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ロケット・発射台設計

ロケット排気プルーム 発射台衝撃シミュレーター

Falcon 9・Starship・SLS など主要ロケットエンジンの排気プルームが発射台に与える熱流束・音響レベル(SPL)・水デリュージ冷却を可視化するツールです。エンジン種別・基数・発射台までの距離・水冷却量を変えると、Bartz 相関と Eldred-Plumblee 音響モデルに基づく主要荷重がリアルタイムで分かります。

パラメータ設定
ロケットエンジン
推力 F・比推力 Isp・チャンバー温度 Tc を自動設定
エンジン基数
Falcon 9=9、Starship Super Heavy=33 等
発射台垂直距離 r
m
排気傾斜角 θ
°
発射台材質
運用最高温度(°C)を自動設定
水デリュージ量
kg/s
Falcon 9≈700-900、SLS≈4500、Starship≈1500+t/s
外気温
°C
排気導管モード
フレームトレンチで有効負荷 30% に低減
計算結果
合計推力 (kN)
排気速度 V_e (m/s)
プルームマッハ数 M_e
発射台熱流束 (kW/m²)
SPL 音響レベル (dB)
水冷有効負荷 (kW)
プルーム・発射台・水カーテン断面図

ロケットノズルから噴出する高温プルームと、発射台・フレームトレンチ・水デリュージカーテンの相互作用。色は熱流束レベル(青=低/赤=過大)。

熱流束 vs 発射台距離
エンジン別の総推力比較(基数×推力)
理論・主要公式

$$q = K\,\frac{F\,V_e}{r^{2}}\cos\theta, \qquad SPL = 10\log_{10}\!\frac{P_{\text{acoust}}}{4\pi r^{2}\,I_{0}}$$

熱流束 q (Bartz 簡易) と発射台音圧レベル SPL。F:総推力、V_e:排気速度、r:発射台までの距離、θ:傾斜角、K≈0.05 の経験定数、I_0=1×10⁻¹² W/m²。

$$V_e = I_{\!sp}\cdot g_0, \qquad M_e = \frac{V_e}{\sqrt{\gamma R T_e}}$$

比推力 Isp と地表重力 g_0=9.81 から排気速度 V_e、γ=1.2、R=287、T_e=0.5·T_c で出口マッハ数 M_e を算定する。

$$Q_{\text{water}} = \dot{m}_{w}\,(c_{p}\Delta T + h_{fg})$$

水デリュージの吸熱能力(c_p=4186 J/kg·K、ΔT=80K、潜熱 h_fg=2.26 MJ/kg)。発射台熱流束との差し引きで正味負荷を評価する。

ロケット排気プルーム 発射台衝撃 — 音響荷重・水冷却

🙋
ロケット打ち上げ映像で、発射台の下から大量の白い煙がワーッと出てるじゃないですか。あれって冷却用の水ですよね?なんであんなに必要なんですか?
🎓
あれは「水デリュージ」って呼ばれる Sound Suppression Water だね。Falcon 9 でだいたい 700〜900 kg/秒、SLS だと 4500 kg/秒、Starship Super Heavy だと 1500トン/秒超もの水を発射の2〜3秒前から流すんだ。目的は2つ。熱対策音響対策。プルーム自体は 3000〜4000 K の超高温ガスが秒速 3000m で出てくる超エネルギー流体で、左のスライダーで距離を10mに設定すると熱流束が数千 kW/m² にもなるのが分かるよ。発射台のコンクリートでも一瞬で溶ける温度だね。
🙋
えっ、コンクリートでも溶けちゃうんですか?じゃあその下のフレームトレンチって何のためにあるんですか?
🎓
フレームトレンチ(Flame Trench)はノズル直下の高温ガスを水平方向に横にそらすための深い溝なんだ。NASA KSC の Pad 39A は深さ約90m、Vandenberg の SLC-6 は60mある。これがあると排気プルームは下に直撃せず、横に流れていくから、発射台と機体への直接熱・衝撃が大幅に減る。本ツールでも『フレームトレンチ』を選ぶと有効負荷が30%まで下がるよ。逆に『直噴』にして比較してみて。Starship の 2023年4月の初飛行では、従来型 deflector がプルームに耐えきれず破壊されて、それで Stage Zero の水冷プレートが急遽追加されたんだ。
🙋
音響対策って、ロケットの「音」がそんなに問題になるんですか?耳がうるさい程度かと思ってました。
🎓
いや、ロケットの音は物理的な構造破壊レベルなんだ。Saturn V の発射時 SPL は 200 dB に達したとされる。人間の鼓膜は 140 dB で破れる。音響パワーは推力と排気速度の積の 0.1〜0.5% に達して、その音響波が機体・電子機器・発射台の構造を振動疲労させる。水デリュージは細かい液滴で音波を散乱・吸収して 10〜30 dB 下げる効果がある。本ツールで水量を 0 にすると SPL がどれだけ高いか、700 kg/s に戻して下がるかを比べてみるといいよ。
🙋
エンジン数を増やすとどうなるんですか?Starship の Booster は33基ものエンジンを束ねてますよね。
🎓
スライダーで Raptor 2、33基にしてみて。総推力が7万5000kN超になって、熱流束も SPL も Falcon 9 の何倍にも跳ね上がるのが分かる。これが SpaceX が Stage Zero / Mechazilla を設計する上で最大の難題だった。1500トン/秒以上の水を瞬間的に供給する deluge plate、ステンレス316L製の高耐熱パネル、サブテラニアン配管――全部この巨大プルーム荷重に対処するためのものなんだ。本ツールはあくまで簡易的な相関だから、実機は CFD(NASA OVERFLOW、ANSYS Fluent)で詳細解析するけど、まずはオーダー感覚を掴むのに役立つよ。

