渦粘性モデル — CAE用語解説
渦粘性モデル
先生、k-εモデルって「渦粘性モデル」の一種だと聞いたんですが、「渦粘性」って何ですか?
渦粘性(Eddy Viscosity)はBoussinesq仮説に基づく概念で、乱流による運動量輸送を「増大した粘性」として近似するものだ。分子粘性が分子の無秩序運動で運動量を輸送するように、乱流渦が速度の不均一なゾーン間で運動量を混合する——その効果を「等価な粘性」mu_t として定義する。RANSシミュレーション(Reynolds-Averaged N-S方程式)ではこのmu_tが未知量になるから、k-εやk-omega SSTのような乱流モデルで「どこでmu_tが大きくなるか(渦が強い場所)」を決める方程式を解くんだ。
定義
k-εとk-omega SSTって、渦粘性の計算方法が違うんですか?
基本的な考え方は同じだが、使う変数と壁面付近の扱いが異なる。k-εは乱流エネルギーkと散逸率εを輸送して mu_t = C_mu * rho * k^2 / epsilon と計算する。k-omega SSTはkと比散逸率omega(= epsilon/(C_mu*k))を使い、壁面近傍ではk-omegaの精度を生かし、壁から離れた場所ではk-epsilonに切り替えるブレンド戦略を取る。k-omega SSTは逆圧力勾配(はく離傾向の流れ)の予測精度が高く、航空機翼まわりや風力タービン翼のはく離予測で標準的に使われている。
CFD解析での実践的な選択
どんな流れにどのモデルを使えばいいか、判断基準を教えてもらえますか?
実務的な判断基準を3つ挙げると——①内部流れ・機器流れ(パイプ、熱交換器、ターボ機械):k-epsilon RNG またはSSTで十分なことが多い。②壁面近傍のはく離が重要(翼・車体空力):k-omega SSTが最良のバランス。③強い二次流れ・曲率・浮力(スワーラー、炉内対流):代数的レイノルズ応力モデル(RSM)や非線形渦粘性モデルが有効。渦粘性モデル全般の根本的な限界は等方性を仮定している点で、強い曲率や回転の流れでは精度が落ちる。その場合はDES(分離渦シミュレーション)やLESへの切り替えを検討するんだ。
関連用語
RANSの乱流モデルって一種類じゃないんですね。使い分けが重要なんだ!
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