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構造振動解析

レイリー・リッツ法 固有振動数推定計算機

仮定モード形状を変えてレイリー商がどう変わるかをリアルタイムで確認。上限定理の本質を視覚的に理解できる構造振動計算ツール。

はりパラメータ
曲げ剛性 EI (N·m²)
線密度 ρA (kg/m)
スパン L (m)
m
仮定モード形状
多項式次数
形状係数 c
推定結果
モードRayleigh厳密解誤差%
計算結果
ω₁ Rayleigh (rad/s)
ω₁ 厳密解 (rad/s)
誤差 %

青線:仮定モード形状 破線:厳密解の1次モード 赤矢印:境界条件

一様はりの厳密解(各境界条件)

$\omega_n = (\alpha_n L)^2 \sqrt{\dfrac{EI}{\rho A L^4}}$

SS: α₁L=π, α₂L=2π …  |  CC: α₁L=4.730, α₂L=7.853 …  |  CF: α₁L=1.875, α₂L=4.694 …  |  CS: α₁L=3.927, α₂L=7.069 …

理論・主要公式

レイリー商

$$\omega^2 = \frac{\int_0^L EI\,[y'']^2\,dx}{\int_0^L \rho A\,[y]^2\,dx}$$

仮定形状が真のモードに近いほど ω は真値に収束する(上限定理)。

レイリー・リッツ法とは

🙋
「レイリー・リッツ法」って何ですか? 固有振動数を計算するのに、なぜ「仮定した形」を使うんですか?
🎓
大まかに言うと、真の振動形がわからなくても、それっぽい形を仮定して計算すれば、とりあえず固有振動数の「上限値」がわかる便利な方法だよ。例えば、このシミュレーターで「両端固定」を選んで、上の「形状係数 c」のスライダーを動かしてみて。仮定するたわみ曲線の形が変わると、計算される振動数も変わるよね。
🙋
え、そうなんですか! 動かしてみました。cを変えるとグラフの形も変わるし、計算値も変わりますね。でも、これってどれが正解なんでしょうか?
🎓
実はここがミソで、どんな形を仮定しても、計算値は必ず真の値「以上」になるんだ(上限定理)。だから、一番小さい計算値が、仮定した形の中で一番真の値に近い、良い推定値になる。このツールの「多項式次数」を増やしてみると、より複雑な形を試せるから、値がどんどん真値(厳密解)に近づいていくのがわかるよ。
🙋
なるほど! パラメータを動かして最小値を探す感じなんですね。でも、現場のエンジニアはこんな計算を手でやるんですか?
🎓
いや、手計算は簡単なモデルだけだね。この考え方が発展したのが有限要素法(FEA)なんだ。FEAでは構造を小さな要素(メッシュ)に分割して、各要素の変形を単純な関数(形状関数)で仮定する。それをつなぎ合わせて全体の剛性と質量を計算するから、本質はこのレイリー・リッツ法と同じなんだよ。このツールで「曲げ剛性 EI」や「線密度 ρA」を変えて、材料や断面が変わると振動数がどう変わるか、感覚をつかんでみて。

物理モデルと主要な数式

このツールの核心は「レイリー商」です。仮定した変位形状 y(x) から、系の最大ひずみエネルギー(剛性)と最大運動エネルギー(慣性)の比を計算し、固有角振動数 ω の二乗を推定します。

$$\omega^2 = R(\mathbf{y}) = \frac{\text{剛性エネルギー}}{\text{慣性エネルギー}}= \frac{\int_0^L EI(x) \,[y''(x)]^2\,dx}{\int_0^L \rho A(x) \,[y(x)]^2\,dx}$$

ω: 推定される角振動数 [rad/s]
EI(x): 位置 x での曲げ剛性 [N·m²]
ρA(x): 位置 x での単位長さあたりの質量 [kg/m]
y(x): 仮定するたわみ形状(満たすべき境界条件を含む)
y''(x): たわみ形状の2階微分(曲率)

レイリー・リッツ法では、仮定形状 y(x) をパラメータ化された関数の和(例えば多項式)で表現し、レイリー商をそのパラメータに関して最小化します。これがリッツ法のステップです。

$$ y(x) = \sum_{i=1}^{n}c_i \, \phi_i(x) $$ $$\frac{\partial R(\mathbf{c})}{\partial c_i} = 0 \quad (i=1,...,n) $$

