Johnson-Cook構成則

カテゴリ: 構造解析 | 統合版 2026-04-06
CAE visualization for johnson cook theory - technical simulation diagram
Johnson-Cook構成則

Johnson-Cook構成則の理論基礎

Johnson-Cook構成則とは

🧑‍🎓

先生、Johnson-Cook構成則って何ですか?


🎓

Johnson-Cook(JC)モデル(1983年)ひずみ速度と温度に依存する弾塑性+延性破壊モデル。衝撃・衝突の金属変形と破壊に最も広く使われる。


構成式

🎓

流れ応力:


$$ \sigma = (A + B\varepsilon_p^n)(1 + C\ln\dot{\varepsilon}^*)(1 - T^{*m}) $$

  • $A$ — 降伏応力
  • $B, n$ — ひずみ硬化係数と指数
  • $C$ — ひずみ速度感度
  • $m$ — 温度軟化指数
  • $\dot{\varepsilon}^* = \dot{\varepsilon}/\dot{\varepsilon}_0$ — 無次元ひずみ速度
  • $T^* = (T-T_{room})/(T_{melt}-T_{room})$ — 無次元温度

🧑‍🎓

3つの因子(硬化×速度×温度)の掛け算!


🎓

シンプルだが実用的。5つのパラメータ($A, B, n, C, m$)で金属の高速変形を広い範囲で記述できる。多くの金属のJCパラメータが文献で報告されている。


JC破壊基準

🎓

延性破壊の等価塑性ひずみ:


$$ \varepsilon_f = (D_1 + D_2 e^{D_3 \eta})(1 + D_4 \ln\dot{\varepsilon}^*)(1 + D_5 T^*) $$

$\eta = \sigma_m / \sigma_{vm}$ は応力三軸度。$D_1 \sim D_5$ が破壊パラメータ。


🧑‍🎓

応力三軸度 $\eta$ で破壊ひずみが変わる。引張($\eta > 0$)では脆性的、せん断($\eta \approx 0$)では延性的。


まとめ

🎓

要点:


  • $\sigma = (A+B\varepsilon^n)(1+C\ln\dot{\varepsilon}^)(1-T^{m})$ — 硬化×速度×温度
  • 5つの材料定数 — 多くの金属で文献値あり
  • JC破壊基準 — 応力三軸度依存の延性破壊
  • 衝撃・衝突解析の標準モデルLS-DYNA MAT_15, Abaqus PLASTIC+DAMAGE

Coffee Break よもやま話

JCモデルの提案年

Gordon JohnsonとWilliam Cookが1983年に発表したこのモデルは、応力を塑性ひずみ・ひずみ速度・温度の積形式で表現する。元々は米陸軍の弾道貫通試験データを整理するために開発され、論文発表から2年以内に高速変形解析の標準材料モデルとして採用が広がった。

Johnson-Cook構成則の数値計算手法

LS-DYNA

```

*MAT_JOHNSON_COOK

$ A, B, n, C, m, Tmelt, Troom, eps0

350., 275., 0.36, 0.022, 1.0, 1793., 293., 1.0

```

Abaqus

```

*PLASTIC, HARDENING=JOHNSON COOK

A, B, n, m, Tmelt, Troom

*RATE DEPENDENT, TYPE=JOHNSON COOK

C, eps0

*DAMAGE INITIATION, CRITERION=JOHNSON COOK

D1, D2, D3, D4, D5, Tmelt, Troom

*DAMAGE EVOLUTION, TYPE=DISPLACEMENT

u_f

```

🧑‍🎓

Abaqusでは塑性+速度依存+破壊を3つの定義で設定するんですね。


🎓

LS-DYNAは1つの*MATカードで全て。Abaqusは個別に定義するため柔軟だが設定が多い。


まとめ

🎓
  • LS-DYNA *MAT_JOHNSON_COOK — 1カードで全パラメータ
  • Abaqus PLASTIC JC + RATE DEPENDENT + *DAMAGE — 個別定義
  • 断熱条件で温度上昇 → JCの温度軟化項が発動

  • Coffee Break よもやま話

    5パラメータの同定実験

    Johnson-Cookの5定数(A・B・n・C・m)は段階的に同定する。まず準静的試験でA・B・nを確定し、次にSplit Hopkinson Bar試験(ひずみ速度10²〜10⁴/s)でCを、加熱試験でmを求める。Al6061-T6の代表値はA=276MPa、B=406MPa、n=0.51、C=0.00519、m=1.0が広く引用されている。

