光ファイバー導波路設計 戻る
電磁気・光学

光ファイバー導波路設計シミュレーター(V値・モード)

コア半径・NA・波長からV値(正規化周波数)を計算し、シングルモード/マルチモードの境界 V=2.405、カットオフ波長、モード数をファイバー断面のモードパターンでリアルタイム可視化します。

ファイバープリセット
導波路パラメータ
コア半径 a
µm
SMF:約4.1µm / MMF:約25µm
開口数 NA
NA=√(n_core²−n_clad²)。SMF:約0.12 / MMF:約0.20
波長 λ
µm
代表帯:0.85 / 1.31 / 1.55µm

設計のポイント

V値が 2.405未満 なら基本モード LP01 のみのシングルモード、2.405超 なら高次モードが立ち上がりマルチモードになります。右の断面でモードパターンの増え方を確認しながら、a・NA・λを調整してください。

一時停止中はスライダーを動かすと結果が即座に更新されます。

ライブ数値
V値(正規化周波数)
動作モード
伝搬モード数(概算)
カットオフ波長 λc [µm]
ファイバー断面のモードパターン & V値スケール
シングルモード (V<2.405) マルチモード (V>2.405) V=2.405 カットオフ境界
設計サマリー
V値
モード
モード数(概算)
カットオフ波長 (µm)
V値 vs 波長(モード数の立ち上がり)
理論・主要公式

正規化周波数(V値):$V = \dfrac{2\pi a}{\lambda}\,\mathrm{NA} = \dfrac{2\pi a}{\lambda}\sqrt{n_{co}^2-n_{cl}^2}$

シングルモード条件:$V < 2.405$(基本モード LP01 のみ伝搬)

カットオフ波長:$\lambda_c = \dfrac{2\pi a\,\mathrm{NA}}{2.405}$($\lambda>\lambda_c$ でシングルモード)

伝搬モード数(ステップ型、概算):$N \approx \dfrac{V^2}{2}$

検証例:$a=4.5\,\mu m,\ \mathrm{NA}=0.12,\ \lambda=1.31\,\mu m$ → $V\approx 2.59$(シングルモード境界のすぐ上)。

光ファイバー導波路設計(V値・モード)とは

🙋
ファイバー設計で出てくる「V値」って何ですか?「シングルモード」とか「マルチモード」を決めるって聞いたけど、難しそう…。
🎓
大まかに言うと、V値(正規化周波数)は「このファイバーは光をいくつの形(モード)で運べるか」を表す一つの数字なんだ。V=(2πa/λ)·NAで、コア半径a・波長λ・開口数NAだけで決まる。そして魔法の境界が V=2.405。これより小さければ基本モードLP01だけが通る「シングルモード」、大きければ高次モードも通り始めて「マルチモード」になる。上のスライダーでコア半径を太くしてみると、Vが2.405を越えた瞬間に右の断面で2つ目のモードが現れるのが見えるよ。
🙋
なるほど、Vが境界を越えるとモードが増えるんですね。その「カットオフ波長」ってのは何ですか?
🎓
いい質問だね。カットオフ波長λcは「ちょうどVが2.405になる波長」のこと。式を解くと λc=2πa·NA/2.405 だ。運用波長がλcより長ければVは2.405未満になってシングルモード、短ければ高次モードも立ち上がる。標準SMFはλc≈1.26µmくらいに設計されていて、1.31µmや1.55µmの通信帯ではちゃんとシングルモードになるんだ。波長スライダーを左に振ってλを短くすると、同じファイバーでもマルチモードに切り替わるのが確認できるよ。
🙋
じゃあマルチモードだと、モードはいくつくらい通るんですか?
🎓
ステップインデックス型なら、Vが大きいとき伝搬モード数は概ね N≈V²/2 で見積もれる。V=10なら約50、V=20なら約200だ。コア径50µm・NA0.2のMMFを850nmで使うとV≈37になって、数百モードが一斉に通る。だからMMFは大量の光を集められる反面、モードごとに到達時間がずれる「モード分散」で長距離・高速には不利になる。シミュレーターでMMFプリセットを押すと、右の断面が一気に多数のモードパターンで埋まるのが分かるよ。

物理モデルと主要式

ファイバーが伝搬させるモードの数を決めるのが正規化周波数(V値)です。コア半径$a$、波長$\lambda$、開口数$\mathrm{NA}=\sqrt{n_{co}^2-n_{cl}^2}$から次式で求まります。

$$V=\frac{2\pi a}{\lambda}\,\mathrm{NA}=\frac{2\pi a}{\lambda}\sqrt{n_{co}^2-n_{cl}^2}$$

基本モードLP01のすぐ上に立ち上がるLP11のカットオフが$V=2.405$(ベッセル関数$J_0$の第1零点)であり、これがシングルモード/マルチモードを分ける境界です。

カットオフ波長$\lambda_c$(Vが2.405になる波長)と、十分大きなVでの伝搬モード数の概算は次の通りです。

$$\lambda_c=\frac{2\pi a\,\mathrm{NA}}{2.405},\qquad V<2.405 \Rightarrow \text{シングルモード},\qquad N\approx\frac{V^2}{2}$$

$\lambda>\lambda_c$ なら基本モードのみ(実際は2偏波)が伝搬します。検証例:$a=4.5\,\mu m,\ \mathrm{NA}=0.12,\ \lambda=1.31\,\mu m$ では$V\approx2.59$となり、シングルモード境界のすぐ上(弱マルチモード寄り)であることが分かります。

