ファイバー種別プリセット
リンクパラメータ
送受信パラメータ
リンク収支サマリー
理論・主要公式
合計損失:$L_{total}= \alpha \cdot L + N_{conn}\cdot l_{conn}+ N_{sp}\cdot l_{sp}$
受信電力:$P_{rx}= P_{tx}- L_{total}$
マージン:$M = P_{rx}- P_{rx,min}$
分散ペナルティ:$\Delta L_{disp}\approx 5\log_{10}\!\left[1+\left(\pi D \Delta\lambda L B^2\right)^2/2\right]$
最大伝送距離:$L_{max}= (P_{tx}- P_{rx,min}- L_{fixed}) / \alpha$
光ファイバーリンク設計とは
🙋
光ファイバーリンク設計って、何を計算してるんですか?「損失バジェット」とか「パワーマージン」って聞くと難しそう…。
🎓
大まかに言うと、「送った光が弱くなりすぎずに相手に届くか」を確かめる作業だよ。例えば、東京と大阪を光ファイバーでつなぐ時、距離で光は弱くなるし、途中のコネクタや接続点でも少しずつロスが発生する。全部足し算して、最終的に受信機が感じ取れる最低電力より上に残ってるかをチェックするんだ。このシミュレーターで「伝送距離」のスライダーを動かすと、合計損失がどう変わるかすぐわかるよ。
🙋
なるほど、足し算なんですね。でも「分散ペナルティ」ってのもありますよね?これは何の足し算なんですか?
🎓
いいところに気づいたね!分散は足し算じゃなくて、信号の「広がり」による劣化だ。光の中の違う色(波長)がファイバー内で違う速さで進むから、パルスが時間的に広がってしまうんだ。これが大きいと、隣のパルスと干渉して誤りが増える。実務では、10Gbpsのシステムでこのペナルティが1dBを超えないように設計するんだ。上の「分散係数D」と「ビットレートB」を大きくしてみると、ペナルティが急激に増えるのが体感できるよ。
🙋
え、そうなんですか!じゃあ、パワーマージンが十分あっても、分散でダメになることがあるんですね。現場で「OSNR」も気にするって聞きますが、これは何を見てるんですか?
🎓
その通り!OSNR(光信号対雑音比)は、信号に対するノイズの大きさを見るんだ。光増幅器を使う長距離システムでは、このノイズが主要な制限要因になる。例えば海底ケーブルでは、OSNRが15dBを切らないように慎重に設計するよ。シミュレーターで「送信電力」を下げてみると、損失は変わらなくてもOSNRが悪化して、リンクが成立しなくなる様子がわかる。パワーとノイズ、両方のバランスが大事なんだ。
よくある質問
一般的なシングルモードファイバー(SMF)用コネクタは0.2~0.5dB/個、融着スプライスは0.02~0.1dB/個が目安です。実際の機器仕様や現場実績に応じて調整してください。MMFではコネクタ損失がやや大きくなる傾向があります。
まず伝送距離を短くするか、ファイバーの分散係数が小さいもの(例:NZ-DSF)に変更します。また、光源の波長幅を狭くする、変調方式をNRZからチャープ抑制型に変えることも効果的です。シミュレーターで各値を調整し、ペナルティが許容値(通常1~2dB)以下になるか確認してください。
OSNR改善には、送信パワーを上げる、光アンプの利得や雑音指数を見直す、またはファイバー損失を減らす(距離短縮やスプライス数削減)方法があります。受信感度は変調方式やビットレートに依存するため、OSNRマージンが3dB以上確保できるよう設計値を調整してください。
伝送距離とビットレートが鍵です。SMFは長距離(10km以上)や高速(10Gbps超)に適し、MMFは短距離(数百m以内)で低コストなシステムに適します。シミュレーターで両方の条件を入力し、損失バジェットと分散ペナルティが許容範囲内か比較してください。
実世界での応用
都市間長距離幹線網:数百kmに及ぶ通信事業者のバックボーン回線設計に使用されます。中継器(光増幅器)の設置間隔を決定する際、損失バジェットとOSNRの両方を厳密に計算し、信号品質を確保します。
データセンター内接続(DCI):数kmから数十kmのデータセンター間接続では、超高ビットレート(400Gbps以上)が要求されます。分散ペナルティの計算が特に重要となり、分散シフトゼロファイバーやデジタル信号処理(DSP)による補償が必要かどうかの判断材料になります。
FTTH(ファイバー戸別導入)ネットワーク:中央局から各家庭までの配線設計に活用されます。分岐点(スプリッタ)による大きな損失を考慮しつつ、全ての家庭で十分な受信光パワーが得られるように分岐比と伝送距離を最適化します。
海底ケーブルシステム:最も過酷な長距離伝送環境です。損失、分散、非線形効果、そして光増幅器の累積ノイズ(OSNR劣化)を総合的にモデル化し、数十年の運用に耐える信頼性を設計段階でシミュレーションします。
よくある誤解と注意点
まず、「損失バジェットがクリアできれば全てOK」と思っていないか? これは大きな落とし穴だ。損失バジェットは静的な計算だが、実際のシステムは温度変化や経年劣化でパラメータが変動する。例えば、コネクタの損失は使用や清掃状態で0.1dB程度変動することもある。だからこそ、シミュレーターで設定する「パワーマージン」は、単なる安全余裕ではなく、こうした実運用での変動を吸収するための命綱なんだ。経験則では、少なくとも3dB、信頼性を求めるシステムでは5dB以上のマージンを確保しよう。
次に、パラメータの入力単位を間違える初心者が多い。特に分散係数Dの単位は[ps/(nm・km)]だ。よくある間違いは、ファイバー仕様書の値が[ps/(nm2・km)](分散スロープ)で記載されているのを見落とすこと。また、ビットレートBはGbpsで入力するのに、式の中で使う時は[bps]に直す必要がある計算もあるから注意だ。NovaSolverは内部で単位変換してくれるが、他のツールや手計算ではここで計算が狂う。
最後に、「受信感度は固定値」と考えること。データシートに書いてある受信感度は、特定のビット誤り率(例えばBER=10-12)での値だ。しかし、分散やノイズが増えると、同じBERを維持するためにはより強い光が必要になる。つまり、実質的な感度はシステムの状態によって悪化する。シミュレーターで分散ペナルティを計算するのは、まさにこの「感度の悪化分」を見積もるためなんだ。