クリーンルーム換気回数と粒子濃度回復シミュレーター 一覧へ
対話型シミュレーター

クリーンルーム換気回数と粒子濃度回復シミュレーター

汚染イベント後、換気(ACH)で浮遊粒子が排出され、粒子濃度が指数的に減衰して目標清浄度まで回復する様子をリアルタイムに可視化します。

パラメータ入力
換気回数 ACH
1/h

1時間あたりの室内空気の入れ替わり回数。ACH = 給気風量 Q ÷ 室容積 V。

有効除去効率
%

混合不良・デッドゾーン・フィルタバイパスを織り込んだ実効的な除去効率。

初期粒子濃度
count/m3

汚染イベント直後(t=0)の浮遊粒子濃度。

目標比率
%

初期濃度に対する目標清浄度(%)。1%=100:1回復に相当します。

ライブ計算結果
ACH (1/h)
回復時間 100:1 (min)
現在濃度 (count/m³)
回復率 (%)
室容積 (m³)
給気風量 (m³/h)
クリーンルーム:気流による粒子の排出
t = 0.0 min
青点=浮遊粒子、青矢印=給気/排気の気流。換気回数が多いほど粒子は速く排出され、濃度は指数的に減衰します。緑の枠線到達=目標清浄度に回復。
粒子濃度の減衰曲線
回復時間 vs ACH
物理モデルと主要式

完全混合を仮定すると、汚染イベント後の粒子濃度は1次の指数減衰に従います。

$$C(t)=C_0\,e^{-\frac{\eta\,\mathrm{ACH}}{60}\,t},\qquad \mathrm{ACH}=\frac{Q}{V}$$

目標比率 $C_\text{target}/C_0$ までの回復時間は次式で与えられます。

$$t=-\frac{60}{\eta\,\mathrm{ACH}}\,\ln\!\left(\frac{C_\text{target}}{C_0}\right)$$

ここで $C_0$ は初期濃度、$\eta$ は有効除去効率、$\mathrm{ACH}$ は換気回数 [1/h]、$Q$ は給気風量 [m³/h]、$V$ は室容積 [m³]。時定数は $\tau=60/(\eta\,\mathrm{ACH})$ [min]。100:1 回復($C_\text{target}/C_0=0.01$)では $t=-\tau\ln(0.01)\approx 4.6\,\tau$ です。

この簡易モデルは完全混合・定常気流を仮定します。層流方式・局所デッドゾーン・粒子発生源・規格上の補正は必要に応じて別途確認します。

このシミュレーターでわかること

クリーンルームでは、人の入退室や作業によって発生した粒子を、フィルタを通した清浄空気で繰り返し置換(換気)して排出します。汚染イベントの直後から粒子濃度が時間とともにどう下がり、目標清浄度に何分で戻る(回復する)かを、アニメーションと数値で同時に確認できます。

左の部屋アニメーションは、給気・排気の気流矢印と、排出されていく浮遊粒子そのものを描きます。減衰曲線は $C(t)=C_0 e^{-\eta\,\mathrm{ACH}\,t/60}$ の指数減衰、右の感度曲線は ACH を変えたときの回復時間の変化を示します。ACH を上げると回復時間が反比例的に短くなることが一目でわかります。

読み取り方

まず「回復時間 100:1」を見ます。これは粒子濃度が初期の1%(100分の1)に下がるまでの時間で、ISO 14644 の回復試験(recovery test)の基本指標です。

感度曲線(回復時間 vs ACH)では、ACH を増やしても回復時間の短縮が頭打ちになる領域を確認します。低 ACH 側ほど1回の増加の効果が大きく、高 ACH 側では効果が逓減します。