よくある質問

簡易的には Bartz 相関に基づく対流熱流束の近似式 q ≈ K·F·V_e/r² · cosθ を使います。F は総推力、V_e は排気速度、r は発射台までの距離、θ はノズル軸の傾斜角、K は約0.05 の経験定数です。本ツールでは Merlin 1D / Raptor 2 / RS-25 / RD-180 / Vulcain 2 のチャンバー温度・比推力・質量流量プリセットからV_eとq_kWm2を直接計算し、距離10mのデフォルトでも数千 kW/m² に達する厳しい条件を可視化します。実機設計では CFD(NASA OVERFLOW、ANSYS Fluent 等)と高温合金壁の輻射・放熱を含めた詳細解析が必要です。
ロケット排気の音響パワーは総推力と排気速度の積に比例し、Eldred-Plumblee 1968 の経験式では機械エネルギーの 0.1〜0.5% が音響エネルギーに変換されると見積もります。Saturn V では音響パワーが 100 MW を超え、発射台 10m の点では SPL がほぼ 200 dB に達しました。Falcon 9 では水デリュージと音響サプレッサで打上時の発射台 SPL を 150〜165 dB 程度に抑えています。SPL = 10·log10(I/I0) で 10 dB 増えるごとに音響強度は10倍になり、機体構造・電子機器・近隣建造物への振動荷重に直結します。
目安として総推力 1 MN あたり 100〜200 kg/s の水を発射2〜3秒前から噴射します。Falcon 9(推力7600 kN クラス)で 700〜900 kg/s、SLS Block 1(推力39000 kN)で 4500 kg/s、Starship Booster(推力74000 kN)では 1500 t/s 超のフローレートが必要とされ Stage Zero の OLM 配下に専用 deluge plate が設置されました。水は (1) 顕熱(cp·ΔT≈4186·80 J/kg)と (2) 蒸発潜熱(2.26 MJ/kg)で巨大な熱を吸収し、同時に音響波を細かい液滴で散乱・減衰させ SPL を 10〜30 dB 下げます。本ツールの「水冷有効負荷」は供給水量から理論的に吸収できる熱量を示します。
フレームトレンチ/フレームデフレクタはノズル直下の高温プルームを水平方向にそらして発射台と機体への衝撃を弱める構造です。KSC 39A の Saturn V/STS/Falcon Heavy 兼用トレンチは深さ約90m、Vandenberg SLC-6 は60m。本ツールでは『フレームトレンチ』選択時に有効負荷を 30% まで低減します。Starship 33-Raptor の 2023年4月初飛行では従来型 deflector がプルームに耐えきれず破壊され、その後 OLM 下に水冷却プレートを追加(Stage Zero の deluge upgrade)。トレンチ無しの直噴モードでは熱・音響・破片飛散がすべて悪化することが分かります。

実世界での応用

商業ロケット発射台運用:SpaceX Falcon 9/Falcon Heavy(LC-39A、SLC-40、Vandenberg SLC-4E)では水デリュージと既存の Saturn 時代のフレームトレンチを組み合わせ、Merlin エンジン9基〜27基の打上を年間100回超こなしています。本ツールで Merlin 1D・9基・距離10m・水量700kg/s をデフォルトで設定しているのは Falcon 9 相当の運用条件を再現するためです。