    Johnson-Cook構成則の実務適用

    JCの実務

    🎓

    弾道衝撃(防弾板の貫通)、金属の高速切削、衝突安全の金属破壊で使用。


    JCパラメータの代表値

    🎓
    材料A (MPa)B (MPa)nCm
    軟鋼(AISI 1018)2207500.400.0221.0
    Al 6061-T63241140.420.0021.34
    Ti-6Al-4V109810920.930.0141.1

    実務チェックリスト

    🎓
    • [ ] JCパラメータが材料試験またはSplit Hopkinson棒試験から得られているか
    • [ ] ひずみ速度の範囲がJCパラメータのフィッティング範囲内か
    • [ ] JC破壊基準が設定されているか(延性破壊を評価する場合)
    • [ ] 断熱条件を考慮しているか(高速変形では温度上昇で軟化)

    • Coffee Break よもやま話

      鳥衝突解析への適用

      航空機エンジンファンブレードへの鳥衝突(Bird Strike)解析では、Ti-6Al-4VのJohnson-Cookパラメータが必須。FAR 33.76認証試験に先立つFEA検証でLS-DYNAとAbaqus Explicitが主に使われ、衝突速度200m/s時のブレード先端変形量を±5mm精度で予測した事例が航空宇宙学会誌に複数報告されている。

      Johnson-Cook構成則のソフトウェア比較

      JCのツール

      🎓
      • LS-DYNA *MAT_015 — 衝撃・衝突の標準
      • Abaqus PLASTIC JC + DAMAGE JC — 柔軟な設定
      • Ansys — Johnson-Cook対応
      • AUTODYN — 爆発衝撃の専用ソルバー。JC標準

      • 選定ガイド

        🎓
        • 弾道衝撃(貫通)LS-DYNA or AUTODYN
        • 金属成形の高速変形LS-DYNA or Abaqus/Explicit
        • 延性破壊の予測Abaqus *DAMAGE INITIATION JC

        • Coffee Break よもやま話

          LS-DYNAのMAT_015

          LS-DYNAではJohnson-CookモデルをMAT_015(JOHNSON_COOK)で実装する。EOS_GRUNEISEN(状態方程式)と組み合わせることで爆発・衝撃波問題にも対応可能。1990年代の砲身侵徹解析から2020年代の宇宙デブリ衝突まで幅広く使われており、LS-DYNA材料カードの中で最も引用論文数が多い一つとされる。

          Johnson-Cook構成則の先端研究

          JCの先端研究

          🎓
          • Modified JC — 高温・超高速域でのJCの拡張
          • Zerilli-Armstrong — 物理ベース(転位理論)の高速変形モデル。JCの代替
          • 逆解析によるパラメータ決定 — SHPB試験のFEMシミュレーションでJCパラメータを逆推定
          • 機械学習による構成則 — JCの関数形に依存しないデータ駆動モデル

          • Coffee Break よもやま話

            Johnson-Cook破壊モデル

            JCには変形モデルと独立した破壊モデルも存在し、D1〜D5の5パラメータで破断ひずみを応力三軸度・速度・温度の関数として表現する。1985年の続報論文で定式化され、装甲板の弾丸貫通解析でNRL(米海軍研究所)が検証。現在Abaqus Explicit・LS-DYNAで標準実装されている。

            Johnson-Cook構成則のトラブル対応

            JCのトラブル

            🎓
            • 応力が過大 → 温度軟化項が効いていない。断熱条件を確認
            • 破壊が早すぎる/遅すぎる → $D_1 \sim D_5$ のキャリブレーション。応力三軸度の影響
            • ひずみ速度の範囲外 → JCのC項は低ひずみ速度で不正確になることがある
            • 温度上昇が計算されない → 断熱発熱(*INELASTIC HEAT FRACTION)を設定

            • Coffee Break よもやま話

              断熱温度上昇の過大評価

              高速解析でJCの温度項を用いる際、断熱仮定でΔT=β·σ·dεₚ/(ρ·Cₚ)を使うとTaylor-Quinney係数βの設定ミスで温度が過大評価される。鋼材でβ=0.9が標準だが0.5〜0.9の幅がある。β=1.0(全塑性仕事が熱)を誤って設定すると流動応力が10〜20%低下し、破断予測が早まる典型的な誤りだ。

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              Written by NovaSolver Contributors
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