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ステージ・LED 照明

舞台照明 LED ルーメン・色温度シミュレーター

PAR・ムービングヘッド・エリプソイダル等の舞台 LED 灯具を選び、消費電力・ビーム角・投光距離・灯数を変えると、1 灯あたりの光束、舞台中央のビーム強度(光度)、投光面の照度、舞台全体の平均照度がリアルタイムで分かります。会場サイズと必要照度から「あと何灯必要か」を即座に見積もるためのツールです。

パラメータ設定
灯具タイプ
代表的な発光効率(lm/W)を自動設定
LED 色
CCT(色温度)と CRI(演色性)を自動設定
消費電力 / 1 灯
W
ビーム角 θ
°
投光距離 d
m
灯具数 N
舞台面積 A
必要照度
lux
演劇 500-1000 / コンサート 1500-2500 / TV 2000-3000
計算結果
1 灯ルーメン (lm)
全光束 (lm)
ビーム強度 (cd)
投光照度 (lux)
平均舞台照度 (lux)
全消費電力 (kW)
舞台断面イメージ — ビーム・照度・色温度

上部の灯具からビーム角 θ で光が広がり、距離 d の床に届きます。色温度バー(3000K 暖色 → 6500K 寒色)と床面照度勾配を可視化します。

照度 vs 距離 — E = I/d²(逆二乗則)
灯具種別の発光効率比較 (lm/W)
理論・主要公式

$$E\ [\mathrm{lux}] = \frac{I\ [\mathrm{cd}]}{d^{2}\ [\mathrm{m^{2}}]},\qquad I = \frac{\Phi}{\Omega},\qquad \Omega = 2\pi\bigl(1-\cos(\theta/2)\bigr)$$

E:照度(lux)、I:光度(cd)、Φ:光束(lm)、Ω:ビームの立体角(sr)、θ:ビーム全角、d:投光距離。スポット面積 A_spot = π/4·(2 d tan(θ/2))² と平均照度 E_avg = Φ_total / A_stage も同時に算出します。

$$\Phi_{\text{fix}} = P\cdot \eta_{\mathrm{LED}},\qquad \text{省エネ率} = \left(1 - \frac{\eta_{\mathrm{LED}}}{\eta_{\mathrm{LED}}+\eta_{\mathrm{halogen}}}\right)\times 100\%$$

