FMEA RPN計算ツール 戻る
機械力学

FMEA リスク優先度(RPN)シミュレーター

故障モードごとの深刻度S・発生頻度O・検知性DからRPN=S×O×Dを計算。パレート分析・リスクマトリックス・対策効果を定量評価。AIAG FMEA第5版準拠。

コントロール

故障モードを RPN = S×O×D で評価し、RPNの降順にランキング表示します。検知性Dが改善されるとRPNが比例して低下し、順位がリアルタイムに入れ替わる様子を可視化します。

しきい値を超える故障モードを赤で強調します。

一時停止中はスライダーを動かすと結果が即座に更新されます。

RPN の定義

故障モードごとに $\text{RPN}=S\times O\times D$(各1〜10、最大1000)を計算します。検知性Dを下げるとRPNが比例して低下し、ランキングが変化します。
RPN ランキング(リアルタイム)
ライブ統計
最高 RPN
重大故障モード
平均 RPN
しきい値超過件数
理論・主要公式

$\text{RPN}= S \times O \times D \quad (\text{最大}1000)$

深刻度S:1(影響なし)〜 10(警告なし危険)  発生頻度O:1(極めてまれ)〜 10(ほぼ確実)

検知性D:1(確実検知)〜 10(検知不能)

リスク低減率:$\dfrac{\text{RPN}- \text{RPN}'}{\text{RPN}}\times 100\%$

FMEAとRPNとは

🙋
FMEAって何ですか?RPNってどうやって決めるんですか?
🎓
大まかに言うと、製品や工程の「壊れ方」を事前に洗い出して、対策の優先順位を決める手法だよ。RPNはその優先度を数値化したもので、深刻度(S)、発生頻度(O)、検知性(D)の3つを掛け算して計算するんだ。このシミュレーターでは、上のスライダーでS, O, Dを1から10まで変えれば、リアルタイムでRPNが計算されるよ。例えば「エンジンのオーバーヒート」なら、S=8, O=3, D=4みたいに評価するね。
🙋
え、3つも掛けるんですか?例えばRPNが100を超えたら絶対にダメって決まりがあるんですか?
🎓
実務では、絶対的なしきい値より「相対的に高いものから対策」するのが多いね。このツールの「RPNしきい値フィルタ」を動かしてみて。例えば100に設定すると、RPNが100以上の故障モードだけがパレート図やリスクマトリックスに強調表示される。でも、S(深刻度)が10の「警告なしで危険」なものは、RPNが小さくても最優先だよ。現場ではこのバランスを見極めるのが大事なんだ。
🙋
対策した後はどうするんですか?RPNが下がったらそれで終わり?
🎓
いいところに気づいたね!対策を講じると、通常はO(発生頻度)やD(検知性)が下がる。このシミュレーターの「対策後RPN比較」を確認してみよう。対策前と対策後のRPNを並べて、どれだけリスクが低減したかが一目でわかる。例えば、検査工程を追加してDを下げたり、部材を強化してOを下げたりするんだ。CAEの構造解析結果を使って、対策前後の応力分布からOやSの評価を見直すこともあるよ。

よくある質問

ありません。RPNはS×O×Dで計算され、各評価値は1〜10の整数値です。したがって最大値は10×10×10=1000、最小値は1×1×1=1です。計算結果が範囲外になることはありません。
本シミュレーターはAIAG FMEA第5版の評価基準表に準拠しています。深刻度Sは顧客影響、発生頻度Oは過去データや類似事例、検知性Dは現行の管理策の有効性に基づいて1〜10の値を選択してください。各基準の詳細はツール内のヘルプボタンから確認できます。
パレート図は累積RPN割合が80%に達するまでの主要な故障モードを特定します。まず上位20%の故障モードに集中して対策を立案し、対策後に再計算してRPNが低減したか確認してください。効果が不十分な場合は次の優先順位の項目に進みます。
RPNはS×O×Dの積のため、D(検知性)が極めて低い(例:D=10)とRPNは高くなります。しかし、既に検知不能な故障でもSが低くOがまれな場合、対策コスト対効果の観点から許容されることがあります。ツールではマトリックスとRPNを併用して総合判断することを推奨しています。

