変わる。K は結晶子の形状と「幅」の定義に依存する係数で、球形粒子で半値全幅(FWHM)と体積平均径を使う場合に K ≈ 0.94 が標準だ。立方体形状なら K ≈ 0.89、八面体や柱状粒子では 0.8〜1.1 で変動する。実務では多くの論文で K=0.9 か K=0.94 が無断で使われるため、Scherrer 式の D には ±10% 程度の系統誤差があると考えるべきだ。最終的な検証は TEM(透過電子顕微鏡)観察と組み合わせるのが理想だ。本ツールは K=0.94 固定だが、形状補正が必要なら結果を別途乗除してくれ。
よくある質問
シェラーの式 D = Kλ/(β cosθ) は、X 線回折ピークの広がりから結晶子(コヒーレント散乱領域)のサイズ D を推定する式です。1918 年に Paul Scherrer が導出しました。K はシェラー定数(球形粒子で約 0.94)、λ は X 線波長、β は補正後のピーク半値全幅(FWHM、ラジアン)、θ はブラッグ角です。本ツールでは既定値(λ=1.54 Å の Cu Kα、θ=30°、β_total=0.50°、β_inst=0.10°)で補正後 FWHM β_corr ≈ 0.490°、結晶子サイズ D ≈ 19.5 nm、補正なし D ≈ 19.2 nm、適用範囲(D < 100 nm)と表示されます。
シェラーの式は結晶子サイズ D が概ね 100 nm 以下(ナノ結晶〜微結晶領域)で有効です。これより大きい結晶子では、ピーク幅への結晶子サイズ寄与が装置幅以下になり、シェラー式から得られる「サイズ」は信頼できなくなります。また結晶子サイズ以外にも、微小ひずみ(不均一ひずみ)がピーク幅を広げるため、両者を分離するには Williamson-Hall 法(cosθ vs sinθ プロット)が必要です。本ツールで β_total を小さくして D が 100 nm を超えると、適用範囲の判定が「範囲外」に切り替わり警告が出ます。実用上は触媒粒子(5〜50 nm)、リチウムイオン電池正極材料、磁性ナノ粒子の評価に最も多く使われます。
シェラー定数 K(無次元)は結晶子の形状とサイズ・幅の定義の取り方に依存する係数です。球形粒子で半値全幅(FWHM)と体積平均径を使う場合は K ≈ 0.94 が標準的に用いられます。立方体形状なら K ≈ 0.89、八面体や柱状粒子では 0.8〜1.1 の範囲で変動します。実務では多くの教科書・論文で K = 0.9 か K = 0.94 が無断で用いられるため、Scherrer 式で得られる D には ±10% 程度の系統誤差があると考えるべきです。本ツールでは K = 0.94 を固定とし、形状補正を必要とする場合は文献値を別途乗除してください。電子顕微鏡(TEM)観察と組み合わせて校正するのが理想的です。
最も多い誤解が、「Scherrer 式の D は粒子径そのものを表す」というものです。実際には D は「コヒーレント散乱領域(結晶子)の体積平均サイズ」を表し、1 個の粒子が複数の結晶子(双晶・多結晶ドメイン)からなる場合、D は粒子径より小さくなります。逆に粒子間がエピタキシャルに連続している場合、D は粒子径より大きく出ることもあります。本ツールで得られる D は XRD 単独の値であり、TEM・SEM 観察と組み合わせて初めて「真の粒子径」が決まる、という認識が重要です。