よくある質問

V=2.405はLP11モードのカットオフです。Vがこれをわずかに超えると、第2モード(LP11)が伝搬し始め、二重像やモード分散の原因になります。安定したシングルモード動作を狙うなら、運用波長でV≈2.0〜2.3程度に余裕を持たせるのが実務的です。シミュレーターでV値を表示しながら、コア半径・NA・波長を微調整して境界からの距離を確認してください。
V値は波長λに反比例します(V∝1/λ)。波長を短くするとVが大きくなり、カットオフ波長λcを下回るとマルチモードに切り替わります。例えばλc≈1.26µmのSMFは1.31µmや1.55µmではシングルモードですが、850nmで使うとVが2.405を超えマルチモードになります。波長スライダーを動かして、V値スケール上のマーカーが境界をまたぐ様子を確認してください。
V=(2πa/λ)·NAなので、NA(コア/クラッドの屈折率差に対応)を下げるとVが直接小さくなり、シングルモード条件V<2.405を満たしやすくなります。ただしNAを下げすぎるとモード径が広がり、曲げ損失や接続損失が増えます。実用SMFはNA≈0.12前後、コア半径≈4µm前後で、運用波長のカットオフ直下になるよう設計されています。
ステップインデックス型では、Vが十分大きいとき伝搬モードの総数(偏波・縮退を含む)は N≈V²/2 で概算できます。グレーデッドインデックス型(α=2の放物型)ではN≈V²/4とおよそ半分になります。シミュレーターのモード数表示はステップ型の概算値で、断面パターンの数とあわせて多モード化の度合いを直感的に把握できます。

実世界での応用

長距離・幹線用SMFの設計:コア半径とNAを選んで運用波長(1.31/1.55µm帯)で確実にシングルモード(V<2.405)になるよう設計します。シングルモードならモード分散がゼロになり、長距離・高速伝送に適します。カットオフ波長を運用波長より少し短く設定するのが定石です。

データセンター用MMFの設計:コア径50µm・NA0.2のMMFは850nmでV≈37となり数百モードが伝搬します。大きなコアで結合が容易・低コストな反面、モード分散が帯域を制限するため、グレーデッドインデックス(OM3/OM4/OM5)で差分モード遅延を抑える設計が重要です。

センサ・ファイバレーザー用特殊ファイバー:少数モード(FMF)や大モード面積(LMA)ファイバーでは、V値を意図的に2.405直上に置いて2〜数モードだけを伝搬させます。V値とモードパターンの対応を把握することが、モード多重(SDM)やビーム品質設計の出発点になります。

教育・実験:V=2.405という単一のしきい値でシングル/マルチが切り替わる様子は、導波路理論の核心です。コア半径・NA・波長のどれを変えてもV値経由で同じ境界に効くことを、断面のモードパターンで視覚的に確認できます。

よくある誤解と注意点

まず、「コアが太い=高性能」と思っていないか? これは大きな誤解だ。コア半径aを大きくするとV値が上がり、すぐにマルチモード(V>2.405)に入ってしまう。長距離・高速通信ではモード分散が致命的なので、むしろコアを細く(a≈4µm)してシングルモードに保つことが重要だ。シミュレーターでコア半径を上げていくと、Vが2.405を越えた瞬間に第2モードが現れるのを確認できる。「太いほど良い」のはあくまで集光・結合のしやすさの話であって、伝送品質とは別問題なんだ。

次に、カットオフ波長の向きを取り違える初心者が多い。V∝1/λなので、波長が長いほどVは小さくなり、シングルモードになりやすい。つまりλ>λcでシングルモード、λ<λcでマルチモードだ。「短い波長のほうがシングルモードになりやすい」と逆に覚えてしまうと、波長帯の選定を誤る。シミュレーターで波長を動かし、V値スケール上のマーカーが境界をどちらに動くか必ず確認しよう。

最後に、モード数の公式 N≈V²/2 を境界付近でも使えると考えること。この近似はVが十分大きい多モード領域でのみ妥当で、V=2.405直上の少数モード領域では成り立たない。境界のすぐ上では実際に伝搬するのはLP01とLP11のわずか数群だけだ。本ツールはVが小さい領域では実際のLPモードのカットオフ(2.405, 3.832, …)に基づいてモードを数え、十分大きい領域でのみV²/2近似を使い分けている。手計算で概算するときは、この適用範囲に注意してほしい。

使い方ガイド

  1. ファイバープリセット(SMF 1310/1550nm、SM境界付近、MMF 850nm)を選ぶか、コア半径a・開口数NA・波長λを直接入力する
  2. V値(正規化周波数)と「シングル/マルチ」判定、伝搬モード数、カットオフ波長が即時に算出される。V=2.405がシングル/マルチの境界
  3. 右の断面アニメーションでモードパターンの数と形を確認。a・NA・λを動かしてV値スケール上のマーカーが境界をまたぐ様子を観察する

具体的な計算例

標準シングルモードファイバーの境界設計:コア半径a=4.5µm、開口数NA=0.12、波長λ=1.31µmを入力。V=(2π×4.5/1.31)×0.12≈2.59となり、シングルモード境界V=2.405のすぐ上(弱マルチモード)です。カットオフ波長はλc=2π×4.5×0.12/2.405≈1.41µmなので、運用波長1.31µm(<λc)ではLP11も伝搬します。確実なシングルモードにするには、コア半径をa≈4.1µmに下げてV≈2.36(λc≈1.29µm)とするのが実務的です。

実務での注意点