前後) で動くけど、cobotは人と協働するため ISO/TS 15066 で先端力を制限していて、典型先端速度は0.25〜1.0m/s。Universal Robots、KUKA iiwa、FANUC CRX、TechManなどがこの領域。柵が要らない代わりにサイクル時間が長くなるから、ピック&プレースの大量生産には不向き。逆に多品種少量や、人と並んで部品供給する用途では最強だね。

よくある質問

TWR (Payload-to-Weight Ratio) は、ロボットの定格可搬重量 m_payload をロボット本体の質量 m_robot で割った値で、TWR = m_payload / m_robot です。6軸垂直多関節は剛性確保のため0.05〜0.10と低く、SCARAは構造が単純で0.15〜0.25と高い、デルタはアーム軽量化で0.05〜0.10、協働ロボットは安全減速機構を含めて0.08〜0.12が目安です。同じ10kgを運ぶのに6軸は125kg級、SCARAは50kg級になります。床荷重・架台コスト・サイクル時間のすべてに効くため、機種選定の最初の絞り込み指標として使えます。
リスト負荷トルクは τ_wrist = (m_tool + m_payload) × g × r_COG で算定され、ツール+ワーク質量とCOG オフセット r_COG の積で増えます。これがリストの許容トルク (経験則で payload × reach × g × 0.1 程度) を超えると、(1) リスト関節サーボのオーバーロード、(2) 減速機の早期摩耗、(3) 軌跡精度の急激な悪化が発生します。対策は、ツールの軽量化、COG をフランジ面に近づける設計変更、上位機種への変更です。各メーカーが配布するペイロード許容ダイアグラム (FANUC、ABB、Yaskawa) は必ず参照してください。
ロボット関節は角速度に上限があり、典型値で200 deg/s ≒ 3.5 rad/s程度です。先端速度は v = ω × r でリーチ r に比例しますが、加減速距離は r² に比例して延びます。リーチが2倍になるとピーク速度は2倍に上がる一方で、停止までの距離も4倍に伸び、ピック&プレース1サイクルあたりの所要時間は1.4〜1.8倍になります。本ツールでは概算として cycle = 4·reach / V を用いていますが、実機の正確なサイクル時間はメーカーのシミュレーター (ABB RobotStudio、FANUC RoboGuide、Yaskawa MotoSim) で検証してください。
繰り返し精度は「同じ教示点に戻ったときのばらつき」で、ISO 9283 で定義される RP 値です。6軸は ±0.05mm、SCARA は ±0.01mm、デルタは ±0.02mm、協働ロボットは ±0.10mm が典型です。これに対し絶対精度は「指令座標と実際の到達座標のズレ」で、リンク寸法誤差・関節たわみ・キャリブレーション残差で0.05〜0.5mm程度になります。視覚補正なしでオフラインティーチングする場合、精度が支配的になるため、ピック&プレース・パレタイズなら繰り返し精度、シーリング・組立・接着なら絶対精度を主指標にしてください。

実世界での応用

自動車スポット溶接ラインの機種選定:ボディシェル溶接ラインでは、サーボガン2.5〜3.5tの吊り下げに耐える165〜210kgペイロードの6軸が標準で、FANUC R-2000iC、ABB IRB 6700、Yaskawa GP110/180/210がこの領域を支配しています。TWR ≒ 0.08を満たすため本体質量は1.2〜2.6t級、床耐荷重とアンカー設計がプリント、可搬重量だけでなく「機械設置位置に床が耐えられるか」が選定の最初の関門になります。

電子部品ピック&プレースのデルタ採用:菓子箱詰めや小型部品高速搬送ではサイクル100〜200pick/分が必要で、SCARAやデルタが選ばれます。ABB FlexPicker IRB 360、Adept Quattroなどデルタは並列リンクでアームを徹底軽量化、TWR 0.05〜0.10と低いものの先端慣性が極小で、3〜10m/sの高速動作が可能。本ツールでデルタを選ぶと最高速度域が広がるのはこのためです。

