引張試験・応力ひずみ曲線 戻る
材料・破壊

引張試験・応力ひずみ曲線シミュレーター

工学応力と真応力を同時表示。材料プリセットを切り替えながら降伏・ネッキング・破断のプロセスと E・σ_y・UTS・靭性を確認しよう。

材料プリセット
材料パラメータ(カスタム)
表示切替
解析結果
計算結果
E (GPa)
σ_y 0.2% (MPa)
UTS (MPa)
破断ひずみ (%)
靭性 (MJ/m³)
レジリエンス (kJ/m³)
Ss
理論・主要公式
工学応力:$\sigma = F/A_0$
真応力:$\sigma_{true}= \sigma(1+\varepsilon)$
真ひずみ:$\varepsilon_{true}= \ln(1+\varepsilon)$
Ramberg-Osgood:
$\varepsilon = \dfrac{\sigma}{E}+ \left(\dfrac{\sigma}{K}\right)^{1/n}$

引張試験・応力ひずみ曲線とは

🙋
「工学応力」と「真応力」って何が違うんですか?シミュレーターでグラフが2本出てきますよね。
🎓
大まかに言うと、材料が伸びた後の「今の太さ」で考えるか、「最初の太さ」で考えるかの違いだね。工学応力は最初の断面積$A_0$で割った$F/A_0$。真応力は伸びて細くなった今の断面積で割るんだ。シミュレーターで「AISI1020鋼」を選んで、ひずみを大きくしてみて。ネッキング(くびれ)が始まるあたりから、2本の線が大きく離れるのがわかるよ。
🙋
え、そうなんですか!確かに離れてます。で、画面に出てくる「降伏応力」って、あのグラフが曲がり始めるところですよね?アルミとかは曲がり始めがはっきりしないみたいですが…。
🎓
鋭いね!鋼材は明確に降伏点があるけど、アルミやステンレスはなだらかに曲がる。そこで実務でよく使うのが「0.2%耐力(オフセット降伏強さ)」だ。シミュレーターの「6061アルミ」を選ぶと、初期の直線部分(ヤング率$E$の傾き)を0.002のひずみの位置から平行に移動させて、曲線と交わった点を降伏応力とみなすんだ。ツールが自動で計算してくれる値を確認してみて。
🙋
なるほど!パラメータの「n(硬化指数)」を変えるとグラフの形がすごく変わりますね。これって何を表しているんですか?
🎓
それは材料の「加工硬化のしやすさ」を表す重要なパラメータだよ。$n$が大きいほど、降伏後に応力が大きく上がりやすく、均一に変形する能力が高いんだ。例えば、自動車のボディパネルを深絞り加工する時、$n$が大きい材料はくびれずに均一に伸びてくれる。逆に$n$が小さいとすぐに局所的に細くなって破断してしまう。スライダーで$n$を動かして、曲線の「肩」の部分の盛り上がり方がどう変わるか確かめてみよう。

よくある質問

変形が進むと断面積が減少するためです。工学応力は初期断面積で割り続けるのに対し、真応力はその時点の断面積で計算するため、特にネッキング以降で差が顕著になります。大変形を扱うCAEでは真応力・真ひずみの使用が必須です。
ヤング率E、降伏応力σ_y、引張強さUTS、加工硬化指数n、強度係数Kなどが変化します。これにより、軟鋼やアルミニウムなど異なる材料の応力-ひずみ曲線の形状や、降伏・ネッキング・破断の挙動の違いを比較できます。
応力-ひずみ曲線の下面積が靭性(単位体積あたりの破断までの吸収エネルギー)に相当します。グラフ上で工学応力曲線とひずみ軸で囲まれた領域を視覚的に評価するか、数値として表示される靭性値を参照してください。
工学応力-ひずみ曲線の最大点(極大値)がネッキング開始点です。この点を超えると局部収縮が始まり、工学応力は低下します。一方、真応力はネッキング後も上昇を続けるため、両曲線の乖離が大きくなる箇所としても確認できます。

実世界での応用

自動車・航空機の軽量化設計:ボディやフレームの材料選定と厚み最適化に不可欠です。高強度で靭性(曲線下面積)の大きい材料を選ぶことで、衝突安全性を確保しつつ軽量化を実現します。シミュレーターの「靭性」計算値が指標になります。

金属板のプレス加工:ドアパネルなどの深絞り加工では、材料が均一に変形する能力が求められます。加工硬化指数$n$が高い材料は、局所的なくびれ(ネッキング)が発生しにくく、良好な成形性を示します。

構造物の耐震設計:地震時のエネルギー吸収を考える際、材料が降伏してから破断するまでにどれだけ変形(塑性ひずみ)できるかが重要です。応力ひずみ曲線の塑性域の長さと形状が、部材の靭性やダクタイル破壊の可否を決定します。

CAE(有限要素法)解析の入力データ:構造解析ソフトウェアでは、材料モデルとして真応力‐真ひずみ曲線のデータ入力が必須です。シミュレーターで得られた曲線やパラメータは、そのまま非線形FEM解析の材料プロパティ設定に活用できます。

よくある誤解と注意点

まず、「降伏応力」は材料の絶対的なスイッチではないという点を押さえよう。シミュレーターで「0.2%耐力」を表示していても、実際の設計では安全率をかけて「許容応力」を設定するよね。例えば、SUS304の降伏応力が約250MPaなら、安全率を3とすれば許容応力は80MPa強。ここを混同して「降伏強さまで使える」と誤解すると、疲労破壊やクリープのリスクが高まるぞ。

次に、シミュレーターの曲線は「理想化された単調引張り」だという認識が大事。実務では、複雑な荷重履歴(繰り返し、圧縮と引張りの交互など)が加わることが多い。例えば、自動車のサスペンション部品は引張りだけじゃなく、曲げやねじりも同時に受ける。このツールで学んだ「加工硬化指数 $n$」の感覚は、その後の弾塑性有限要素法(FEA)で材料モデルを設定する時の基礎知識として役立つんだ。

最後に、「靭性」の計算値は試験片形状に依存することを覚えておこう。このシミュレーターは、曲線下面積(破断までに材料が吸収するエネルギー)を簡易計算している。しかし、実際の部材には切欠き(ノッチ)があることが多く、そこに応力集中が生じると、同じ材料でも脆く破壊される(脆性破壊)。ツールでHDPE(ポリエチレン)を選んでみて。曲線下面積は大きいけど、低温や衝撃荷重下では全く異なる挙動を示すことがある。シミュレーション結果をそのまま信じるのではなく、「この値は理想状態での目安」と考えるクセをつけよう。