柔軟マルチボディ動力学
柔軟マルチボディ動力学の理論基礎
柔軟MBDとは
先生、柔軟MBDは剛体動力学に何を追加しますか?
剛体+CMS縮約された柔軟体の組み合わせ。大きな剛体運動+微小な弾性変形を同時に扱う。
CMS+MBD
1. FEMモデルをCraig-Bampton法でCMS縮約
2. 縮約された柔軟体をMBDソルバーに組み込み
3. ジョイント接続+動的解析
まとめ
柔軟体MBDの理論はNasaのShabbana論文が礎
柔軟多体系の厳密な定式化はAhmed Shabaana(イリノイ大学)が1982年のPhD論文で確立した「Floating Frame of Reference(FFR)」法が基礎となっている。NASAのゴダード宇宙飛行センターが宇宙構造物の太陽電池パドル展開解析にShabaanaの理論を実装したのが最初期の実用化事例だ。現在のABD(Absolute Nodal Coordinate Formulation)はShabaana自身が1996年に発表した拡張版で、大変形柔軟体の解析精度を大幅に向上させた。
柔軟マルチボディ動力学の数値計算手法
柔軟MBDの実装
まとめ
クレイグ・バンプトン法はモード削減の世界標準
柔軟体MBD(MFBD)では有限要素モデルを少数のモードで縮退する「クレイグ・バンプトン(Craig-Bampton)法」が事実上の標準だ。Roy Craig Jr.とMervyn Bamptonが1968年にAIAA Journalに発表したこの手法は、固定界面モードと拘束モードを組み合わせるため、接続点でのモード精度が高い。自動車のクランクシャフト解析では全体モード数が10万を超えるFEMを、数十〜数百モードへ縮退してMBDに組み込むのにCraig-Bampton縮退が標準的に使われる。
柔軟マルチボディ動力学の実務適用
柔軟MBDの実務
自動車のサスペンション部品の応力評価、クレーンのブームたわみ、ロボットの精度評価。
実務チェックリスト
人工衛星の太陽電池パドル展開にMFBDは不可欠
宇宙機器の展開構造物(太陽電池パドル・アンテナ)はMFBD解析の典型応用だ。2014年に打ち上げられたJAXAのはやぶさ2の太陽電池パドル展開解析はRecurDynとNastranの連成で実施された(JAXAプレスリリース間接情報)。パドル展開時の振動が姿勢制御スラスタと干渉するリスクをMFBD解析で事前評価し、展開シーケンスの最適化に役立てたとされる。地上試験が困難な無重力環境でのMFBD解析の重要性は今後さらに増す。
柔軟マルチボディ動力学のソフトウェア比較
柔軟MBDのツール
MSC Adamsは1977年創業・業界最古のMBDソルバー
MSC Adamsの前身「DADS(Dynamic Analysis and Design System)」はカリフォルニア大学デービス校のOrlandea教授が1977年に開発し、MSCに技術移転された。柔軟体機能(AdamsFlexible)は1990年代後半に追加され、Craig-Bampton縮退をNastranと連携して自動実行するワークフローが業界標準になった。現在はHexagonMSCに属し、Adams 2023ではPythonスクリプトAPIが強化されてML最適化ループへの組み込みが容易になっている。
柔軟マルチボディ動力学の先端研究
柔軟MBDの先端
ANCF法は大変形ケーブル解析の次世代標準
Absolute Nodal Coordinate Formulation(ANCF)はShabaana(1996年)が提案した大変形対応の柔軟体定式化で、ケーブル・ホース・ベルト・タイヤサイドウォールの大変形MBD解析に有効だ。ANCF要素はFEMの梁要素と異なり、節点に回転自由度を持たず位置ベクトルと勾配ベクトルを自由度とするため、大回転でも特異点が発生しない。自動車エンジンルームのワイヤーハーネス取り回し最適化にANFCベースのRecurDyn FFlex解析が採用されている事例がある。
柔軟マルチボディ動力学のトラブル対応
柔軟MBDのトラブル
Craig-Bampton縮退後のモード直交性確認を忘れずに
柔軟体MBDでCraig-Bampton縮退を適用した後、接続自由度の変換行列直交性を確認しないまま計算すると、連成剛性行列に非物理的な成分が混入し、固有振動数が実際より低く(または高く)算出される。NASTRAN SOL103 でCB縮退する場合、DMAP Altersで直交性チェックが可能だが、デフォルトでは出力されない。Simcenter Nastranでは2018年版から自動直交性チェックが実装され、閾値(デフォルト1e-6)超えで警告が出るようになっている。
関連トピック
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