協働ロボットによる部品供給と組立:Universal Robots UR10e、KUKA iiwa、FANUC CRX、TechMan TM12などの協働ロボットは、ISO/TS 15066に準拠した先端力制限で柵なし運用が可能。多品種少量や、ライン横で人と並ぶセル組立に最適です。ただし安全減速で平均サイクルが1.5〜2倍になるため、年産1万台を超える大量生産では従来の6軸+柵の方が経済的なケースも多く、ROI 計算が選定のカギになります。

パレタイジングロボットの可搬重量と段積み速度:20kg袋を1200袋/時で15段に積むパレタイジングでは、Yaskawa MPL160、FANUC M-410iC、ABB IRB 660 など160〜310kg級の専用機が使われます。可搬重量だけでなく、リーチ3.1〜3.5m、リスト3軸の高トルク化、Z軸モーションの最適化が組み合わさり、「ペイロード×段積み高さ×到達範囲」の3次元で評価する必要があります。

よくある誤解と注意点

第一の落とし穴は、「カタログ定格ペイロード = ワーク可搬量」と勘違いすることです。カタログの「Payload 10kg」はフランジ面に取り付ける「全質量」の上限であり、ツール (グリッパ、エフェクタ) の質量を含みます。例えば3kgの真空グリッパを付ければワークの上限は7kgです。さらに各メーカーが提供する「ペイロード許容ダイアグラム (load chart)」を読まないと、COG オフセットと慣性によっては定格の半分しか積めないこともあります。FANUC・ABB・Yaskawa のデータシートには必ず Load Capacity Diagram があるので、これと現実のツール+ワーク仕様を照合してください。

第二の誤解は、「TWR が高い = 良いロボット」と考えることです。SCARAやデルタはTWRが高いものの、可動範囲・自由度・到達姿勢が限定的で、6軸の汎用性とは比較になりません。3次元複雑姿勢のシーリングや組立では、TWR 0.07の6軸ロボットの方がTWR 0.20のSCARAより圧倒的に高機能です。TWR は「同じ用途内での機種比較指標」であって、用途を跨いだ性能指標ではない点に注意してください。

第三の注意点は、「繰り返し精度と絶対精度の混同」です。多くのカタログには ±0.05mm のような repeatability が掲載されていますが、これは同一教示点への帰還ばらつきであって、CAD座標を直接渡したときのズレ (絶対精度) ではありません。絶対精度は通常 repeatability の5〜10倍で、0.2〜0.5mmが典型です。オフラインティーチング、視覚補正なしでの組立、レーザー精密加工などでは絶対精度が支配的になるため、必要な精度仕様を repeatability で議論していると現場でハマります。ABB Absolute Accuracy、Yaskawa AC Calibration などのキャリブレーションオプションを検討してください。

使い方ガイド

  1. ロボット機種を選択し、定格可搬重量(kg)とリーチ(m)を入力します。例:FANUC M-20iD/25 は定格25kg、リーチ1.83m
  2. ツールフランジ質量(kg)と重心位置(mm)を設定します。スピンドルモータ付きの場合は総質量を計上してください
  3. シミュレーターが実効ペイロード、リスト負荷トルク、慣性負荷、サイクル時間を自動計算し、機種間の比較結果を表示します

具体的な計算例

Yaskawa HC10DTP(定格10kg、リーチ1.2m、自重120kg、TWR=0.083)にタッピング加工用スピンドル5kgを取り付け、重心位置150mm奥行の場合:リスト負荷トルク=(5+0.8)×9.81×0.15≈85.5N·mとなり、許容トルク90N·mに接近します。一方、ABB IRB1200-7/0.9(定格7kg、リーチ0.9m)では同一工具でリスト負荷トルク60N·m程度に抑制でき、高速化(サイクル時間12秒→10秒)が可能になります。

実務での注意点