プロジェクト設定
前置タスク入力例: 先行アクティビティ番号をカンマ区切り(例: 1,2)。なし=空欄
理論・主要公式
PERT期待工期・分散:
$$t_e = \frac{a + 4m + b}{6},\quad \sigma^2 = \left(\frac{b-a}{6}\right)^2$$
前向きパス: $ES_j = \max_i(EF_i)$,$EF = ES + t_e$
後ろ向きパス: $LF_i = \min_j(LS_j)$,$LS = LF - t_e$
余裕時間: $TF = LS - ES = LF - EF$
納期達成確率:
$$Z = \frac{T - \sum_{CP} t_e}{\sqrt{\sum_{CP} \sigma^2}},\quad P = \Phi(Z)$$
PERT/CPMネットワーク工程管理とは
🙋
PERTとCPMって、結局何が違うんですか?どっちも工程管理の方法ですよね?
🎓
大まかに言うと、CPMは「確定的」、PERTは「確率的」な見積もりをするんだ。CPMは「この作業は5日で終わる」と決め打ちする。一方、PERTは「早くて3日、普通は5日、遅くても9日かかるかも」という3つの値から、期待工期とバラつき(分散)を計算する。このシミュレーターの「楽観値a」「最頻値m」「悲観値b」の欄に数字を入れてみると、自動で期待工期$t_e$が計算されるよ。
🙋
え、じゃあPERTの方が現実的なんですか?で、クリティカルパスって何ですか?「クリティカル」って聞くと非常に重要そう…。
🎓
その通り、不確実性を考慮できるPERTは実務でよく使われるね。クリティカルパスは、プロジェクト全体の工期を決める「一番長い道のり」のことだ。このパス上の作業が1日遅れると、プロジェクト全体が1日遅れる。逆に、このパス以外の作業には「余裕時間」がある。ツールでアクティビティを繋いで「計算実行」を押すと、赤い線でクリティカルパスが表示され、各作業の余裕時間(TF)も出る。TFが0の作業がクリティカルパスだ。
🙋
なるほど!で、画面右下の「納期達成確率」って、どうやって出してるんですか?目標納期を変えると確率が大きく変わりますね。
🎓
いいところに気づいたね。これはPERTの真骨頂だ。クリティカルパス上の各作業の「バラつき」(分散)を全部足し合わせて、プロジェクト全体の不確実性を求める。そして、目標納期$T$と期待工期の差を、その不確実性(標準偏差)で割ってZ値を計算し、正規分布表から確率を求めてる。上の「目標納期T」のスライダーを動かしてみて。Z値と確率がリアルタイムで変わるだろう?これで「あと5日早めて!」と言われた時に、「はい、でも確率は30%に下がりますよ」と数字で返せるんだ。
よくある質問
本ツールは最大12アクティビティまで対応しています。13以上必要な場合は、プロジェクトを複数のサブネットワークに分割し、マイルストーンで結合するか、より大規模なプロジェクト管理ソフトウェアをご利用ください。
楽観値は全てが順調な最短日数、最頻値は通常の条件下で最もあり得る日数、悲観値は大きな問題が発生した場合の最長日数を設定します。過去の類似タスクの実績データがあればそれを参考に、なければ担当者の経験に基づいて現実的に決めてください。
本ツールでは、複数のクリティカルパスが存在する場合、それぞれのパスの分散を合計し、最も分散の大きいパス(工期変動が最も大きいパス)を基準に納期達成確率を計算します。実際のプロジェクトでは複数パスを監視することを推奨します。
アクティビティの入力後、必ず「計算実行」ボタンをクリックしてください。また、先行関係(依存関係)が正しく設定されていない場合、ガントチャートが正しく描画されません。全てのアクティビティに開始ノードと終了ノードが接続されているか確認してください。
実世界での応用
CAE解析プロジェクトの管理:自動車の衝突安全性解析など、大規模なシミュレーションでは、メッシュ生成、ソルバー実行、後処理といった各工程に時間的ばらつきがあります。PERT/CPMを用いてクリティカルパス(例えば、ソルバー実行)を特定し、計算リソースを集中投入することで、解析全体の納期を確率的に管理できます。
新製品開発の量産準備:設計、試作、評価、治具製作、生産ライン設定など、数多くの並行・直列工程が複雑に絡み合います。クリティカルパス上の活動(例えば、治具のリードタイム)を明確にし、余裕時間のある工程から人員を融通するなど、リソース最適化に活用されます。
航空宇宙・自動車の設計審査(DR)スケジュール:厳格な設計審査会(Design Review)の日程は絶対的なデッドラインです。各設計タスクをPERTで見積もり、審査日までの達成確率を常にモニタリングします。確率が低下した場合は、早期にマネジメントの判断を仰ぎ、対策を講じることが可能です。
建設・プラント工事の工程管理:天候や資材調達の不確実性が大きい現場作業において、PERTの三点見積もりは有効です。クリティカルパスが通過する基礎工事などの工程の遅延リスクを分散から評価し、予備日をどの工程にどれだけ割り当てるかの判断材料とします。
よくある誤解と注意点
このツールを使い始めるとき、特にPERTの三点見積もりで間違いやすいポイントがいくつかあるよ。まず、「楽観値a」と「悲観値b」は、単なるベストケース・ワーストケースじゃないということ。これは「99%の確率でこの期間内に収まる」という、統計的に意味のある範囲を想定した値だ。例えば、メッシュ生成が「絶対に3日」と思っても、過去のデータから稀に5日かかったことがあれば、b=5とするのが正しい。感覚で決めると分散が小さくなりすぎて、後で痛い目を見る。
次に、クリティカルパスは固定じゃない。ある作業の見積もりを変えたり、依存関係を変えたりすると、クリティカルパスが別のルートに移ることがある。例えば、非クリティカルな作業A(te=5日)の悲観値bを大きくしすぎると、その作業の分散と期待工期が増え、結果として余裕時間がゼロになり、新たなクリティカルパスになる可能性がある。一度計算したら終わりではなく、状況が変わるたびに再計算する習慣をつけよう。
最後に、納期達成確率の計算は「近似」であることを忘れないで。これは中心極限定理に基づいて、クリティカルパスの工期が正規分布に従うと仮定している。でも、アクティビティ数が少なかったり(このツールでは最大12)、個々の作業の分布がベータ分布から大きく外れていたりすると、確率の数字はあくまで目安になる。確率が90%だからと油断したり、30%だからと絶望したりせず、「リスクの度合いを示す指標」として使うのが実務のコツだ。