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構造解析

構造物の動的応答シミュレーター

1 自由度系(SDOF)に各種加振を与え、RK4 数値積分で応答をリアルタイム計算。変位・速度・加速度の時刻歴と周波数応答関数(FRF)をリアルタイム可視化します。

パラメータ設定
加振タイプ
質量 m
kg
剛性 k
減衰比 ζ
加振周波数 f_ex
Hz
振幅 F₀
N
計算結果
ωₙ [rad/s]
固有振動数 fₙ [Hz]
最大変位 [mm]
動的増幅係数 β
ωd [rad/s]
減衰固有周期 Td [s]
最大加速度 [m/s²]
臨界減衰係数比 ζ
時刻歴応答
周波数応答関数 |H(ω)| vs ω/ωₙ
理論・主要公式

$$m\ddot{u} + c\dot{u} + ku = F(t)$$

1自由度系運動方程式:$m$ 質量、$c$ 減衰係数、$k$ 剛性

$$\omega_n = \sqrt{k/m}, \quad \zeta = \frac{c}{2\sqrt{km}}$$

固有角振動数と減衰比。$c_{cr}=2\sqrt{km}$ が臨界減衰係数

$$|H(\omega)| = \frac{1}{\sqrt{(1-r^2)^2+(2\zeta r)^2}}, \quad r = \omega/\omega_n$$

周波数応答関数。$r=1$ で共振、$|H| \approx 1/(2\zeta)$

構造物の動的応答シミュレーターとは

🙋
「1自由度系の動的応答」って、具体的に何をシミュレーションするんですか?
🎓
大まかに言うと、バネとダンパーで支えられた質量ブロックが、地震や振動でどう揺れるかを計算するんだ。例えば、高層ビルの1階部分だけの揺れを単純化して考えたり、機械のモーター台の振動を予測する基礎になるよ。このシミュレーターでは、上のスライダーで質量(m)や剛性(k)を変えて、リアルタイムで揺れ方がどう変わるか試せる。
🙋
「減衰比ζ」って何ですか?値を変えると、グラフはどう変わりますか?
🎓
振動をどれだけ早く鎮めるかのパラメータだね。ζ=0なら振動がずっと続き、ζ=1(臨界減衰)なら振動せずに素早く元の位置に戻る。実務では、コンクリート構造物でζ=0.05、鋼構造でζ=0.02くらいが多いよ。シミュレーターでζを0.01から0.2に変えて「El Centro地震波」を選ぶと、揺れの収まり方が大きく異なるのがわかる。確認してみて!
🙋
周波数応答関数(FRF)のグラフのピークは何を意味してるんですか?
🎓
その構造物が「一番大きく揺れる危険な振動数」だよ。ピークの位置が固有振動数で、ピークの高さが動的増幅率を表す。例えば、加振周波数(f_ex)をこのピークに合わせると、小さな力でも大きく揺れる「共振」が起きる。パラメータで剛性(k)を小さく(バネを柔らかく)すると、ピークが左(低周波側)に動くのが確認できるはず。これが建物の耐震設計で絶対に避けたい状態なんだ。

よくある質問

時間刻みΔtが大きすぎる可能性があります。RK4法では安定性のため、Δtを固有周期の1/10以下に設定してください。また、減衰比ζが極端に小さい(例:0.01未満)場合も発散しやすくなります。
外力加振は質量ブロックに直接力を加える方式です。基盤加振は地面(支持部)を動かす地震入力に相当し、運動方程式の右辺が「-m×基盤加速度」となります。両者で応答波形が異なるため、用途に応じて切り替えてください。
減衰比ζが大きいと共振周波数が固有振動数ωnより低くなります。理論上の無減衰固有振動数は√(k/m)ですが、減衰がある場合の共振周波数はωn√(1-2ζ²)です。ζが0.2を超えるとずれが顕著になります。
質量m[kg]、剛性k[N/m]、時間t[s]で入力した場合、変位は[m]、速度は[m/s]、加速度は[m/s²]です。ただし、外力F(t)を[N]で与えた場合に限ります。基盤加振では入力加速度の単位に依存しますのでご注意ください。

実世界での応用

建築・土木の耐震設計:建物や橋梁を単純な1自由度系にモデル化し、地震波(ツール内のEl Centro波など)に対する最大応答変位や加速度を評価します。応答スペクトル法の基礎となる概念です。

機械の振動対策:回転機械(モーター、ポンプ)が設置された架台の振動解析に利用されます。加振周波数がシステムの固有振動数に近づかないように設計パラメータを決定します。

CAE結果の検証:AnsysやAbaqusなどで行った大規模な有限要素法による振動解析結果を、重要なモードについて等価な1自由度系に置き換えて手計算で検証する際に使われます。

自動車の乗り心地評価:サスペンションと車体を1自由度系でモデル化し、路面からのランダム加振(ツール内のランダム加振モード)に対する伝達率を評価する基礎解析として応用されます。

よくある誤解と注意点

このシミュレーターを使い始めるとき、いくつか勘違いしやすいポイントがあるよ。まず、「質量(m)を大きくすると揺れにくくなるから安全」と思いがちだけど、それは半分正解で半分間違い。確かに固有振動数 $f_n = \frac{1}{2\pi}\sqrt{k/m}$ は質量を大きくすると下がるけど、地震のような「加速度入力」が加わると話は別。運動方程式 $m\ddot{x}+ c\dot{x}+ kx = -m\ddot{x}_g$ の右辺を見ると、外力が質量に比例して大きくなるんだ。つまり、重すぎる質量ブロックは、かえって大きな慣性力を受けてしまう可能性がある。バランスが大事だね。

次に、減衰比ζを「大きければ大きいほど良い」と考えるのも落とし穴。確かに振動は早く収まるけど、減衰力は速度に比例するから、減衰係数 $c$ を必要以上に大きくすると、今度は変位応答のピークは抑えられても、部材に加わるダンパー自体の力($c\dot{x}$)が非常に大きくなることがある。例えばζを0.3にすると、El Centro波での最大変位は小さくなるけど、その瞬間のダンパー力は計算しておかないと、支持部が持たないかもしれない。設計はトレードオフなんだ。

最後に、「1自由度で計算したから、この通りに動く」と過信しないこと。実物は複数のモード(揺れ方)を持つから、1次モードだけを見ているに過ぎない。例えば、背の高いタンクを1自由度でモデル化するとき、質量(m)を全重量、剛性(k)を基礎バネで代表させても、上部のスロッシング(液体の揺動)は全く別の現象だから捉えられない。このツールは「現象の本質を理解し、パラメータ感度を体感する」ためのものであって、そのまま実設計に使うものじゃないということを頭に入れておこう。