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熱設計ツール

ヒートパイプ性能計算ツール

作動流体・ウィック種類・動作温度・パイプ寸法を指定し、毛細管限界熱輸送量・有効熱伝導率・最大熱流束をリアルタイム計算。4流体の温度特性を比較します。

設計パラメータ
作動流体
ウィック種類
動作温度 T
°C
管径 D
mm
管長 L
m
計算結果
計算結果
毛細管限界 W
有効熱伝導率 kW/(m·K)
最大熱流束 W/cm²
潜熱 kJ/kg
毛細管限界 vs 温度(選択流体)
温度
4流体の毛細管限界比較
流体
理論・主要公式
$$Q_{\max}= \frac{2\sigma h_{fg}}{\mu_l r_{\rm eff}}\cdot \frac{\rho_l K A_w}{L}$$

σ:表面張力、h_fg:潜熱
μ_l:液体粘度、K:浸透率
A_w:ウィック断面積、r_eff:毛細管半径

ヒートパイプ性能計算ツールとは

🙋
ヒートパイプって、銅パイプよりすごく熱を運べるって聞いたけど、どうやって性能を計算するんですか?このツールでわかるんですか?
🎓
その通り!大まかに言うと、ヒートパイプは中にある液体が蒸発・凝縮を繰り返して熱を運ぶ「超伝導」みたいなものなんだ。このツールでは、その性能の限界、つまり「毛細管限界」を計算できるよ。例えば、上の「作動流体」を「水」から「アンモニア」に変えるだけで、運べる熱の最大値が大きく変わるのがすぐに確認できる。
🙋
え、液体を変えるだけでそんなに変わるんですか?「毛細管限界」って何が限界なんですか?
🎓
ヒートパイプの中にはスポンジみたいな「ウィック」があって、毛細管現象で液体を熱いところに戻してるんだ。でも、熱が大きすぎるとこの毛細管力が液体を押し戻す圧力損失に負けてしまう。これが限界で、ウィックが乾いて熱が運べなくなる「ドライアウト」が起きる。ツールの「管長L」のスライダーを長くして確認してみて。熱を運べる最大量がガクンと減るのがわかるよ。長いほど液体が戻るのが大変だからね。
🙋
なるほど!実務では、どうやってこの計算を使うんですか?例えばCPUクーラーを設計する時?
🎓
いいところに気づいたね!実務ではまさに、CPUやGPUのクーラーを設計する時に必須だ。CPUの発熱量が、今動かしている条件で計算した「毛細管限界」を超えないかチェックする。例えば、動作温度を80℃に設定して、水とアセトンで比べてみて。水の方がはるかに多くの熱を運べるから、高性能クーラーには水が選ばれるんだ。このツールでパラメータをいじる感覚が、そのまま熱設計の第一歩になるよ。

よくある質問

動作温度が作動流体の沸点や凝固点に近すぎる、またはウィックの有効毛細管半径が大きすぎる可能性があります。温度範囲を確認し、ウィック種類を変更して再計算してください。
各流体を選択後、動作温度をスライダーで変化させると、グラフ上に表面張力や潜熱などの温度依存性がリアルタイムでプロットされます。異なる流体の曲線を重ねて比較できます。
有効熱伝導率は、ヒートパイプ全体の熱抵抗を見積もる指標です。この値が高いほど均熱性に優れます。放熱設計では、この値をもとに必要な本数や配置を検討してください。
パイプ長さが長くなると圧力損失が増え、毛細管限界熱輸送量は低下します。一方、断面積を大きくすると熱流束は減少します。設計目標に応じて寸法を調整してください。

実世界での応用

電子機器冷却(CPU/GPUクーラー):ノートPCやゲーミングPCの冷却モジュールの中核として広く採用されています。限られた空間でCPUの発熱(100W以上)を効率的に放熱板まで輸送するため、高熱輸送量が求められ、作動流体には水が使われることがほとんどです。

宇宙機・人工衛星の熱制御:宇宙空間では放熱手段が放射のみであり、かつ日陰と日光で極端な温度差が生じます。ヒートパイプはパネル全体の温度を均一化し、機器を適温に保ちます。低温域でも性能が落ちないアンモニアがよく用いられます。

産業機械・廃熱回収装置:高温の排ガスから熱を回収する熱交換器や、工作機械の発熱部から熱を逃がす用途で使われます。使用温度域が広く、化学的に安定した作動流体(高温域ではナトリウムなど)が選定されます。

電気自動車のパワーエレクトロニクス冷却:インバーターやDC-DCコンバーターなど、高密度で発熱する部品の冷却に適用が進んでいます。振動や姿勢変化に強く、能動的なポンプが不要なヒートパイプの利点が活かされています。

よくある誤解と注意点

このツールを使い始めるとき、いくつかつまずきやすいポイントがあるから気をつけてね。まず「計算結果は理想値」だということ。ツールが出す毛細管限界は、理論上の最大値。実物はウィックの均一性や不純物、傾き(重力の影響)で10〜30%も性能が落ちることもあるんだ。例えば、計算で100Wと出ても、安全を見て設計熱量は70Wに設定するのが現場の知恵だよ。

次にパラメータの「温度」設定。これは「ヒートパイプが設計通りに動き始めた『後の』平均動作温度」を想定して入力するんだ。発熱源の温度そのものじゃないから注意。例えば、80℃で動作させるCPUクーラーを設計するなら、作動流体の物性値は80℃付近の値で評価する。0℃の物性値で計算しても意味がないよ。

最後に「有効熱伝導率」の解釈。ツールが示す数値は、ヒートパイプ全体を「均質な固体」と仮定した時の見かけの値だ。だから「銅の1000倍!」と喜んで、その値で通常の熱伝導計算をしてもダメ。あくまでヒートパイプを「熱抵抗が極小の要素」としてシステムに組み込む時の目安として使おう。