接触応力 — CAE用語解説
接触応力
先生、接触応力ってFEMの出力で見るんですが、どういうときに重要なんですか?
接触面で発生する圧力(接触圧)と接線力(摩擦力)の分布のことで、機械設計では非常に重要だ。ギアの歯面、転がり軸受の転動体とレース、カムとフォロワー——これらは接触面積が小さいのに巨大な力を伝達するから、接触面直下の応力が非常に高くなる。ピット(小さな穴ぼこ)やはく離(フレーキング)という表面疲労損傷の根本原因が接触応力だ。Hertz接触応力として解析解もあるが、複雑形状や非弾性挙動はFEMが必要になる。
定義
Hertz応力って何ですか?
Hertz(1881年)が導いた弾性接触の解析解だ。例えば球面と平面の接触で、押し付け力Pと球の半径R・弾性定数から接触半径a = (3PR/4E*)^(1/3)、最大接触圧 p0 = 3P/(2*pi*a^2) が求まる。ここでE*=(1-nu1^2)/E1 + (1-nu2^2)/E2 の逆数が「接触等価弾性係数」だ。重要なのは表面だけでなく表面直下(約0.5a深さ)にせん断応力のピークがあること——これがフレーキングの起点になる。
CAE解析での応用
転がり軸受の設計でFEMを使うときのポイントは?
転がり接触疲労(RCF:Rolling Contact Fatigue)の予測が目的になることが多い。ポイントは①接触域のメッシュを細かくする(接触幅の1/10程度)、②Hertz解析解でFEM結果を検証してから本番解析に進む、③材料の硬度勾配(表面硬化処理)を正確に反映する、④必要に応じて残留応力を初期条件として入力する——この手順だ。ただし何百万サイクルもの疲労をFEMで直接追うのは現実的ではないから、S-N曲線と組み合わせた疲労寿命予測が実務的なアプローチだよ。
歯車の歯元応力と接触応力はどう違うんですか?
歯元応力は歯の根元に発生する曲げ応力で、歯が折れる「歯元曲げ疲労」の原因。接触応力は歯面の噛み合い部に発生する圧縮応力で、「ピッチング(歯面疲労)」の原因だ。どちらもJIS B 1702規格(KISSsoftなど設計ツールが対応)の計算式で評価するのが一般的だが、修整歯形や大荷重変動のある用途ではFEMが必要になる。AbaqusやANSYSではギアの噛み合いを1サイクル分シミュレーションして最大接触応力と歯元応力を同時評価できる。
接触応力を下げる設計方法はありますか?
基本は接触面積を増やすことだ。球接触より円筒接触の方が接触領域が線になって圧力が下がる——これが玉軸受より円筒ころ軸受の方が高荷重対応な理由だ。表面処理でも大幅に改善できる。浸炭焼入れや窒化で表面硬度を高めると接触疲労強度が上がる。クラウニング(エッジ部を丸める形状修整)で端部の応力集中を緩和するのも定番設計だ。これらの効果をFEMで定量評価して最適クラウニング量を決めるのが高精度ギアや軸受の設計プロセスになっている。
関連用語
フレーキングも歯面疲労も接触応力が根本なんですね。Hertzとの比較検証が大事なこともわかりました!
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