実世界での応用

自動車開発:ISO 26262(機能安全規格)に基づくハザード分析の一環として活用されます。例えば、ブレーキシステムの故障モード(「制動力低下」など)をリストアップし、RPNを計算して優先的に対策すべき項目を決定します。CAEの疲労解析結果から部品の破損確率(O)を推定することもあります。

医療機器製造:注射ポンプやペースメーカーなどの故障が人命に直結するため、FMEAは設計段階で必須です。故障モードのRPNを評価し、冗長設計や自己診断機能の追加(Dの低減)などの対策を講じます。

半導体製造工程:複雑な製造プロセスにおいて、歩留まり低下や不良品発生の原因となる工程を特定するためにプロセスFMEAが実施されます。リスクマトリックスを用いて、高発生頻度(O)かつ高深刻度(S)の工程を重点的に管理します。

航空宇宙:信頼性が最優先される分野です。FMEAはFTA(故障の木解析)と相補的に用いられ、ロケットエンジンの部品故障など、発生頻度は低くても深刻度が極めて高い(S=9 or 10)事象を洗い出し、設計に反映させます。

よくある誤解と注意点

RPNシミュレーターを使い始めるとき、特に初心者が陥りがちな落とし穴がいくつかあるんだ。まず一つ目は、「数字のマジックに騙されないこと」。RPNはS×O×Dだから、例えばS=5, O=5, D=5のRPN125と、S=9, O=3, D=5のRPN135は数字上は近いよね。でも、後者は「警告なし危険」に近い深刻度9の事象だ。たとえRPNが少し低くても、人命や法規違反に関わるような高深刻度(S)の事象は最優先で見るのが鉄則だよ。二つ目は「主観評価のバラつき」。あるエンジニアは「年に1回くらい」をO=4と評価し、別の人はO=3と評価するかもしれない。これを防ぐには、社内で評価基準を具体化すること。例えば「O=3: 過去3年間で1件の報告あり」「O=4: 過去1年間で1件の報告あり」のように、できるだけ客観的なデータ(故障報告書、CAE解析結果の確率など)に基づいて評価しよう。三つ目は「検知性Dの意味を逆に捉えないこと」。Dは「検知の難しさ」だ。検査が完璧で確実に故障を見つけられるならD=1、全く検知できないならD=10だ。うっかり「検知のしやすさ」でスライダーを動かさないようにね!

使い方ガイド

  1. 故障モード、潜在的な原因、潜在的な影響を入力する
  2. 深刻度(S: 1~10)、発生頻度(O: 1~10)、検知性(D: 1~10)を各行に入力
  3. RPN = S × O × D で自動計算され、パレート図と対策前後RPN比較グラフに反映される
  4. 対策内容を記入して対策後の各指標を再入力し、総リスク低減率を確認
  5. RPNしきい値フィルタ(既定0=全件表示)を設定して、閾値を超えるリスク項目だけを表示

具体的な計算例

自動車エンジンの燃料ポンプ不具合を想定。深刻度S=9(エンジン停止)、発生頻度O=4(100万台中4件)、検知性D=6(ベンチテスト検知困難)の場合、RPN = 9 × 4 × 6 = 216となり、rpnThresholdNum=100を超過。対策後に検知性をD=3に改善すると、RPN = 9 × 4 × 3 = 108に低減、総リスク低減率は50%。複数故障モード比較時、最高RPNと平均RPNでリスク分布を把握し、RPN > 200件数が優先対象となる。

実務での注意点

  1. 検知性の評価はAIAG基準に準拠(D=10は検知不可、D=1は確実に検知)し、設計レビュー・プロセス能力データで根拠づける
  2. 同じRPN値でも、S=10×O=2×D=5とS=5×O=4×D=10では対策優先度が異なる(深刻度優先原則)
  3. RPN > 200の項目は即座に対策、100~200は中期改善計画に組み込む。閾値rpnThresholdは業界・製品リスク許容度に応じて調整
  4. 対策効果はパイロット生産で検証し、実測データで検知性・発生頻度を更新してからRPN再評価