等価雑音温度 Te は、雑音係数を「温度」の言葉で言い換えたものだよ。Te = (F−1)·T0、T0 は 290 K。NF が 1 dB を切るような超低雑音の系——衛星通信や電波天文の受信機——では、NF を dB で語るより Te を K(ケルビン)で語ったほうが差が見やすいんだ。例えば NF=0.5 dB と 0.3 dB の差は dB だとわずかだけど、Te だと 35 K と 21 K でかなり違って見える。両方とも同じ情報の別表現で、F = 1 + Te/T0 でいつでも行き来できる。
よくある質問
縦続接続された段の総合雑音係数はフリスの公式 F_total = F1 + (F2−1)/G1 + (F3−1)/(G1·G2) で求めます。F は線形の雑音係数、G は線形の利得で、雑音指数 NF[dB] からは F = 10^(NF/10)、利得 G[dB] からは g = 10^(G/10) と換算します。総合雑音指数は NF_total = 10·log10(F_total) [dB] です。後段の雑音寄与が先行段の利得で割られる点が、この式の最大のポイントです。
等価雑音温度 Te は、雑音係数 F を温度の言葉で表したもので Te = (F−1)·T0 で定義されます。T0 は基準温度 290 K です。雑音指数 NF[dB] は商用無線でよく使われ、Te[K] は衛星通信や電波天文のように極端に低雑音な系で使われます。両者は同じ情報の別表現で、F = 1 + Te/T0 で相互変換できます。例えば NF=1.5 dB は F≈1.41、Te≈120 K に対応します。
最も効くのは第1段の雑音指数 NF1 を下げることです。総合NFは第1段にほぼ等しいため、NF1 を 0.5 dB 下げれば総合NFもほぼ 0.5 dB 下がります。次に第1段の利得 G1 を上げると、後段の雑音寄与 (F2−1)/G1 が小さくなり、後段の影響を抑えられます。逆に、第1段の前にケーブルやフィルタなど損失のある素子(利得が負)を入れると、その損失分がそのまま総合NFに上乗せされるため避けるべきです。
衛星通信・GPS受信機:静止衛星や測位衛星からの電波は極端に微弱で、受信機は等価雑音温度で性能を語ります。低雑音ブロックダウンコンバータ(LNB)は Te が数十Kオーダーの超低雑音設計で、アンテナ直下に置かれます。アンテナとLNBの間にケーブルを挟むと、その損失がそのまま雑音温度に上乗せされるため、LNBはアンテナフィードに直結するのが定石です。
電波天文・レーダー:電波望遠鏡の受信系は、Te を可能な限り下げるために初段を冷却(クライオスタット)することすらあります。フリスの公式に従えば、初段の Te を下げ利得を確保すれば、後段のミキサや分光計の雑音は無視できるレベルまで薄められます。本ツールの「累積雑音指数」グラフは、この「初段でほぼ決まり、後段でほとんど増えない」様子を可視化しています。
まず最大の誤解が、「雑音指数は dB なので、段ごとに足し算すればよい」というものです。フリスの公式は雑音指数(dB)ではなく、線形の雑音係数 F と線形の利得 G で計算します。NF=3 dB は F=2、NF=6 dB は F≈4 であって、F どうしを式に入れてから最後に NF_total = 10·log10(F_total) で dB に戻します。dB のまま足したり割ったりすると、まったく違う答えになります。本ツールが内部で 10^(NF/10) の換算を行っているのはこのためです。
次に、「第1段の前に損失素子を入れても大したことはない」という油断です。アンテナとLNAの間にケーブル・コネクタ・帯域フィルタを挟むと、それは利得が負の「段」になります。損失 L dB の素子は雑音指数も L dB で、しかもそれが第1段になると、後続のLNAの寄与がその損失で割られて悪化します。結果として総合NFは「損失 + 元のNF」にほぼ等しくなります。1 dB のケーブル損失は、そのまま 1 dB の受信感度劣化です。だからLNAは可能な限りアンテナの直近に置きます。
最後に、「総合NFさえ良ければ受信機は完成」という思い込みです。フリスの公式が扱うのは小信号の雑音性能だけで、強い入力に対する歪み(IP3、1 dB 圧縮点)やダイナミックレンジは別問題です。第1段の利得を欲張って上げすぎると、後段が強信号で飽和・混変調を起こしやすくなります。実務では、NF を下げる方向と、線形性(歪みにくさ)を確保する方向のトレードオフを取りながら、各段の利得配分を決めます。雑音と歪みの両方を見て初めて、まともな受信機設計になります。