φ_i(x): 仮定モード(試行関数)。境界条件を満たす。
c_i: 決定すべき係数(このツールの「形状係数 c」など)
n: 使用する仮定モードの数(このツールの「多項式次数」に関連)
係数 c_i について偏微分をゼロと置くことで、係数が決まり、その時の R が最小値(最良の推定値)を与えます。

よくある質問

境界条件(固定・単純支持・自由など)を満たす関数を選んでください。例えば片持ち梁なら y(x)=x² などが簡単です。厳密な固有モードに近いほど推定精度が上がりますが、まずは単純な形状で試し、形状を変えてレイリー商の変化を観察するのが学習のポイントです。
はい。レイリー・リッツ法は上限定理に基づき、真の固有振動数以上の値を推定します。仮定形状が厳密なモードからずれるほど剛性エネルギーを過大評価するためです。複数の形状で計算し、最も低い値が真の値に近いと判断できます。
はい。分布荷重は慣性エネルギー項の ρA(x) に反映させます。集中質量がある場合は、その位置の運動エネルギーを m·y(x)² として積分に加算してください。剛性エネルギーは EI(x) の分布で対応可能です。
可能ですが、仮定形状に節(変位ゼロ点)を適切に含める必要があります。例えば2次モードなら y(x) に1つの節を設けた形状(例:片持ち梁なら y(x)=x³−Lx²)を試してください。ただし低次モードほど精度が出やすく、高次は誤差が大きくなりやすいです。

実世界での応用

構造物の簡易振動チェック: 橋梁や建築物の基本振動数を、詳細なFEAモデルを作成する前に、簡単な梁モデルと経験に基づく仮定モードで素早く見積もるために使われます。設計の初期段階で「だいたい何Hzか」を把握するのに有効です。

有限要素法の理解と検証: FEAソフトウェアは内部でこのレイリー・リッツ法の考え方に基づいて行列を組み立てています。シミュレーション結果を検証する際に、単純な梁モデルで手計算やこのようなツールによる結果と比較することで、メッシュの適切さや境界条件の設定ミスを発見する手がかりとなります。

機械部品の設計: 自動車のエンジンマウントブラケットや航空機の翼リブなど、軽量化が要求される部品の設計では、目標の固有振動数(特定のエンジン回転数との共振回避など)を満たすように形状を決める必要があります。設計パラメータ(板厚、リブの配置)を変えた時の振動数変化の傾向を、簡易モデルで感覚的に掴むのに役立ちます。

実験モード解析との比較: 構造物のハンマリング試験などで計測された実測の振動数と、理論モデル(レイリー・リッツ法による簡易モデル)からの推定値を比較します。大きな乖差があれば、モデルが現実を捉えられていない(例えば、固定条件が「単純支持」ではなく「弾性支持」であるなど)ことを示唆し、モデルの改良点を見つけるきっかけになります。

よくある誤解と注意点

このツールを使い始めるとき、いくつかつまずきやすいポイントがあるよ。まず、「形状係数cを適当に動かして、出てきた値が全部正解候補」と思いがちだけど、レイリー商は必ず真の固有値以上になるという上限定理の意味をしっかり押さえよう。例えば、両端固定梁でc=0.1とc=0.5の二つの値だけ試して「小さい方が良い近似だ」と判断するのは早計だ。本当に良い近似は、レイリー商を可能な限り最小化する形状を見つけた時だ。そのためにこのツールでは「多項式次数」を増やして複数の係数を同時に最適化(ツール内で自動計算)できる機能があるんだ。次数1の単純な形で頑張るより、次数を2や3に上げた方が、はるかに良い推定値が得られることを確認してみて。

次に、仮定する形状y(x)は、必ず境界条件を満たさなければならないという大原則を忘れないで。例えば片持ち梁の固定端で「たわみ=0、傾き=0」という条件。このツールの仮定モードは最初からそれを満たすように設計されているけど、自分で関数を設定する場合は要注意だ。条件を満たさない関数を使うと、剛性を過小評価したりして、結果が非常にになることがある。

最後に、この手法は基本振動数(1次モード)の推定が最も得意だという限界を知っておこう。高次モードを推定したい時は、そのモードの形状をうまく表現できる仮定モードを選ぶ必要がある。例えば2次モードには節(振動しない点)が一つ必要だから、その節の位置を通るような関数系を選ばないと、良い結果は出ないんだ。