脆性破壊 — CAE用語解説

カテゴリ: 用語集 | 2026-01-15
CAE visualization for brittle fracture - technical simulation diagram

脆性破壊

🧑‍🎓

先生、鋼構造物が「急に割れた」という事故を聞いたんですけど、これが脆性破壊ですか?


🎓

そうそう。脆性破壊は「塑性変形をほとんど伴わない急速な破壊」で、エネルギーを吸収する間もなく一瞬で亀裂が伝播する。歴史的な惨事で言えば、第2次世界大戦中のリバティ船の胴割れ事故がよく知られてる。溶接部の欠陥が低温で急激に開口した。


🧑‍🎓

低温で発生しやすいというのはなぜですか?


🎓

鉄鋼材料には「延性-脆性遷移温度(DBTT)」という特性温度があって、それ以下では破壊靱性$K_{Ic}$が急激に低下する。BCC構造の金属(鉄、クロムなど)に顕著。零下の寒冷地での構造物や、液化天然ガス(LNG)タンク(-162℃)の設計では、この低温脆性が設計の出発点になる。


🧑‍🎓

CAEで脆性破壊を評価するにはどうするんですか?


🎓

破壊力学的アプローチが基本。FEMで亀裂先端の応力拡大係数$K_I$を計算して、材料の破壊靱性$K_{Ic}$と比較する。$K_I < K_{Ic}$なら安全——というのが破壊力学の基本判定。Ansys MechanicalのFracture toolboxや、Abaqusの破壊力学モジュールで実装できる。


🧑‍🎓

「高ひずみ速度」でも脆性破壊が起きると言いましたね。衝突解析にも関係しますか?


🎓

直結する。自動車衝突試験では鋼板が通常は延性的に変形するが、超高張力鋼(1500MPa超)では衝突の高速変形で脆性的な割れが起きることがある。この遷移はFEMの材料モデル(Johnson-Cook等)に高ひずみ速度効果と破断条件を入れることで再現する。


🧑‍🎓

関連用語も教えてください。


🧑‍🎓

低温・高速変形で脆性破壊のリスクが高まる——材料選択と温度環境が設計の核心なんですね。


🎓

そう。特にLNGタンクや北海の海洋構造物では、低温での破壊靱性試験(シャルピー衝撃試験)が規格要件になってる。CAEエンジニアも材料の脆性特性を理解した上で、破壊力学評価を行う必要があるよ。


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