等方硬化モデル
等方硬化の理論基礎
等方硬化とは
先生、等方硬化って何ですか?
等方硬化(isotropic hardening)は塑性変形で降伏面が一様に膨張するモデル。降伏応力が塑性ひずみの蓄積とともに上昇。
$H$ は硬化係数。テーブル形式(応力-塑性ひずみの対応表)で任意の硬化曲線を定義可能。
特徴
バウシンガー効果って何ですか?
FEMでの設定
まとめ
要点:
- 降伏面が一様に膨張 — 全方向で同じ降伏応力
- 単調載荷に最適 — 繰り返し載荷にはキネマティック硬化
- バウシンガー効果は表現不可 — 引張→圧縮で降伏応力が同じ
- 全ソルバーのデフォルト — 最もシンプル
等方硬化の降伏面膨張
等方硬化則では塑性変形に伴い降伏曲面が等方的に拡大し、中心位置は変わらない。累積塑性ひずみεₚで降伏応力σy(εₚ)を更新する。1934年にPrandtlが塑性流れ則を定式化して以来、単調負荷問題では最もシンプルな選択肢として90年以上使われ続けている。
等方硬化の数値計算手法
等方硬化の数値処理
Return Mappingアルゴリズムで処理。弾性予測→降伏判定→半径方向戻し。von Misesの塑性と同じ。
テーブル入力
```
*PLASTIC
250., 0.0
300., 0.02
400., 0.1
450., 0.2
```
真応力-真塑性ひずみの対応表。中間値は線形補間。
まとめ
硬化曲線の入力形式
多くのソルバーは等方硬化を「真応力vs累積塑性ひずみ」の表形式で受け付ける。Abaqusでは*PLASTICカードに最大200点まで入力可能。実務では引張試験から得た工学応力-ひずみをσ_true=σ_eng(1+ε_eng)、ε_true=ln(1+ε_eng)で変換し、弾性ひずみを差し引いてεₚを求める手順が基本だ。
等方硬化の実務適用
等方硬化の実務
金属の単調載荷(引張試験、成形、圧力試験)で最も広く使用。
実務チェックリスト
プレス成形解析の定番
自動車ボディパネルのスタンピング解析では、等方硬化則にSwift式(σ=Cεₙ)を組み合わせるのが1980年代から続く定番手法。高張力鋼DP980のC≈1600MPa、n≈0.12が代表値。板厚減少率の予測精度は実験値との乖離が一般的に3〜5%に収まるため、金型設計の初期検討に広く使われる。
等方硬化のソフトウェア比較
等方硬化のツール
全ソルバーで標準。設定方法が異なるだけ。
| ソルバー | 設定 |
|---|---|
| Abaqus | *PLASTIC テーブル |
| Nastran | MATS1 + TABLES1 |
| Ansys | TB, BISO(バイリニア)or TB, MISO(マルチリニア) |
| LS-DYNA | *MAT_24 |
LS-DYNAでのMAT_024
LS-DYNAのMAT_024(PIECEWISE_LINEAR_PLASTICITY)は等方硬化を表形式で定義するもっとも汎用的なカード。1990年代から板成形・クラッシュ解析で使われ続け、2024年版でもデフォルト選択肢の一つ。SIGY(初期降伏応力)とLCSSカーブIDを組み合わせた入力形式は業界標準として定着している。
等方硬化の先端研究
等方硬化の先端
Combined硬化との組合せ
等方硬化と移動硬化を重ね合わせるCombined則はChabocheが1986年に定式化。等方成分の飽和応力Q∞と進化係数bを追加するだけで、バウシンガー効果と全体的な硬化を同時に表現できる。Abaqusでは*COMBINED HARDENINGキーワードで実装され、疲労寿命解析への適用が増えている。
等方硬化のトラブル対応
等方硬化のトラブル
除荷時の過大スプリングバック
等方硬化則だけで板成形後のスプリングバックを予測すると実測より過大になるケースが多い。これはバウシンガー効果を無視するためで、DP鋼ではスプリングバック角度が実測比で最大30%過大評価される事例が報告されている。移動硬化または複合硬化則への切替えで改善する。
関連トピック
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