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地盤工学

アッターベルグ限界と塑性指数シミュレーター

細粒土(粘土・シルト)が固体・半固体・塑性・液体の各状態を行き来する境界含水比を扱うツールです。液性限界・塑性限界・自然含水比を変えると、塑性指数・液性指数とカサグランデ塑性図上の土の分類がリアルタイムで分かります。

パラメータ設定
液性限界 LL
%
土が液体のように流れ始める含水比
塑性限界 PL
%
土が崩れて練れなくなる含水比
自然含水比 w
%
現地の土がいま含んでいる水分量
収縮限界 SL
%
乾燥しても体積が減らなくなる含水比
計算結果
塑性指数 PI (%)
液性指数 LI
コンシステンシー指数 CI
A線の塑性指数 (%)
塑性図の分類
自然状態の判定
含水比軸と土の4状態 — アニメーション

含水比の軸上で、固体・半固体・塑性・液体の4状態を収縮限界・塑性限界・液性限界が区切ります。脈動するポインタが自然含水比、橙の帯が塑性指数。右下は塑性図のインセット。

塑性図(カサグランデ)
液性指数 vs 自然含水比
理論・主要公式

$$PI=LL-PL,\qquad LI=\frac{w-PL}{PI},\qquad CI=\frac{LL-w}{PI}$$

塑性指数 PI は塑性範囲の幅、液性指数 LI は自然含水比がその範囲のどこにあるかを示す。LL:液性限界、PL:塑性限界、w:自然含水比。

$$PI_{A}=0.73\,(LL-20)$$

カサグランデ塑性図のA線。塑性指数がこの値より上なら粘土(C)、下ならシルト(M)。LL が 50% 未満なら低液性限界(L)、以上なら高液性限界(H)。

アッターベルグ限界とは

🙋
「アッターベルグ限界」って聞き慣れない言葉ですが、土の何を表しているんですか?
🎓
ざっくり言うと、粘土みたいな細かい土が「水の量しだいで全然ちがう材料になる」のを数値で押さえたものだよ。同じ粘土でも、カラカラに乾けば硬くてもろい固体、少し湿ればパテのように練れる塑性体、たっぷり水を含めばドロドロの液体になる。20世紀初めにスウェーデンのアッターベルグが、状態が切り替わる境目の含水比を定義したんだ。それが液性限界・塑性限界・収縮限界という「アッターベルグ限界」だね。
🙋
境目の含水比…左のスライダーにも液性限界と塑性限界がありますね。この2つの差が塑性指数なんですか?
🎓
そう、塑性指数 PI = 液性限界 − 塑性限界。これがいちばん使える数字なんだ。塑性指数は「土が練り物のようにふるまえる含水比の幅」を表していて、PI が大きい土ほど水を吸って膨らんだり乾いて縮んだりしやすい「肥えた粘土」。PI が小さければ粘土分の少ない痩せたシルトだ。デフォルトの LL=45、PL=22 なら PI=23 になる。左で液性限界を上げてみると、塑性図の点が右上にどんどん動くのが見えるよ。
🙋
塑性図に点が出てきました。あの斜めの線(A線)は何を分けているんですか?
🎓
A線は粘土とシルトを分ける経験線で、PI = 0.73(LL−20) という式で引かれている。点が A線より上なら粘土(C)、下ならシルトや有機質土(M)。さらに液性限界が 50% 未満なら低液性限界(L)、50% 以上なら高液性限界(H)。組み合わせて CL・CH・ML・MH の4つに分ける。これが世界中で使われている統一土質分類法の骨格なんだ。地盤調査の報告書を開くと、必ずこの記号が並んでいるよ。
🙋
分類は分かりました。じゃあ自然含水比はどこで効いてくるんですか?
🎓
そこで液性指数 LI の出番だ。LI = (自然含水比 − 塑性限界)/塑性指数 で、いまの土の水分が塑性範囲のどこにいるかを示す。LI が 0 に近ければ塑性限界寄りで硬い、1 に近ければ液性限界寄りで軟らかい。実務でゾッとするのは LI が 1 を超えるとき。自然含水比が液性限界より高い、つまり乱すと一気に強度を失う「鋭敏粘土」かもしれないサインなんだ。海成粘土の地盤などで本当に問題になる。
🙋
なるほど、限界そのものと、いまの含水比の両方を見るんですね。コンシステンシー指数というのもありますが?
🎓
コンシステンシー指数 CI = (液性限界 − 自然含水比)/塑性指数 は、ちょうど液性指数の裏返しで、液性限界からどれだけ離れて余裕があるかを示す。LI + CI = 1 の関係になっているよ。CI が大きいほど硬くてしっかりした地盤、小さいほど軟弱で液体に近い。盛土の締固め管理や、軟弱地盤改良の要否判断など、現場の感覚を数値に置き換えるのに役立つ指標なんだ。

