$g_0 = 9.807\ \mathrm{m/s^2}$
最大3段ロケットの各段に質量・比推力(Isp)を設定し、ツィオルコフスキーの方程式でΔvを計算。重力損失・空気抵抗損失を考慮してLEO/GEO/月軌道の目標Δvと比較できます。
$g_0 = 9.807\ \mathrm{m/s^2}$
打ち上げロケットの設計:衛星を所定の軌道(LEO, GEOなど)に投入するために必要なΔvを達成するため、段数、各段のエンジン種類(Isp)、燃料/酸化剤の搭載量(質量比)を最適化する際の基本計算として使われます。
惑星間ミッションの計画:地球から火星など他の天体へ探査機を送るには、必要なΔvがはるかに大きくなります。このシミュレーターで「月遷移軌道」やそれ以上のΔvを設定し、どのような質量比や多段化が必要か検討する基礎となります。
エンジン(推進システム)の性能比較:液体エンジン(高Isp)と固体ロケット(低Isp)、または新しい電気推進(非常に高Ispだが推力小)など、異なる推進方式を同じΔv目標で比較し、必要推進剤質量やミッション時間のトレードオフを評価します。
学生・教育用教材:まさにこのシミュレーターのように、パラメータをいじりながら、なぜロケットが多段式なのか、なぜ効率的なエンジン開発が重要なのかを直感的に理解するための強力な学習ツールとして活用されています。
このシミュレーターを使い始めるとき、特に初心者の方が陥りがちな落とし穴がいくつかあります。まず、「Δvは足し算できるが、質量はそうではない」という点。3段ロケットの総Δvは各段のΔvの単純な和ですが、2段目以降の「初期質量」は、前の段を切り離した後の機体の重さです。例えば、1段目が100トンで、そのうち80トンが1段目の推進剤だとします。1段目を切り離した後の機体(2段目+ペイロード)が20トンなら、2段目の初期質量はこの20トンからスタートします。ここを間違えて全体の打ち上げ重量を入力しないようにしましょう。
次に、「Ispはエンジン単体の性能」だという認識。シミュレーターでは各段にIspを設定しますが、これは真空での値なのか、海面での値なのかを意識する必要があります。例えば、1段目は大気中を飛行するので「海面比推力」が適切ですが、上段はほぼ真空なので「真空比推力」を使います。同じエンジンでも、ノズルの形状などでこの値は大きく変わり、設計上の重要なポイントです。
最後に、「この計算は『理想Δv』に過ぎない」という大原則。シミュレーターで表示される「重力損失」「空気抵抗損失」は、あくまで簡易的な見積もりです。実際の打ち上げでは、機体の姿勢制御やエンジンの推力変動、より精密な重力場の影響など、さらに多くの損失要因があります。実務では、この理想Δvに15〜20%程度のマージン(「損失マージン」や「性能マージン」と呼びます)を上乗せして必要な性能を設計します。LEO到達に9.3km/sとあっても、実際のロケットはこれより多いΔv能力を持っている理由の一つです。
H3ロケット第1段を想定:初期質量5500kg、燃料質量4200kg、Isp=440秒の場合、Δv = 440 × 9.81 × ln(5500/1300) = 6226m/s。重力損失1.5%を考慮すると正味6133m/s。第2段(Δv3800m/s)との合算で約10026m/sとなり、LEO到達に必要な9400m/sは満たしますが、GTO(約11.6km/s)には届きません。