バッテリー容量計算 戻る
電気・エネルギー工学

バッテリー容量計算ツール

負荷電力・使用時間・バックアップ日数・DODを入力して必要なバッテリー容量(Ah/kWh)を即計算。Li-ion・鉛蓄電池・LiFePO4の特性比較と温度補正に対応。

パラメータ設定
負荷電力 P500 W
1日の使用時間8 h
自律日数(バックアップ)3
DOD(深度放電)0.80
システム電圧48 V
システム効率 η0.95
温度25 °C
バッテリー種類
バッテリーバンク・サイジング ライブシミュレーション
ライブ数値
必要容量 [Ah]
充電状態 SOC [%]
残り自律日数 [日]
使用可能エネルギー [kWh]
設計結果
総容量 [kWh]
標準セル数
概算コスト [万円]
サイクル寿命
温度補正係数
既知解 C [Wh]
理論・主要公式

必要容量(エネルギー):C = E_daily × days ÷ (DoD × η)、必要Ah = C ÷ V

E_daily = P × h(1日の消費エネルギー)。ランタイム = 使用可能Wh ÷ 負荷電力。温度補正 k_temp を掛けて実効容量を見積もります。

検証例:E_daily=500W×8h=4000Wh, days=3, DoD=0.8, η=0.95 → C≈15,789 Wh、48Vで約329Ah。

バッテリー容量計算とは

🙋
このツールで「バックアップ日数」を増やすと、必要なバッテリー容量がすごく増えますね。どうしてそんなに大きくなるんですか?
🎓
大まかに言うと、必要な「総エネルギー量」が単純に日数分だけ増えるからだね。例えば、100Wの機器を1日8時間使うなら、1日で800Wh必要。これが3日分なら2400Whに。上のスライダーで「バックアップ日数」を1から3に変えてみて。計算されるkWhが約3倍になるのがわかるよ。
🙋
「DOD(深度放電)」って何ですか?鉛蓄電池の推奨値がLi-ionより低いのはなぜ?
🎓
DODは「バッテリーの容量のうち、実際に使っていい割合」だ。100AhのバッテリーでDOD=0.8なら、80Ahまで使えるということ。鉛蓄電池は深く放電すると化学的なダメージが大きく、寿命が大きく落ちるんだ。実務では寿命を延ばすため、DOD=0.5以下で設計することが多い。逆にLi-ionは深く放電しても比較的強いから、DOD=0.8〜0.9で使える。ツールでバッテリー種類を切り替えて、推奨DODの違いを確認してみて。
🙋
「温度」のスライダーを動かすと容量が変わる!寒いとそんなに性能が落ちるんですか?
🎓
そうなんだ。特に鉛蓄電池は低温に弱くて、0℃だと容量が25%も落ちる。化学反応が遅くなるからだね。例えば、寒冷地の太陽光発電システムでは、計算上の容量よりかなり大きめのバッテリーを選ばないと、冬にバックアップが持たなくなる。このツールでは、選択したバッテリー種類に応じた温度補正係数を使って、実効容量を自動計算しているんだ。温度を-10℃に下げて、必要なAhがどう増えるか試してみよう。

よくある質問

DOD(Depth of Discharge)は放電深度を表し、バッテリーの全容量からどれだけ放電したかの割合です。例えばDOD 0.8なら容量の80%まで使用可能です。鉛蓄電池は0.5〜0.6、Li-ionは0.8〜0.9、LiFePO4は0.8〜1.0が一般的な推奨値です。高く設定しすぎるとバッテリー寿命が縮むため注意してください。
温度補正係数は温度スライダーから自動計算されます。25℃を基準に、低温では実効容量が低下するためk_tempが1未満になり、必要Ahが増えます。鉛蓄電池は0℃で約0.75、-20℃で約0.55まで下がり、Li-ion系は比較的緩やかです。高温側も寿命や安全余裕を考慮して容量増加としては扱わず、必要に応じて軽いディレーティングを見込みます。
Ah(アンペア時)はシステム電圧が決まっている場合のバッテリー選定に使い、kWh(キロワット時)は総エネルギー容量を把握するのに適しています。例えば12Vシステムで100Ahなら1.2kWhです。kWhは異なる電圧のシステム同士を比較する際に便利です。本ツールでは両方表示されるので、目的に応じてご利用ください。
バックアップ日数が長いと必要な容量が比例して増大します。対策として、①負荷電力を見直し不要な機器を減らす、②使用時間を短縮する、③DODを可能な限り高く設定できるバッテリー種別(LiFePO4など)を選ぶ、④システム効率ηを改善する(高効率インバータの採用)などが有効です。また、複数日数を分割して計算し、現実的な容量か確認することをおすすめします。

