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電磁気・光学

光ファイバー通信シミュレーター

減衰損失・分散・帯域幅距離積・開口数(NA)・Vナンバーを計算し、シングルモード/マルチモード動作を判定します。

パラメータ設定
プリセット
ファイバーパラメータ
コア径 d
μm
コア屈折率 n₁
クラッド屈折率 n₂
波長 λ
nm
伝搬パラメータ
減衰係数 α
dB/km
分散係数 D
ps/(nm·km)
スペクトル幅 Δλ
nm
ファイバー長 L
計算結果
開口数 NA
Vナンバー
全損失 [dB]
パルス広がり [ps]
BWD積 [GHz·km]
最大ビットレート [Gb/s]
距離-損失特性
波長-Vナンバー特性
理論・主要公式

開口数 NA:

$$\mathrm{NA}= \sqrt{n_1^2 - n_2^2}$$

規格化周波数(Vナンバー):

$$V = \frac{\pi d}{\lambda}\,\mathrm{NA}$$

$V < 2.405$ → シングルモード;$V \geq 2.405$ → マルチモード

パルス広がり:

$$\tau = D \cdot L \cdot \Delta\lambda$$

最大ビットレート(NRZ):

$$B_{\max}= \frac{0.7}{\tau}$$

光ファイバー通信シミュレーターとは

🙋
このシミュレーターで「シングルモード」か「マルチモード」かが判定されてますけど、何が違うんですか?
🎓
大まかに言うと、光が通る「道筋」の数だね。シングルモードは一本道で、マルチモードは何本もの道がある。この判定は「Vナンバー」という値で決まるんだ。上のパラメータで「コア径 d」を大きくしたり「波長 λ」を小さくすると、Vナンバーが大きくなってマルチモードに変わるよ。確認してみて。
🙋
え、そうなんですか?「減衰係数 α」も変えられるけど、これって何に影響するんですか?
🎓
これは光のパワーがどれだけ弱まるかを表す数値で、単位はdB/kmだ。実務では、長距離通信には低損失なファイバーが必須だね。例えば、このシミュレーターで「ファイバー長 L」を100kmにしてみて。αを0.35 dB/km(1310nm帯の標準値)から0.20 dB/km(1550nm帯の値)に下げると、グラフの「全損失」が大幅に減るのがわかるよ。
🙋
「帯域幅距離積」って出てきますけど、これが大きいと何がいいんですか?分散係数Dも関係ある?
🎓
いいところに気づいたね!帯域幅距離積は「距離×帯域幅」の限界値で、これが大きいほど高速で長距離の通信が可能になる。これに影響するのが「分散係数 D」と「スペクトル幅 Δλ」だ。Dが大きい、またはΔλが広いと、光の波長ごとの速度差(分散)が大きくなって帯域幅距離積が小さくなってしまう。1550nm帯でDを0付近に設定すると、分散の影響が最小限になる「零分散点」の状態を再現できるよ。

よくある質問

Vナンバーが2.405未満ならシングルモード、以上ならマルチモードと自動判定されます。コア径を小さくする、波長を長くする、またはNAを小さくするとVナンバーが下がり、シングルモードになりやすくなります。
NAが大きいほど光を取り込める角度が広がり、結合効率が向上します。ただし、Vナンバーが増加してマルチモード化しやすくなり、モード分散による帯域制限が生じるため、長距離伝送には注意が必要です。
単位はMHz·kmです。数値が大きいほど、より長距離または高速な信号伝送が可能です。例えば500MHz·kmなら、1kmで500MHz、0.5kmで1GHzの帯域幅が得られることを意味します。
波長が長すぎる(例:2μm以上)か、コア径やNAが極端に小さい可能性があります。また、入力値に現実的でない数値(屈折率差が0.5以上など)が含まれていないか確認してください。

実世界での応用

長距離・大容量通信網:海底ケーブルや都市間バックボーン回線に、損失が極めて小さいシングルモードファイバー(SMF)が使用されます。1550nm帯で動作させ、光増幅器(EDFA)と組み合わせることで、数千kmにわたる通信が可能です。

データセンター内接続:サーバー間の高速接続には、コア径が大きく接続が容易なマルチモードファイバー(MMF)が多用されます。帯域幅距離積の高いグレーデッドインデックス(GI)型が主流で、短距離ながらもコスト効率に優れています。

波長分割多重(WDM)システム:1本のファイバーで複数の波長の光を同時に伝送する技術です。分散係数Dの影響を抑える設計が重要で、零分散波長帯(例:SMF-28の1310nm付近)や分散シフトファイバーが用いられます。

光センサー・医療内視鏡:イメージバンドルと呼ばれる多数のファイバーを束ねたものや、特殊なコーティングを施したファイバーが利用されます。開口数NAは、どれだけ広い角度からの光を伝えられるかを決めるため、画像の明るさや視野角に直接影響します。

よくある誤解と注意点

まず、「シングルモードだから常に高性能」とは限らないという点に注意だ。確かに長距離・大容量通信の主役はシングルモードファイバー(SMF)だが、短距離の配線ではコネクタやスプライスによる接続損失が相対的に大きくなる。例えば、データセンター内で10mしかないリンクにSMFを使うと、精密な接続が必要でコストが上がる。むしろ、コア径が大きく扱いやすいマルチモードファイバー(MMF)の方が総合コストで優れるケースが多いんだ。

次に、パラメータ入力時の単位ミス。「コア径d」をμmで入力すべきところをmmで入力してしまうと、Vナンバーの計算結果が1000分の1になり、とんでもない判定結果が出る。例えば、標準的なSMFのコア径は9μmだが、9mmと入力すると完全に計算が破綻する。波長λも同様で、1550nmは1.55μm、つまり1.55と入力する必要がある。シミュレーション結果が理論値と明らかに違うときは、まず単位を疑おう。

最後に、「分散係数D」の符号と意味を混同しないこと。Dが正の値(例:+17 ps/(nm・km))は「正常分散」で、波長が長いほど速度が遅い。逆に負の値は「異常分散」。この違いは、超短パルスを伝送する際のパルス幅の広がり方に直接影響する。シミュレーターでDの値をプラスからマイナスに変えて帯域幅距離積の変化を見ると、その影響が実感できるよ。