応力緩和とクリープ緩和
応力緩和とクリープ緩和の理論基礎
応力緩和とは
先生、応力緩和はクリープとどう違いますか?
まとめ
緩和と変位制御の深い関係
クリープと緩和は同一の材料現象の「応力制御版」と「変位制御版」に過ぎない。一定変位下で応力が低下する「応力緩和」は、例えばボルト締結体で問題になる。JIS B 1083の締結設計指針では、スチールボルトを200℃以上で使用する場合、Norton則を用いた緩和計算で10年後の軸力残存率を評価することを推奨しており、初期軸力の80%を下回った時点で再締め付けを義務づけている事例もある。
応力緩和とクリープ緩和の数値計算手法
FEM設定
Abaqus: VISCOELASTIC, TIME=PRONY + VISCOステップ。Prony系列で緩和を定義。
まとめ
Prony級数との連携
クリープ緩和解析では、長期挙動をProny級数(Maxwell要素の並列結合)で表現することが多い。タイムステップ選択が精度を左右し、DIN EN 1992-1-1(ユーロコード2)のコンクリートクリープ係数φは対数時間軸で1〜50年を5〜7ステップ程度でカバーする。Abaqusでは「*VISCOELASTIC, TIME=PRONY」に直接データを入力するか、Time-Temperature Superpositionツールで自動フィッティングが可能である。
応力緩和とクリープ緩和の実務適用
実務チェックリスト
ボルト締結体の緩和:原子力配管の実務
クリープ緩和は原子力プラントのボルト締結設計で深刻な問題だ。GE BWR配管フランジ部では316Lステンレス鋼ボルトが300℃環境で10年運転後に初期締付力の35%を失うことが確認されており、ASME Section III規格はクリープ緩和を明示的に考慮した疲労評価手順を定めている。ANSYSのCREEPモジュールで再現可能なメカニズムだ。
応力緩和とクリープ緩和のソフトウェア比較
ツール
全ソルバーでProny系列に対応。Abaqusの*VISCOELASTICが最も柔軟。
各社のクリープ則実装:Norton則からDorn則まで
クリープ則の実装はソルバー間で大きく異なる。MSC Nastranはtime-hardening形式のNorton-Bailey則を標準実装し、ABAQUSはstrain-hardeningも選択可能。ANSYSはImplicit Creep Equationsで6種のクリープ則をサポートする。蒸気タービン高圧翼の設計では同一材料定数でもソルバー選択により1,000時間後クリープひずみが20%異なった比較事例がある。
応力緩和とクリープ緩和の先端研究
先端
クリープ研究の先駆:ガスタービン翼の高温変形
金属クリープの工学的研究は1950年代のロールスロイス Avon ターボジェットエンジン開発で本格化した。タービン入口温度1,050℃でIN-100ニッケル合金翼が1,000時間運転後に0.3mm伸長する現象を説明するため、Norton-Bailey式クリープ則が実測値と突き合わせて最適化された。現在のABAQUSではCREEP材料オプションとして引き継がれている。
応力緩和とクリープ緩和のトラブル対応
トラブル
クリープ解析の収束困難:時間増分制御の実務
クリープ・応力緩和解析の収束失敗の主因は時間増分の設定ミスだ。ABAQUS/Standardでは`CETOL`(クリープひずみ誤差許容値)のデフォルト0.005が粗いため、高温下の急速クリープ領域でIncrement Cutbackが連発する。実務では1次クリープ域のみ`CETOL=0.0001`に絞り、2次クリープ域は大きな増分を使う2段階設定が推奨される。
関連トピック
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