実世界での応用

住宅用太陽光発電システム(オフグリッド/ハイブリッド):夜間や雨天時の家庭用電力バックアップに必要な蓄電池容量を設計します。負荷として冷蔵庫や照明、パソコンなどの消費電力と使用時間を合算し、自治体の停電対策補助金の要件(例:3日分のバックアップ)を満たす容量を算出します。

通信基地局の無停電電源装置(UPS):商用電源が途絶えた場合でも、重要な通信設備を継続して稼働させるためのバッテリー容量を決定します。負荷電力が大きく、復旧までの時間(バックアップ時間)がシビアに決まっているため、温度条件(屋外設置)やバッテリーのサイクル寿命も考慮した設計が必須です。

電気自動車(EV)の補機用バッテリー設計:メインの駆動用バッテリーとは別に、エアコン、パワーステアリング、車載コンピュータなどを駆動する12V補機バッテリーの容量を検討します。駐車中の「駐車電装品」による消費(哨戒モードなど)と、エンジンルームの高温環境による性能低下を考慮して容量を決定します。

防災設備・非常用電源:避難所の照明、給水ポンプ、医療機器用の非常用電源システムの設計に使用します。災害時を想定した長期間(数日〜1週間)のバックアップが必要で、保守頻度が低く長寿命が求められるため、LiFePO4電池の採用と適切なDOD設定が検討されます。

よくある誤解と注意点

まず、「Ah(アンペア時)容量だけでバッテリーを選ばない」ことが大事だ。同じ100Ahでも、システム電圧が12Vなら1.2kWh、48Vなら4.8kWhと、貯められるエネルギーは全く違う。ツールでは最終的な「kWh」を必ず確認しよう。次に、「システム効率ηを甘く見すぎる」落とし穴。インバーターや充電コントローラーの損失は意外と大きく、特に安価な機器では効率が85%を切ることもある。例えば、計算上で10kWh必要なら、η=0.85とすると実際にバッテリーから引き出す必要があるのは約11.8kWh(10 ÷ 0.85)だ。最後に、「サイクル寿命の読み方を間違える」点。カタログに「サイクル寿命 3000回」とあっても、それは特定のDOD(例えば80%)での値だ。実際の運用でDODを毎回90%まで深く使えば、寿命はその半分以下になることもある。ツールの寿命推定はあくまで目安で、余裕を持った設計を心がけよう。

使い方ガイド

  1. 負荷電力(W)と1日の使用時間(h)を入力し、1日の消費電力量を算出します
  2. バックアップ日数と深放電率(DOD)を設定して、必要なAh容量を計算します。例えば既定の48V系で負荷電力500W、使用時間8h、バックアップ3日、DOD80%、LiFePO4の効率η=0.97、k_temp=1.00の場合、Ah=(500×8×3)÷(48V×0.8×0.97×1.00)≈322Ahとなります
  3. 電池化学(Li-ion、LiFePO4、鉛蓄電池)を選択すると、セル数、概算コスト、サイクル寿命、温度補正係数が自動算出されます

具体的な計算例

太陽光発電システムで、平均負荷1,000W、毎日10時間稼働、曇天時バックアップ2日間を必要とする場合:消費電力=1,000W×10h×2日=20,000Wh。48V系、DOD80%、LiFePO4(η=0.97)、気温35℃での補正係数k_temp=0.970を適用すると、必要容量は約553.5Ah、蓄電容量は約26.6kWhです。セル構成は15直列×6並列で合計90セル、コスト概算は約119.6万円、サイクル寿命は3,000回となります。

実務での注意点

  1. 鉛蓄電池は深放電率50%以下で設計し、Li-ionは70~80%、LiFePO4は80~90%で運用するとサイクル寿命が大幅に向上します
  2. 気温が5℃低下するごとに容量は約3~5%減少するため、北海道や高地での運用では温度補正を必ず適用してください
  3. 48V1,000Ah(48kWh)以上のシステムではBMS(バッテリー管理システム)の導入が必須で、セル間のバランシング機能がないと寿命が50%以上短縮されます