初期設計では絶対値より、ACH と除去効率 η のどちらが回復時間を支配しているかを重視します。両者は積 η·ACH として等価に効きます。

会話で学ぶクリーンルーム換気回数と粒子濃度回復

🙋
汚染イベントのあと、粒子濃度はどう下がっていくのですか?換気回数を上げると、図も数値も同時に変わるので少し迷います。
🎓
完全混合を仮定すると、濃度は $C(t)=C_0 e^{-\eta\,\mathrm{ACH}\,t/60}$ という指数関数で減衰します。換気回数 ACH が大きいほど指数の肩が急になり、同じ目標濃度に早く到達します。左のアニメーションで粒子が排出される速さ、中央の曲線で減衰の形、上の「回復時間 100:1」で具体的な分数を合わせて読むと、効き方が直感的につかめます。
🙋
換気回数 ACH を上げれば回復は速くなりますが、有効除去効率はどのくらい効いていると考えればいいですか?
🎓
回復速度は積 η·ACH で決まります。つまり ACH を1.2倍にするのと、効率 η を1.2倍にするのは数式上は等価です。実機では η は混合不良やデッドゾーンで簡単に下がるので、ACH を確保しても期待どおり回復しないことがあります。η を少しずつ動かして回復時間の動きを見ると、どちらが支配的かが見えてきます。
🙋
回復時間 vs ACH の曲線は何を見るための図ですか?普通の減衰曲線だけでも判断できそうに見えます。
🎓
回復時間は ACH に反比例($t\propto 1/\mathrm{ACH}$)するので、低 ACH 側では1回増やすだけで大きく短縮しますが、高 ACH 側では頭打ちになります。この図はその「効きが逓減する境界」を一目で示します。過剰な換気は送風動力(エネルギーコスト)を増やすだけなので、必要十分な ACH を選ぶ判断に使えます。
🙋
回復時間が基準内なら、この条件をそのまま採用してよいですか?
🎓
ここでは初期検討として扱ってください。完全混合の仮定が崩れる層流方式や、人による粒子発生が続く定常運転では実機の回復はもっと遅れます。最終判断では規格値(ISO 14644-3 の回復試験)、実測値、CFD などの詳細解析、フィルタメーカー条件で確認してください。

実務での使い方

ISO 14644-1 のクラス(ISO 5〜8)に対する必要 ACH と、回復試験(recovery time)の目安の一次見積り。

詳細解析(CFD・実測)に入る前の、ACH と除去効率のどちらが回復を支配するかの絞り込み。

教育・説明用に、指数減衰の式・数値・粒子排出アニメーションを同じ条件で同時に確認。

よくある質問

時定数と目標到達時間を先に見ます。次に粒子濃度の回復曲線で前提の状態を確認し、換気・効率・目標の内訳で分布や変化の偏りを読みます。主グラフで支配的な変化を見て、数値カードだけでは見落としやすい折れ点や飽和を確認します。
換気回数 ACHを単独で動かしたあと、有効除去効率も同じ幅で動かして時定数の変化量を比べます。ACH と効率の到達時間を見ると、どの組み合わせで余裕や性能が急に変わるかを把握できます。回復速度は積 η·ACH で決まるため、両者は数式上は等価に効きます。
設計案の一次比較とレビュー前の論点整理に使います。単一点の数値ではなく、入力範囲を少し広げて時定数の余裕が保てるかを確認すると、詳細解析へ進む前の論点整理に役立ちます。
この簡易モデルは主要な関係だけを扱います。完全混合・定常気流を仮定するため、層流方式・局所デッドゾーン・継続的な粒子発生源は別途確認します。最終判断では規格値、実測値、詳細解析、メーカー条件を確認してください。
汚染イベント後、粒子濃度が初期値に対して目標比率(例:1%=100:1回復)まで低下するのに要する時間です。完全混合を仮定すると t=-(60/(η·ACH))·ln(C_target/C_0) で求まり、ACH が高いほど指数的に短くなります。
ACH は1時間あたりの室内空気の入れ替わり回数で、ACH = Q/V(給気風量 Q [m³/h] ÷ 室容積 V [m³])で定義されます。本ツールでは ACH を直接入力し、参考として室容積と風量も表示します。ISO 14644-1 のクラスが厳しいほど高い ACH が要求されます。

使い方ガイド

  1. クラス別基準に応じたACH(換気回数/時)を入力します。ISO 14644-1 Class 5では≥240 ACH、Class 6では≥180 ACH が標準です
  2. フィルタ除去効率(%)を設定します。HEPA フィルタは99.97%、ULPA フィルタは99.9995%が目安値です
  3. 初期粒子濃度(例:1.0E+5 個/m³)と目標比率(例:1%=100:1回復)を入力し、回復時間を算出します
  4. シミュレータが回復時間と現在濃度・回復率を自動計算し、粒子が気流で排出される様子をアニメーションで表示します

具体的な計算例

医薬品製造の Class 5 クリーンルーム(体積50m³)において、ACH=60回/時、有効除去効率 η=85%の条件下、初期濃度3.5E+5個/m³から目標比率1%(100:1回復)への低下時間を計算します。本ツールの式は時定数τ=60/(ACH·η)=60/(60×0.85)≒1.18分。目標比率1%への到達時間 t=−ln(0.01)·τ≒5.42分(目標比率5%なら≒3.52分)。10分経過時の濃度は3.5E+5·exp(−(60×0.85/100)·10/60)≒71個/m³まで低下します。給気風量は Q=ACH×V=60×50=3000 m³/h。実機では気流の不均一性で計算より遅れるため安全係数を見込みます。

実務での注意点