対話型シミュレーター
Chvorinov 則による鋳造凝固時間シミュレーター
鋳物が外側から内側へ凝固する様子をリアルタイムに描き、モジュラス M=V/A が凝固時間をどう支配するか、押湯が鋳物より後に固まる様子を可視化します。
パラメータ入力
凝固アニメーション(外側→内側)
t = 0.00 min
理論・主要公式
$$t_s = B\left(\frac{V}{A}\right)^n = B\,M^n,\qquad M=\frac{V}{A}$$
$t_s$:凝固時間[min]、$B$:鋳型定数[min/cm²]、$M$:モジュラス[cm]、$n\approx2$。モジュラスは体積を冷却面積で割った代表長さで、凝固殻の成長は $\delta(t)\propto\sqrt{t}$(放物則)で進みます。
$$\frac{t_{riser}}{t_{cast}}=\left(\frac{M_{riser}}{M_{cast}}\right)^{n}$$
押湯は鋳物より後に固まる必要があります。モジュラス比を $1.2$ 倍に取ると $n=2$ で凝固時間は約 $1.44$ 倍となり、鋳物が固まるまで溶湯を供給して縮孔を防ぎます。球は $M=r/3$、立方体は $M=a/6$ になります。
Chvorinov則とは
Chvorinov則は、鋳物の凝固時間 $t_s$ が「モジュラス」$M=V/A$(体積÷冷却面積)のべき乗に比例するという経験則です。式は $t_s=B\,M^n$($n\approx2$)で、$B$ は合金・鋳型・過熱度をまとめた鋳型定数です。
直感的には、ずんぐりした(モジュラスが大きい)鋳物ほど熱を内部に抱え込み、冷えにくく、固まるのが遅くなります。逆に薄く広い形状はモジュラスが小さく、すばやく凝固します。
このツールは鋳物の断面が外側の鋳型壁から内側へ凝固殻を成長させ、液相コアが縮小して中心が最後に固まる様子をリアルタイムに描きます。凝固殻の厚さは時間の平方根に比例して伸びる「放物則」に従います。
物理モデルと主要な数式
凝固時間:$t_s=B(V/A)^n=B\,M^n$。モジュラス:$M=V/A$。球では $V=\tfrac{4}{3}\pi r^3$、$A=4\pi r^2$ より $M=r/3$。立方体では $M=a/6$。薄板(両面冷却)では $M\approx t/2$($t$ は板厚)。
凝固殻の進行は放物則 $\delta(t)=\delta_{max}\sqrt{t/t_s}$ で近似できます。完全凝固は $t=t_s$ で達成され、凝固率は体積基準で評価します。
押湯設計:$t_{riser}/t_{cast}=(M_{riser}/M_{cast})^n$。押湯が鋳物より後に固まれば、凝固収縮を補う溶湯を最後まで供給でき、縮孔(ひけ巣)を防げます。
読み取り方
凝固アニメーションでは、外周の凝固殻(青白い固相)が厚くなり、中央の液相コア(橙色)が縮んでいく速さを見ます。
凝固時間 vs モジュラス曲線では、現在の動作点が曲線のどこにあるか、モジュラスを増やすと時間がどれだけ急に伸びるかを読みます。
鋳物 vs 押湯のバーでは、押湯が鋳物より遅れて固まる(バーが右に伸びる)ことを確認します。逆転していれば押湯モジュラス比を上げます。
会話で学ぶChvorinov 則による鋳造凝固時間
🙋鋳物って外側から固まるんですか?アニメを見ると周りが青くなって真ん中が最後まで橙色のままですね。
🎓そう、熱は鋳型壁を通して外へ逃げるから、外側から凝固殻ができて内側へ厚くなっていくんだ。殻の厚さは時間の平方根に比例して伸びる(放物則)から、最初は速くて後半はゆっくり。中心が最後に固まる点がいわゆるホットスポットだよ。
🙋モジュラス M=V/A って、なんで凝固時間を決めるんですか?体積だけじゃダメなんですか?
