ペリダイナミクス
ペリダイナミクスの理論基礎
ペリダイナミクスとは
先生、ペリダイナミクスって何ですか?
ペリダイナミクス(Peridynamics, PD)はSilling(2000年、Sandia国立研究所)が提案した非局所連続体力学。従来のFEM(微分方程式ベース)と異なり、積分方程式で運動を記述。亀裂の発生・分岐・合流がメッシュフリーで自然に表現される。
基本式
$H_\mathbf{x}$ は点 $\mathbf{x}$ を中心とする球(ホライゾン)。$\mathbf{f}$ はペアワイズ力関数。
微分がない! 偏微分方程式ではなく積分方程式。
微分がないから不連続(亀裂)が自然に扱える。ボンド(点間の結合)が伸びて臨界値を超えると切断→亀裂。メッシュの再生成なしに亀裂が進展。
まとめ
Silling博士のSandia研究所での発明
ペリダイナミクスはSandia国立研究所のStewart Silling博士が2000年に発表した非局所連続体力学理論だ。通常の偏微分方程式では亀裂での微分が定義できないという問題を、積分方程式(「bond」と呼ぶ物質点間の相互作用)を使うことで回避した。核廃棄物ガラスの破砕シミュレーションを動機として開発された。
ペリダイナミクスの数値計算手法
ペリダイナミクスの実装
FEMとの比較
まとめ
Bond-basedとState-basedの違い
ペリダイナミクスにはBond-based(BPD)とState-based(SPD)の2種類がある。BPDは計算が簡単だがPoisson比が1/4(2D)または1/3(3D)に固定される制約がある。SPDはこの制約を解消し、任意のPoisson比を扱えるため実材料への適用に優れる。ただしSPDは計算コストがBPDより2〜3倍高く、大規模モデルでの並列化実装が課題だ。
ペリダイナミクスの実務適用
ペリダイナミクスの実務
まだ研究段階だが、ガラスの衝撃破壊、岩盤の破砕、複合材の損傷で研究論文が増加中。
実務チェックリスト
複合材衝撃損傷のペリダイナミクス解析
CFRPの衝撃損傷(デラミネーション・マトリックスき裂・ファイバー断裂の複合)はFEMより複数のき裂伝播を自然に扱えるペリダイナミクスが有力だ。NASA Marshall宇宙飛行センターは2016年からCFRP打ち上げ機体パネルの高速粒子衝突損傷をペリダイナミクスで解析し、CT scan実験との損傷面積一致率80%を達成した。
ペリダイナミクスのソフトウェア比較
ペリダイナミクスのツール
Peridigm:オープンソースペリダイナミクス
PeridigmはSandia国立研究所が開発・公開したオープンソースのペリダイナミクスコードで、MPI並列に対応し大規模計算が可能だ。Trilinos数値計算ライブラリを使用しており、MPICH/OpenMPI環境で1000コア以上のスケーリングが可能。NASA・DOE・軍関連機関で使われており、GitHubでコードが公開されている(最終更新2020年代)。
ペリダイナミクスの先端研究
ペリダイナミクスの先端
ペリダイナミクスGPU並列の最前線
ペリダイナミクスは「bond」ループが大量で計算コストが高いが、GPU並列化と相性が良い。CUDA実装では1億物質点モデルをNVIDIA A100 GPU 8枚で数時間で計算できる(2022年、MITの実装)。FEMのような要素分割が不要で、自動的に亀裂を追跡できる特性から、大規模爆発・衝撃解析での採用が増加している。
ペリダイナミクスのトラブル対応
ペリダイナミクスのトラブル
ペリダイナミクスの表面効果と補正
ペリダイナミクスの表面・界面付近では「bondが少ない」という非対称性から誤差が生じる(表面効果)。自由表面の節点は内部の節点より約50%のbondが欠けているため、そのまま計算すると表面応力が過小評価される。体積補正係数やforce-stateの表面補正法(Madenci 2014)を実装することで誤差を5%以下に抑えられる。
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