大型ロケット Stage Zero 設計:SpaceX Starship Super Heavy(Boca Chica の OLM)と NASA SLS(KSC ML-1/ML-2)では、エンジン数と推力が桁違いに大きくなったため、従来のフレームトレンチに加えて水冷却プレート、巨大デリュージシステム、放射シールドが必要です。本ツールで Raptor 2・33基・水量を変えながら『総推力 vs 必要水量』のオーダーを把握できます。

音響振動解析と機体設計:発射時の音響荷重は機体構造、ペイロード、電子機器の振動疲労設計クライテリアになります。NASA の Acoustic Loads and Vibration(ALV)解析、ESA Ariane 6 の音響試験では本ツールに近い経験式で初期評価し、その後 CFD/CAA(Computational Aeroacoustics)と打上振動試験で詳細化します。

発射台インフラ保全と災害対応:打上ごとに発射台が受ける熱衝撃・音響振動・水蒸気腐食はインフラ寿命に直結します。本ツールで水冷却が不足した場合(水量0や少量)の正味負荷を可視化することで、デリュージ系統の冗長化、コンクリート補修頻度、コンティンジェンシー対応の計画立案に役立ちます。Starship 2023/4 の初飛行で deflector が破壊された事例は、設計段階での予測の重要性を改めて示しました。

よくある誤解と注意点

まず最大の落とし穴が、「ロケット方程式や Isp の議論と発射台設計を混同する」こと。ツィオルコフスキーの式や比推力は機体の飛行性能を扱う指標で、発射台側の熱・音響荷重とは別問題です。本ツールは Isp や推力をパラメータとして使いますが、計算対象はあくまで「発射台側で受け止める熱流束・音響パワー・必要冷却水量」です。混同すると「Isp を上げれば発射台も楽になる」といった誤った設計判断につながります。実際は Isp(=V_e)が大きいほど発射台側の熱流束も音響パワーも大きくなる方向です。

次に、「水デリュージの理論吸熱量=実際の冷却効果」と思い込むこと。本ツールの「水冷有効負荷」は理論上の上限値で、実機ではすべての水が排気プルームと熱交換するわけではありません。水滴のサイズ分布、噴霧の指向性、プルーム接触時間によって有効率は30〜60%程度になります。さらに音響減衰効果は別物理(細かい液滴による波散乱)なので、熱吸収だけで判断すると音響振動を見落とします。実機設計では CFD・蒸発モデル・音響伝播解析を組み合わせます。

最後に、「フレームトレンチさえあれば安全」という油断です。本ツールではトレンチ選択時に有効負荷を30%に低減していますが、これは平均的な指向偏向効果の目安にすぎません。実際には深さ・形状・耐熱材の経年劣化・水冷却の有無で大きく変わります。特に Starship 級の超大推力では、従来の Saturn 時代の設計余裕が通用せず破壊に至った前例(2023年4月、OLM 下の deflector 喪失)があります。新規大型機の打上では必ず CFD と縮小モデル試験で個別に検証し、初飛行時には冗長な水デリュージとモニタリングを準備することが鉄則です。

使い方ガイド

  1. エンジン選択: Merlin 1D (推力890kN、排気速度2550m/s)、Raptor 2 (推力510kN、排気速度4000m/s)、RS-25 (推力418kN、排気速度4150m/s)、RD-180 (推力3820kN、排気速度3050m/s)、Vulcain 2 (推力680kN、排気速度4223m/s) からエンジン数を指定
  2. 発射台配置入力: 発射台中心からの距離(5~100m)、排気プルーム傾斜角(0~45度)を設定し、フレームトレンチ内の構造物への影響を評価
  3. 水デリュージシステム: 冷却水供給速度(100~500kg/s)を入力して、熱流束とSPL低減効果を同時計算。耐熱コンクリート(厚さ300mm、熱伝導率1.2W/mK)と水冷鋼板の負荷を確認

具体的な計算例

RS-25エンジン2基、発射台距離35m、傾斜角20度、水デリュージ速度250kg/sの場合: 合計推力836kN、プルームマッハ数M_e≈3.8、発射台熱流束約680kW/m²。耐熱コンクリート内部温度上昇は5秒露光で約45度C。水冷有効負荷2180kWで、標準冷却システム(1500kW定格)では過負荷回避のため併用が必須。SPLは155dB(水冷なし)から138dB(冷却有)に低減。

実務での注意点