🎓熱を抱えるのは体積、熱を逃がすのは表面積だから、両方の比 V/A が効くんだ。例えば球は M=r/3、立方体は M=辺長/6。同じ体積でも薄く広げれば M が小さくなって速く固まる。Chvorinov則 t=B·M² はこの比の2乗で時間が決まる、と覚えるといいよ。
🙋押湯(ライザー)は何のためにあるんですか?鋳物の横に余分な湯だまりがありますよね。
🎓金属は固まるとき縮むから、その分の溶湯を補給しないと中に空洞(縮孔)ができる。押湯を鋳物より後に固まるよう設計すれば、鋳物が凝固する間ずっと溶湯を送り込める。だから押湯のモジュラスを鋳物より大きく取るんだ。比較バーで押湯が鋳物より右に伸びていればOK。
🎓定石は押湯モジュラスを鋳物の約1.2倍。n=2なら凝固時間は1.2²≈1.44倍になって十分な余裕ができる。スライダーで比を1.0に下げてみると、押湯と鋳物がほぼ同時に固まって危険側になるのが分かるよ。最終的には合金や鋳型条件で校正してね。
実世界での応用
押湯(ライザー)の初期サイジング:鋳物モジュラスから必要な押湯モジュラスを逆算する。
肉厚変更が凝固時間に与える影響の比較:設計変更が固まり方をどう変えるかを素早く確認。
CAE鋳造解析(凝固シミュレーション)前の設計案スクリーニング:複数案のホットスポット位置を当たりをつける。
よくある誤解と注意点
体積だけで凝固時間は決まりません。冷却面積との比(モジュラス)が支配的です。
湯流れ部や非冷却面は冷却面積に含めない(過評価を避ける)。砂型と接する有効面積のみ計上します。
定数 B は合金・鋳型・過熱度で大きく変わるため、必ず実測で校正します。Chvorinov則は初期検討のスクリーニング用で、最終判断には詳細解析・規格値・実測値を併用してください。
よくある質問
凝固時間とモジュラスを先に見ます。次に鋳物断面アニメーションで凝固殻がどう成長するかを確認し、押湯比較で押湯が鋳物より後に固まるかを読みます。形状図では体積に対して冷却面積が不足していないかを見ます。
Chvorinov則 t=B·M^n では凝固時間がモジュラスのべき乗で決まります。モジュラスは体積を冷却面積で割った長さで、肉厚が大きい(ずんぐりした)鋳物ほど大きく、凝固が遅くなります。球ではM=r/3、立方体ではM=辺長/6になります。
押湯は鋳物より後に凝固する必要があります。押湯のモジュラスを鋳物より大きく取ると凝固時間が長くなり、鋳物が固まるまで溶湯を供給して縮孔を防げます。一般に押湯モジュラスを鋳物の約1.2倍にして余裕を確保します。
Chvorinov則は凝固時間がモジュラスV/Aのべき乗に比例する経験式です。合金、鋳型、過熱度、押湯設計は別途考慮します。最終判断では規格値、実測値、詳細解析、メーカー条件を確認してください。
使い方ガイド
- 鋳物の体積[cm³]を入力(例:鋳鋼部品で500cm³)
- 冷却面積[cm²]を入力(例:複雑な形状で800cm²)
- 鋳型定数B値を設定(スライダー範囲0.02~8 min/cm²。砂型は概ね1~3)
- 指数nを調整(通常1.5~2.5、砂型は2.0付近)
- 凝固アニメーションで外側から内側への凝固殻成長を観察し、凝固時間[min]とモジュラスがリアルタイムに算出されます
具体的な計算例
球状黒鉛鋳鉄(FCD450)の厚肉部品:体積V=800cm³、冷却面積A=1200cm²、鋳型定数B=1.6 min/cm²、n=2の場合、モジュラス M=V/A=0.667cm。Chvorinov則 t=B×M^n より凝固時間t≈1.6×(0.667)²≈0.71 min(約43秒)と予測されます。押湯モジュラスを1.2倍に取ると凝固時間は約1.44倍となり、鋳物が固まるまで溶湯を供給できます。Bの値は合金・鋳型・過熱度で校正してください。
実務での注意点
- 砂型との接触面積のみ計上-内部湯流部は除外(過評価回避)
- 大型ケーシング(V>2000cm³)ではB値を15~18に上方修正(冷却遅延対策)
- 押湯サイズ設計:凝固時間に対し1.3倍の余裕係数を適用(縮孔防止)
- アルミ合金A356はB=8以下を使用-鋳鋼より急冷(熱伝導率3倍)
- 複雑な湯道配置では感度解析でA値±20%変動時の影響を事前検証
🎬 動画で見る
物質の状態変化(相転移)とは|蒸発・凝固・昇華を物理シミュレーションで可視化