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電磁気・光学

偏光・ジョーンズベクトル・複屈折計算

ジョーンズ計算法で偏光状態と光学素子カスケードをリアルタイム計算。ストークスパラメータ・ポアンカレ球・複屈折シミュレーション対応。

入力偏光状態
偏光角 θ [°]
°
楕円率 χ [°]
°
-45°=左円 / 0°=線 / +45°=右円
位相差 δ [°]
°
光学素子 (最大4段)
ストークスパラメータ
計算結果
|Ex| 出力振幅
|Ey| 出力振幅
偏光度 DOP
楕円率角 χ [°]
方位角 ψ [°]
ポアンカレ断面
透過
理論・主要公式

ジョーンズベクトル:

$$\mathbf{J}= \begin{pmatrix}E_x \\ E_y \end{pmatrix}= \begin{pmatrix}\cos\chi\cos\theta - i\sin\chi\sin\theta \\ \cos\chi\sin\theta + i\sin\chi\cos\theta \end{pmatrix}$$

ジョーンズ行列(λ/4板、速軸 at 角度α):

$$M_{QWP}(\alpha) = R(-\alpha)\begin{pmatrix}1 & 0 \\ 0 & e^{i\pi/2}\end{pmatrix}R(\alpha)$$

ストークスパラメータ:

$$S_0 = |E_x|^2+|E_y|^2,\quad S_1 = |E_x|^2-|E_y|^2$$ $$S_2 = 2\operatorname{Re}(E_xE_y^*),\quad S_3 = -2\operatorname{Im}(E_xE_y^*)$$

偏光度: $\mathrm{DOP}= \sqrt{S_1^2+S_2^2+S_3^2}/S_0$

偏光・ジョーンズベクトル・複屈折計算とは

🙋
ジョーンズベクトルって何ですか? 光の「偏光」を数字で表す方法ということですか?
🎓
その通り!大まかに言うと、光の電場の$x$成分と$y$成分の複素数を並べたベクトル$\begin{pmatrix}E_x \\ E_y \end{pmatrix}$がジョーンズベクトルだ。これ一つで、線偏光、円偏光、楕円偏光など、あらゆる偏光状態を表現できるんだ。シミュレーターの「偏光角θ」と「楕円率χ」のスライダーを動かしてみて。数字が変わるだけで、ポアンカレ球上の点が動き、偏光状態が直感的にわかるよ。
🙋
え、そうなんですか!λ/4板とかλ/2板って、このベクトルにどう作用するんですか?
🎓
光学素子は「ジョーンズ行列」という2×2の行列で表されるんだ。例えばλ/4板は、光に位相差$\pi/2$(90度)を与える行列だ。シミュレーターで「位相差δ」を90度に設定し、素子をカスケード接続してみよう。45度の線偏光が右円偏光に変わるのが確認できる。実務では、光通信で雑光を除去する「光アイソレータ」の心臓部で使われる重要な素子だ。
🙋
複屈折って、この計算とどう関係があるんですか?
🎓
良い質問だ!複屈折性を持つ物質(方解石や液晶など)の中では、光の進む速さが偏光方向によって異なる。これがまさに位相差$\delta$を生む原因なんだ。シミュレーターで「位相差δ」を0から180度までゆっくり変えてみて。出てくる光の偏光状態が線偏光→楕円偏光→円偏光→…と連続的に変化するだろう?これが複屈折による偏光変化の本質で、LCDディスプレイの各画素はこの原理で光の透過・遮断を制御しているんだよ。

よくある質問

θは-90°~90°で楕円長軸の方位角、χは-45°~45°で楕円率(±45°で円偏光)を表します。入力値をこの範囲外にすると自動的に正規化されます。
光が通過する順に左から右へ配置してください。ツールはジョーンズ行列の積(右側の素子から順に乗算)で計算し、最終的な偏光状態をリアルタイムに更新します。
S1,S2,S3を3軸とする球面上の各点が偏光状態に対応します。S1は水平/垂直、S2は45°/135°、S3は右回り/左回り円偏光の強度差を示し、球面上の位置から偏光角と楕円率が直読できます。
偏光角θと楕円率角χの単位が度(°)かラジアンかを確認してください。また、複屈折素子の位相差は波長依存性があるため、使用波長が合っているかもご確認ください。

実世界での応用

LCD液晶セル設計:液晶分子の配向制御により複屈折(位相差)を生み出し、各画素ごとに光の透過/遮断を切り替えます。ジョーンズ計算はセル構造の最適化や視野角特性のシミュレーションに不可欠です。

光ファイバー偏光モード分散:光ファイバーの微小な歪みは偏光状態をランダムに変化させ(偏光モード分散)、高速通信のエラー要因となります。その影響をジョーンズ行列の積でモデル化して評価します。

LiDAR偏光散乱計測:物体に当てたレーザーの散乱光の偏光状態の変化を計測し、材質や表面性状を識別します。散乱過程をジョーンズ行列で表現し、逆問題を解くことで情報を抽出します。

光弾性応力測定:透明な材料に力を加えると複屈折が生じます。この位相差を偏光子と検光子ではさみ、干渉縞(アイソクロマティック線)として可視化し、内部応力分布を非破壊で計測します。

よくある誤解と注意点

このツールを使い始めるとき、特に実務で応用する際には、いくつかの落とし穴があります。まず、「位相差δ」の符号と回転方向の関係。位相差δを+90度(π/2)に設定すると、45度線偏光は「右円偏光」になりますが、これは「速軸」方向の位相が遅れるという定義に依存します。シミュレータと実物の波長板で結果が逆になったら、まずこの定義を確認しましょう。次に、強度の計算を見落とすこと。ジョーンズベクトルは電場の振幅を表しますが、実際に検出器で測るのは光強度(電場の絶対値の2乗)です。例えば、偏光子を通した後の強度は、計算された出力ベクトルのノルムを求める必要があります。最後に、完全な偏光という理想化。この計算は完全にコヒーレントで単色な光が前提です。実際の光源、特にLEDや太陽光は部分偏光や非干渉性を含みます。そのような光の状態を記述するには、ジョーンズ計算ではなく、コヒーレンス行列やミューラー行列が必要になる点に注意です。