ポンプアフィニティ則(相似則) 戻る
流体解析

ポンプアフィニティ則シミュレーター

遠心ポンプの相似則 Q∝n、H∝n²、P∝n³ をインタラクティブに可視化。定格条件と変速後のH-Q曲線・動力曲線を重ね書きして、インバータ制御による省エネ効果を定量的に把握できます。

m³/h
m
kW
80%)
計算結果
変速後流量 Q₂ (m³/h)
変速後揚程 H₂ (m)
変速後動力 P₂ (kW)
動力削減率 (%)
H-Q 曲線(揚程 vs 流量)
P-Q 曲線(軸動力 vs 流量)
理論・主要公式
$$\frac{Q_2}{Q_1}= \frac{n_2}{n_1}$$ $$\frac{H_2}{H_1}= \left(\frac{n_2}{n_1}\right)^2$$ $$\frac{P_2}{P_1}= \left(\frac{n_2}{n_1}\right)^3$$

動力は回転数の3乗に比例するため、インバータで回転数を80%に落とすと動力は約51%削減(0.8³≈0.512)。省エネ効果が極めて大きい。

ポンプアフィニティ則とは

🙋
ポンプの「アフィニティ則」って何ですか?インバータの話でよく聞くけど…。
🎓
大まかに言うと、遠心ポンプの回転数を変えた時に、性能がどう変わるかを予測する超便利な法則だよ。例えば、工場の冷却水ポンプをインバータで回転数を下げると、消費電力がガクンと減るんだ。このシミュレーターの「回転数比」のスライダーを動かすと、その変化が一目瞭然だ。
🙋
え、回転数を下げるとそんなに省エネになるんですか?「定格軸動力」の値が小さくなるということ?
🎓
そう!そのカラクリがアフィニティ則の肝なんだ。回転数を80%に下げると、動力は3乗で効いてくるから、0.8×0.8×0.8=約0.5倍、つまり半分近くまで減るんだよ。シミュレーターで「回転数比」を0.8にしてみて。グラフの動力曲線が一気に下がるのがわかるはず。
🙋
なるほど!でも、回転数を下げると、必要な水(流量)や押し上げる高さ(揚程)も足りなくなりませんか?
🎓
良いところに気づいたね。確かに、流量も揚程も下がる。だから現場では、例えばエアコンの冷凍機の負荷が減った時だけ、ポンプの回転数を下げてちょうどいい水量を送る、なんて使い方をするんだ。このツールで「定格流量」や「定格揚程」の初期値を変えながら、回転数比をいじると、最適な運転点を探る感覚がつかめるよ。

よくある質問

画面上の「回転数変更」スライダーを操作するか、数値入力欄に任意の回転数(min⁻¹)を直接入力してください。変更後、H-Q曲線と動力曲線が自動で再描画され、定格時との比較が可能です。
いいえ、主に遠心ポンプに適用されます。また、ポンプ形状が相似であること、回転数変化前後で効率が大きく変わらないことが前提です。配管抵抗やキャビテーションの影響がある場合は、実際の省エネ効果が理論値より小さくなることがあります。
定格運転時と変速後の動力曲線を比較してください。例えば回転数を80%に下げると、動力は0.8³=約51%に減少します。シミュレーター上では、各回転数における軸動力の数値とグラフの差分で定量的に把握できます。
アフィニティ則により、変速後のH-Q曲線は定格曲線を回転数比の2乗で縮小した形になります。そのため、同じ揚程でも流量が異なる領域が生じ、曲線が交差するように見えます。実際のポンプ選定では、必要流量と揚程に対して適切な運転点を選ぶ必要があります。

実世界での応用

ビル空調システム:季節や時間帯による冷暖房負荷の変動に応じて、冷温水ポンプの回転数をインバータで制御します。必要以上の流量を送らずに動力消費を大幅に削減でき、ランニングコスト低減に直結します。

上下水道施設:一日の中でも需要が変動する送水ポンプに適用されます。夜間の低需要時に回転数を落とすことで、無駄なエネルギー消費と配管への負担を同時に減らせます。

工場のプロセス冷却:生産ラインの稼働率に合わせて冷却水循環ポンプの能力を調整します。製品の製造量が少ない時はポンプを低速運転し、コスト削減を図る典型的な例です。

省エネ改修の効果検証:既存の定速ポンプをインバータポンプに更新する際、この法則を使って投資対効果をシミュレーションします。回転数を何%下げられるかで、年間の電力削減量と投資回収期間を見積もります。

よくある誤解と注意点

アフィニティ則は強力ですが、適用にはいくつかの落とし穴があります。まず、「相似則」であることが大前提です。回転数を大きく変えると、ポンプ内部の流れの状態(レイノルズ数)が変わり、効率が変化します。例えば、定格回転数1750 min⁻¹のポンプを500 min⁻¹まで下げると、実際の軸動力は3乗則の予測よりも少し高くなる傾向があります。シミュレーターは理想的な相似を仮定しているので、実機での細かい効率変化は別途考慮が必要です。

次に、システム抵抗曲線との関係を見落とさないこと。アフィニティ則でポンプ性能曲線がシフトしても、それが実際に流れる流量と揚程は、配管の抵抗曲線との交点で決まります。例えば、シャットオフ(流量ゼロ)近傍まで回転数を下げると、想定より揚程が不足して水が全く送れない、という事態も起こり得ます。ツールで性能曲線を動かす時は、「この新しい曲線が、実際の配管システムとどこで交わるのか?」を常に想像しながら使ってください。

最後に、「回転数を下げれば常に省エネ」ではない点。確かにポンプ単体の動力は激減しますが、プロセス全体で見ると話は別です。例えば、冷却水の流量が減りすぎて熱交換器の伝熱性能が落ち、冷凍機が無理をして逆に全体の消費電力が増える、といったケースもあります。あくまでシステム最適化の一環として、このツールの結果を活用しましょう。

使い方ガイド

  1. 基準運転条件を入力:現在の回転速度における流量Q₁(m³/h)、揚程H₁(m)、消費動力P₁(kW)を実測値またはカタログ値から設定
  2. 変速比を設定:インバータで目標とする回転速度比(N₂/N₁)を0.5~1.5の範囲で入力。例えば50Hz→40Hzへの変更は比率0.8に相当
  3. シミュレーション実行:計算ボタンを押下すると、アフィニティ則(Q₂=Q₁×r、H₂=H₁×r²、P₂=P₁×r³)に基づき変速後の特性と削減動力を算出

具体的な計算例

冷却水循環用遠心ポンプの省エネ改修:基準運転(2900rpm)でQ₁=120m³/h、H₁=32m、P₁=18.5kW。インバータで2320rpmへ低下(比率0.8)させた場合、Q₂=96m³/h、H₂=20.48m、P₂=9.44kWとなり、動力削減率は49%に達する。年間8000時間運転で電力費38万円削減(単価25円/kWh想定)。

実務での注意点