光線追跡シミュレーター 戻る
光学シミュレーター

凸レンズ・凹レンズ 光線追跡シミュレーター

焦点距離・物体距離・物体高さをスライダーで操作。3本の標準光線がリアルタイムで動き、実像・虚像の形成を直感的に理解できます。

パラメータ設定
レンズ種別
焦点距離 |f|
mm
物体距離 |u|
mm
物体高さ h
mm
計算結果
計算結果
実像・倒立
像距離 v (mm)
倍率 m
像の高さ (mm)
像の種類
可視化
光軸平行 → 焦点へ
中心通過 → 直進
前焦点通過 → 平行
虚像(破線)
理論・主要公式

$$\frac{1}{f} = \frac{1}{d_o} + \frac{1}{d_i}$$

薄レンズの公式:\(f\) 焦点距離、\(d_o\) 物体距離、\(d_i\) 像距離(すべて m)

$$m = -\frac{d_i}{d_o}, \quad \frac{1}{f} = (n-1)\left(\frac{1}{R_1} - \frac{1}{R_2}\right)$$

倍率 \(m\) と lensmaker方程式:\(n\) 屈折率、\(R_1, R_2\) 曲率半径

凸レンズ・凹レンズ 光線追跡シミュレーターとは

🙋
このシミュレーターで「薄肉レンズ方程式」って何がわかるんですか?
🎓
大まかに言うと、レンズの「焦点距離」と「物体の位置」から「像がどこにできるか」を計算する式だよ。このシミュレーターでは、上の「焦点距離」スライダーと「物体距離」スライダーを動かすと、リアルタイムで像の位置や大きさが変わるのが見える。例えば、物体をレンズに近づけると像は遠くに大きくできるんだ。
🙋
え、画面に描かれてる3本の光線って何ですか?全部描かないとダメなんですか?
🎓
あれは「標準光線」って呼ばれる、像の位置を決めるのに十分な3本の代表的な光線だ。①光軸に平行に入った光は焦点を通る、②レンズの中心を通る光は直進する、③前側焦点を通る光は光軸に平行に出る、の組み合わせだ。シミュレーターで「物体高さ」を変えると、この3本の光線がどう集まるか(凸レンズ)または広がるか(凹レンズ)が一目瞭然になるよ。
🙋
「実像」と「虚像」の違いがイマイチ…。シミュレーターでどう見分ければいいですか?
🎓
一番の見分け方は、光線が「実際に集まっているか」だ。実像は3本の光線が実際に一点で交わるから、そこにスクリーンを置けば像が映る。虚像は光線が広がっていて、その「延長線」が後ろで交わる。シミュレーターで「凸/凹レンズ」を切り替えたり、「物体距離」を極端に小さくしてみると、光線の集まり方が大きく変わって、実像から虚像に変わる瞬間が見えるはずだ。

よくある質問

物体距離が焦点距離より小さい場合、凹レンズでは常に虚像が、凸レンズでは物体が焦点内にあると虚像ができます。画面外に像が表示されている可能性もあるので、スライダーをゆっくり動かして像の位置や符号の変化を確認してください。
実像は光線が実際に集まる点にでき、スクリーンに映せます。シミュレーター上ではレンズの右側に倒立像として表示されます。虚像は光線の延長線上にでき、正立像としてレンズの左側に表示されます。
凹レンズ単体では実像はできません。凹レンズは光を発散させるため、常に虚像(正立・縮小)がレンズの物体側に形成されます。実像を作るには凸レンズと組み合わせる必要があります。
ガウスのレンズ公式では、レンズの左側にある実物体の距離を負の値と定義します。このシミュレーターではスライダーで直感的に操作できるよう、物体距離は絶対値で表示しています。内部計算では自動的に負の値として扱われます。

実世界での応用

産業用カメラ・マシンビジョン:製品の外観検査や寸法測定では、ワーク(物体)からレンズまでの距離(作業距離 $u$ )と、センサー(像面)の位置 $v$ を正確に設計する必要があります。このシミュレーターで焦点距離 $f$ を変えながら最適な配置を探るプロセスに近いです。

レーザー加工・計測機器:レーザービームを拡大・縮小する「ビームエキスパンダー」は凸レンズと凹レンズの組み合わせで構成されます。ビーム径(物体高さ)と発散角を制御するために、まさにここで学ぶ光線追跡の考え方が使われています。

光学式変位センサー:物体の微小な変位を、レンズを通して結像するスポットの位置変化として検出します。物体距離 $u$ の微小変化が像距離 $v$ にどう影響するか(感度)は、薄肉レンズ公式を微分することで求められます。

眼鏡・コンタクトレンズの設計:近視用の凹レンズ、遠視用の凸レンズは、網膜(像面)にピントが合うように、眼球の焦点距離のずれを補正します。処方度数(焦点距離 $f$ の逆数)と、像をどこに結ばせるかの関係を理解する基礎となります。

よくある誤解と注意点

まず、「焦点距離が変わると、像の位置と大きさが『比例』して変わる」と思いがちですが、それは間違いです。薄肉レンズの公式を見ると、$u$, $v$, $f$ の関係は逆数の引き算です。例えば、焦点距離 $f=10$ cm で物体距離 $u=-20$ cm のとき、像距離 $v$ は 20 cm です。ここで $f$ を2倍の 20 cm にすると、$v$ は無限遠(平行光)になります。単純な比例関係ではないことがわかりますね。シミュレーターでスライダーを大きく動かして、この非線形な変化を体感してみてください。

次に、「凹レンズはいつも虚像しか作らない」は正しいですが、その虚像の見え方に注意が必要です。凹レンズの虚像は、物体と同じ側にでき、常に正立で縮小されます。ここで「物体を遠ざければ大きく見えるのでは?」と考えがちですが、物体をどれだけ遠ざけても、虚像の大きさは物体の高さを超えることはありません。常に $|m| < 1$ です。これは、凹レンズが拡大レンズとして使えない理由の一つです。

最後に、シミュレーターは「理想的な薄肉レンズ」を扱っていることを忘れないでください。実務では、レンズには厚みがあり、収差(色収差、球面収差など)が発生します。このツールで完璧な結像が見えても、実際の単レンズでは光線が一点に集まらないことがほとんどです。例えば、スマホのカメラレンズが何枚も貼り合わされているのは、この収差を打ち消すためです。シミュレーターは「理想系」の理解のための第一歩と心得ましょう。