P:消費電力、η_LED:LED 発光効率(lm/W、本ツールでは灯具プリセット)、η_halogen=15 lm/W が代表的なハロゲン値。

舞台照明 LED ルーメン・色温度・効率

🙋
舞台って眩しいですよね。あれって何灯くらい吊ってるんですか?このシミュレーターで「ムービングヘッド 600W を 12 台」がデフォルトになってるのは、何か基準があるんですか?
🎓
中規模ライブハウスや 100m² くらいのステージで、フロントとトップを合わせて 12〜20 台ってのが一つの目安だね。600W ムービングヘッドは Robe Pointe や Martin MAC Aura クラスで、発光効率は 100 lm/W くらい。だから 1 台で 6 万ルーメン、12 台で 72 万ルーメンになる。これを 100m² で割ると 7200 lux で、コンサート想定の 1500 lux に対して余裕がある。ロスを 50% 見ても 3600 lux 出るから、まあ十分という設計だ。
🙋
え、ビーム角を 25°→10° にしたら投光照度 6000 lux が 30000 lux 超えました!光束は変わってないのに、なんでこんなに増えるんですか?
🎓
いいところに気づいた。光束 Φ が同じでも、ビーム角を狭くすると光が集まる立体角 Ω が小さくなる。光度 I = Φ/Ω だから、Ω が 1/4 になれば I は 4 倍だ。さらに床に届くスポット面積も小さくなるから、その狭い領域の照度(E = I/d²)はガツンと上がる。これがエリプソイダル(Source 4 の 19°/26°/36°/50°)やムービングヘッドのズームの正体。広く均一に照らしたい時はワイド、ソリストの顔だけ強く照らしたい時はナロー、と使い分ける。
🙋
色のところで RGB と RGBW を選べますけど、どう違うんですか?RGB で全部の色が出せるんじゃないんですか?
🎓
理屈上はそうなんだけど、RGB 3色だけで白を作ると、黄色〜オレンジの波長が抜けて「ちょっと変な白」になる。CRI(演色性指数)が 70 くらいで、人の肌が血色悪く写るんだ。だから白 LED を別に積んだ RGBW、さらにアンバー(A)と UV を足した RGBWA+UV が出てきた。RGBW なら CRI 85+ で自然な白、テレビカメラに耐えるレベルになる。映像配信が当たり前の今のコンサートでは RGBW がほぼ標準だね。一方で映画スタジオは未だに 3200K 単色の白 LED(ARRI SkyPanel など)を好む。色被りゼロが優先だから。
🙋
「全消費電力 7.2 kW」って出てます。これってハロゲンだった頃と比べてどのくらい変わったんですか?
🎓
ハロゲンの発光効率は 15 lm/W しかなくて、LED の 100 lm/W の 1/6〜1/7 だ。同じ 72 万ルーメンをハロゲンで出そうとすると 4.8 万 W = 48 kW いる。今 7.2 kW で済んでるってことは、電力で 85% 削減できてるってこと。熱もほぼ同じ比率で減るから、ステージの冷房負荷も激減する。これが Coldplay の 2022 年ツアー(Music of the Spheres)が「全 LED 化で電力 50% 削減」と謳えた理由だよ。ツアートラックの台数まで減らせるから、運搬コストや CO2 まで効いてくる。
🙋
じゃあ全部 LED にしちゃえば良いんですよね?ハロゲンを残す理由ってあるんですか?
🎓
演出家・撮影監督の中には今でも「タングステンの色じゃないと」って人がいる。フィラメントが熱で光るタングステン光は、低色温度側に滑らかな黒体放射スペクトルを持っていて、肌が温かく見える。LED は最近かなり寄せてきたけど、シネマ大作のクローズアップなど一部の現場では依然 5kW タングステンが使われる。あと、調光(フェード)のカーブもタングステンは「赤くなりながら暗くなる」のが自然で、舞台 DJ や演出家にとってはまだ捨てがたい味なんだ。とはいえ全体としては LED が 9 割を占める時代になった、ということだね。

よくある質問

演劇やドラマの基本照明は 500〜1000 lux、コンサートやアリーナのフロント光は 1500〜2500 lux、テレビ・映画のスタジオ収録は 2000〜3000 lux が目安です。さらにキー光のほかバック・サイド・トップを足すと合計で 3000〜5000 lux に達します。本ツールの「平均舞台照度」は全光束を面積で割った理想値なので、実際は配光・遮蔽・反射で 0.5〜0.8 倍に落ちます。設計時は必要照度の 1.5〜2 倍を目標にすると現場で破綻しません。
光束 Φ は灯具から出る総光量で一定でも、立体角 Ω = 2π(1−cos(θ/2)) はビーム角 θ の2乗近くで減るため、光度 I = Φ/Ω は θ を半分にすると約4倍になります。さらに照度 E = I/d² なので、ビーム角 20°→10° で投光照度は 4 倍前後に跳ね上がります。エリプソイダルの 19°/26°/36°/50° の選択や、ムービングヘッドのズーム機能はこのトレードオフを使い分けるためのものです。
RGB(赤緑青)はカラーチェンジに優れますが、3色合成の白は黄色がかった「ピンクっぽい白」で CRI も 70 程度にしか上がりません。RGBW は白 LED を別チップで持つので CRI 85 以上の自然な白が出せ、ウォッシュ用途の主流です。RGBWA+UV はアンバーと UV(紫外)を追加し、肌色の発色とブラックライト演出に対応します。テレビ収録や映像撮影では肌色のために CCT 3200/5600K の白 LED に絞った W-only 灯具も依然強い選択肢です。
タングステン・ハロゲン灯の発光効率は 15 lm/W 程度、これに対し舞台用 LED は 80〜120 lm/W で 5〜10 倍効率的です。同じ光量を出すなら消費電力は 1/5〜1/8 に削減でき、さらに熱として捨てる分も大幅に減るので冷房負荷・ツアートラック数・電源容量がすべて下がります。Coldplay の Music of the Spheres ツアー(2022〜)が全 LED 化で電力 50% 削減を達成したのは象徴的な事例です。

実世界での応用

劇場・ホール常設照明:新国立劇場や歌舞伎座クラスの大型ホールでは、客電・サスペンション・フットライト・シーリングを合わせて 200〜500 灯規模の LED 灯具が常設されています。エリプソイダルの 26°〜36° を主力に、ムービングヘッドを補助として配置し、演目ごとにフォーカス・カラー・ゴボを DMX512 プロトコルで切り替えます。本ツールは「常設に何灯入れれば必要照度を確保できるか」の初期検討に使えます。

