1次元衝突シミュレーター 戻る
機械力学

1次元衝突シミュレーター(弾性・非弾性)

2つの物体の質量・速度・はね返り係数を設定して衝突前後の速度・運動量・エネルギーを計算。アニメーションで衝突過程を可視化。

パラメータ設定
プリセット
物体 1 (青)
質量 m₁
kg
初速度 v₁
m/s
正:右向き / 負:左向き
物体 2 (橙)
質量 m₂
kg
初速度 v₂
m/s
はね返り係数 e
0: 完全非弾性1: 完全弾性
再生コントロール
結果比較
ドラッグ操作:キャンバス上で物体をドラッグして初期位置を変更、速度矢印をドラッグして初速度を設定できます。
計算結果
v₁' 後 [m/s]
v₂' 後 [m/s]
Δp₁ [N·s]
エネルギー損失 [J]
KE保存率 [%]
衝突アニメーション
物理量 衝突前 衝突後
v₁ [m/s]
v₂ [m/s]
全運動量 p [kg·m/s]
全運動エネルギー KE [J]
エネルギー損失 ΔKE [J]
理論・主要公式
$$v_1' = \frac{(m_1 - e m_2)v_1 + (1+e)m_2 v_2}{m_1 + m_2}$$ $$v_2' = \frac{(m_2 - e m_1)v_2 + (1+e)m_1 v_1}{m_1 + m_2}$$

$e=1$:完全弾性(KE保存),$e=0$:完全非弾性(くっついて一体化)

運動量保存:$m_1 v_1 + m_2 v_2 = m_1 v_1' + m_2 v_2'$(常に成立)

1次元衝突(弾性・非弾性)とは

🙋
「はね返り係数」って何ですか?教科書で「e」って見たけど、実際の衝突でどう決まるんですか?
🎓
大まかに言うと、衝突の「跳ね返り具合」を0から1の数字で表したものだよ。e=1はボールが床に完全に跳ね返るような理想的な衝突(弾性衝突)。e=0は粘土同士がぶつかってくっついてしまう衝突(完全非弾性衝突)だ。実務では、自動車のバンパー衝突や部品の落下試験で、材料の組み合わせごとに実験で決めた値を使うことが多いね。このシミュレーターの上のスライダーでeを0から1に動かしてみると、衝突後の速度がどう変わるか一目瞭然だよ。
🙋
え、そうなんですか!じゃあ、eが1の時だけエネルギーが保存されるということ?でも、運動量はいつも保存されるんですか?
🎓
その通り!運動量保存則は、外力が働かない限り、eの値に関係なく常に成り立つ、衝突の大原則なんだ。一方で運動エネルギーは、e=1の完全弾性衝突の時だけ保存される。eが1より小さいと、その分のエネルギーが熱や音、変形のエネルギーに変わって失われる(非弾性衝突)。シミュレーターで質量と速度を同じにして、eだけを1と0.5で比べてみて。グラフで運動エネルギーの減り方が大きく異なるのがわかるよ。
🙋
CAEソフト(LS-DYNAとか)でもこの「e」を設定するんですか?現場ではどんな風に使われてるんですか?
🎓
もちろん!LS-DYNAの接触(contact)定義で「はね返り係数」は特に重要なパラメータなんだ。例えば、自動車がコンクリート壁に衝突するシミュレーションでは、eを小さく(0.05とか)設定してエネルギーを大きく吸収させる。逆に、ボールが跳ね返るアニメーションではeを0.8とか1に近い値にする。このツールで色々なeを試す感覚が、そのままCAEのパラメータ設定の感覚に直結するんだ。

よくある質問

はい、可能です。速度の符号は向きを表し、正の値を右方向、負の値を左方向として扱います。質量に負の値を入力すると物理的に意味をなしませんが、計算自体は行われます。現実的なシミュレーションには正の質量を推奨します。
はね返り係数が0.5の場合、衝突後に運動エネルギーの一部が失われます。完全弾性衝突(e=1)と比較して、失われたエネルギーは主に熱や変形に変換されます。画面上部のエネルギー表示で、衝突前後の数値変化を確認できます。
シミュレーション速度を調整するスライダー(通常は画面下部)を「低速」側にドラッグしてください。また、衝突後に「リセット」ボタンを押さずに、速度や質量を変更して再度「実行」すると、同じ条件で繰り返し再生できます。
e=0の場合、衝突後は2つの物体が同じ速度で移動します。この共通速度は運動量保存則から計算され、式は v' = (m1*v1 + m2*v2) / (m1+m2) となります。シミュレーターでは、一体化した物体が1つのブロックとしてアニメーション表示されます。

実世界での応用

自動車衝突安全解析:LS-DYNAなどの衝突解析では、車体と障害物(壁、歩行者ダミー)間の接触にはね返り係数を設定します。eを小さく設定することで、現実の車体のつぶれ(塑性変形)によるエネルギー吸収をモデル化し、衝撃力を評価します。

スポーツ工学:ゴルフボールやテニスボールの反発性の設計、ラケットとボールの衝突シミュレーションに利用されます。素材や空気圧を変えることで反発係数eが変化し、飛距離や打球感が決まります。

ロボット・メカトロニクス:ピッキングロボットの把持動作や、部品がコンベアで輸送中にぶつかる際の挙動予測に使われます。物体が跳ねない(e≈0)ように設定することで、安定した制御を実現します。

破砕・粉体シミュレーション:SPH法やDEM法を用いて、岩石の破砕や穀物の流動をシミュレーションする際、粒子同士の衝突パラメータとしてはね返り係数が必須です。材料の脆さや摩擦を表現するために調整されます。

よくある誤解と注意点

まず、「はね返り係数eは材料固有の定数」と思い込むこと。実は、衝突速度や物体の形状、温度によっても変わるんだ。例えば、同じゴムボールでも、猛烈な速さで壁にぶつかると(高速衝突)、内部で発熱が大きくなってeは低下する。シミュレーターでは固定値だけど、実務では「この速度範囲ではこのe」と条件付きで使うことが多いよ。

次に、「1次元だから簡単」と油断すること。このツールはあくまで「質点」の衝突を扱っている。現実の部品にはサイズと形があるから、衝突の瞬間に回転が生じたり、接触点が変わったりする。例えば、長い棒が端から衝突すると、並進運動と回転運動がカップルして、1次元の式だけでは予測できない動きになる。まずは質点モデルで感覚を掴み、その限界も理解するのがステップアップのコツだ。

最後に、CAE設定での落とし穴。LS-DYNAなどで接触条件にeを設定する時、「どのペアに設定するか」を間違えないこと。部品Aと部品Bの接触、部品Bと部品Cの接触…と、全ての接触ペアに対して適切なeを割り当てる必要がある。デフォルト値(例えば0.1)を全てに適用すると、現実とかけ離れた跳ね返り方になるから要注意だ。このシミュレーターで「2物体間」のeの影響を体感しておくと、CAEでの設定イメージが湧きやすい。