アリーナ・スタジアムツアー:U2 や Coldplay クラスの大規模ツアーでは、メインステージだけで 500〜1000 灯、付随する PA タワーや遠隔リグも含めると 1500 灯を超えます。電力容量は数百 kVA に達し、LED 化で電源車の規模を縮小できるかが直接コストに効きます。Vari-Lite VL2600、Robe BMFL Blade、Martin MAC Viper など 800〜1500W のフラッグシップ機が並びます。

テレビ・ストリーミング・スタジオ:NHK や民放のスタジオでは 3200K(暖色)または 5600K(寒色)の白 LED を CRI 95+ で揃えるのが基本です。肌色のディテールを潰さないため、SkyPanel や Litepanels Gemini のようなソフトウォッシュが主役。同時に背景には RGBW を使って演出色を作る、というハイブリッド運用が一般的です。本ツールで「必要 lux に対して灯数が足りているか」を素早く検算できます。

イベント・展示会・教会・式典:結婚式場や展示会場では 100〜300W の LED バーやスポットを 20〜50 灯規模で使います。電源容量が小さくブレーカ落ちに敏感な現場で、LED の低消費電力が決定的な利点になります。本ツールで「20A コンセント 1 系統で何灯まで載せられるか」が試算でき、機材レンタル時のチェックに役立ちます。

よくある誤解と注意点

最初の落とし穴が、「カタログの最大ルーメン値をそのまま信じる」こと。中国製の安価な LED ムービングでは、ピーク時の瞬間値や全 LED 同時最大点灯値(実用上ありえない条件)をルーメンとして表記している製品が多々あります。実際に長時間使う条件(連続点灯、色温度 3200K 等の特定モード)では公称値の 60〜70% しか出ないことが珍しくありません。信頼できる ANSI/IES の測定方式(IES TM-30)に基づく数値か、メーカーが第三者測定証を出しているかを必ず確認してください。本ツールの効率プリセットも代表値であり、実機の整定後測定値で校正することを推奨します。

次に、「ビーム角と視野角(フィールド角)を混同する」こと。ビーム角(beam angle)は最大光度の 50% を維持する角度、視野角(field angle)は 10% まで広がった角度を指します。多くのカタログは見栄えのためにフィールド角を載せていることがあり、本ツールの計算式は ANSI ベースのビーム角(50%)を想定しているため、フィールド角を入れると光度が過小評価されます。エリプソイダルなどシャープエッジの灯具では両者の差が小さいですが、PAR やフレネルのソフトエッジでは 1.5〜2 倍差が出ます。

最後に、「CRI さえ高ければ色再現は完璧」だと思い込むこと。CRI(Ra)は 8 色のテストカラーの平均で算出されますが、舞台の赤い衣装や派手な化粧の発色は R9(赤)の数値で決まります。CRI 90 でも R9 が 30 しかない LED 灯具では、赤いドレスが茶色っぽくくすんで見えます。最近の指標 TM-30(Rf, Rg)や TLCI(テレビ照明用)も併せて確認し、特にテレビ収録では R9 60 以上、TLCI 85 以上を目標にしてください。

使い方ガイド

  1. LED灯具の種類を選択し、消費電力(W)を入力します。PAR64 LED 100W、ムービングヘッド 280W、フレネル LED 150W など舞台灯具の実機値を参照してください。
  2. ビーム開き角度(度)と投光距離(m)を設定します。舞台幅12m、奥行き8m の空間で、照灯位置から舞台床までの距離を正確に測定してください。
  3. 灯具台数を入力すると、全光束(lm)・ビーム強度(cd)・投光照度(lux)・舞台平均照度(lux)・全消費電力(kW)が自動計算されます。複数灯の重複照射も考慮された平均値が表示されます。

具体的な計算例

舞台照明設計の実例:ムービングヘッド 280W、ビーム角20度、投光距離10m、灯具台数6台を設定した場合、1灯あたり全光束は約32,000lm、ビーム強度は約18,500cdとなります。投光照度は10m先で約185luxです。6台配置時の舞台平均照度は約310lux(重複照射域で650lux超)、全消費電力は1.68kWです。ハロゲンPAR64 1000W同等の性能を280Wで実現し、省エネ率は約72%となります。

実務での注意点