よくある質問

塑性指数 PI は、土が塑性的にふるまう含水比の幅で、PI = 液性限界 LL − 塑性限界 PL で計算します。例えば LL=45%、PL=22% なら PI=23% です。PI が大きいほど水の影響を受けやすい「肥えた」高塑性粘土で、膨潤・収縮しやすく、PI が小さいほど粘土分の少ない痩せたシルト質の土です。塑性指数は土の性質を一言で表す、地盤工学で最も有用な指標のひとつです。
液性指数 LI = (自然含水比 w − 塑性限界 PL) / 塑性指数 PI は、いまの土の含水比が塑性範囲のどこにあるかを示します。LI が 0 に近ければ塑性限界の近く(硬い)、LI が 1 に近ければ液性限界の近く(軟らかい)です。LI が 1 を超える土は、自然含水比が液性限界より高い非常に軟弱で水を多く含んだ状態で、乱されると強度を大きく失う「鋭敏粘土」の警告サインになります。
A線は塑性図上で粘土とシルト(または有機質土)を分ける経験的な境界線で、PI = 0.73·(LL − 20) で表されます。塑性指数を液性限界に対してプロットし、点が A線より上なら粘土(C)、下ならシルト(M)と分類します。さらに液性限界が 50% 未満なら低液性限界(L)、50% 以上なら高液性限界(H)として、CL・CH・ML・MH の4分類になります。これが統一土質分類法(USCS)の基礎です。
アッターベルグ限界は土の分類と現況評価という2つの大きな役割を持ちます。第一に、塑性図上での位置から細粒土を CL/CH/ML/MH に分類し、地盤調査報告書や設計の基礎情報になります。第二に、液性指数を通じて自然含水比を限界と比べることで、その土がいまどのくらい硬い/軟らかいかを判定します。さらに塑性指数は膨潤・収縮性、透水性、圧縮性とも相関するため、盛土材料の選定、軟弱地盤対策、基礎の支持力検討など幅広い場面で使われます。

実世界での応用

地盤調査と土質分類:ボーリング調査で採取した細粒土は、まずアッターベルグ限界を測定し、塑性図上でCL(低液性限界の粘土)・CH(高液性限界の粘土)・ML・MHのどれに当たるかを判定します。これは地盤調査報告書の必須項目で、設計者はこの分類記号を見て土の膨潤性・圧縮性・透水性のおおよその傾向をつかみます。粒度試験と並ぶ、土質判定のもっとも基本的な情報です。

盛土・路床材料の選定:道路や堤防の盛土材料、路床土の品質管理では、塑性指数が判定基準に使われます。塑性指数が大きすぎる粘性土は、雨水で膨潤・軟化し、乾燥で収縮ひび割れを起こすため路床として不適とされ、上限値が規定されています。逆に塑性のない砂質土は締固めにくい。塑性指数は「使える土かどうか」を仕分ける物差しです。

軟弱地盤の評価と対策:液性指数が1に近い、あるいは1を超える地盤は、自然含水比が液性限界に達するほど水を含んだ非常に軟弱な状態です。海成粘土や有機質土に多く、鋭敏比が高いと乱したとたんに強度を失います。サンドドレーンやプレロード、地盤改良などの対策の要否は、まず液性指数とコンシステンシー指数で当たりをつけます。

膨張性土・斜面安定の検討:塑性指数が高いほど、土はモンモリロナイトのような膨潤性粘土鉱物を多く含む傾向があり、含水比の変化で大きく体積変化します。基礎の不同沈下、擁壁背面の土圧増加、雨後の斜面崩壊などのリスク評価で、塑性指数は膨潤ポテンシャルや残留強度の推定に使われます。簡便な指標でありながら、設計判断の入口を担います。

よくある誤解と注意点

まず多いのが、「アッターベルグ限界は土の絶対的な強度を表す」という誤解です。液性限界も塑性限界も、規定された練返し試験(液性限界は落下回数25回、塑性限界は直径3mmの紐づくり)での「含水比」であって、強度そのものではありません。同じ塑性指数でも、土の構造・年代・応力履歴によって実際の強度や圧密特性は大きく異なります。アッターベルグ限界はあくまで土を「分類」し、性質の傾向をつかむための指標です。設計に使う強度や変形特性は、一軸圧縮試験や圧密試験など別の試験で求める必要があります。

次に、「液性指数が0未満でもそのまま使ってよい」という思い込み。液性指数が負になるのは、自然含水比が塑性限界より低い、つまり半固体〜固体状態でとても硬い土を意味します。これ自体は健全な地盤ですが、過圧密粘土や乾燥した表層では、含水比がわずかに増えただけで急に軟化することがあります。逆に、塑性限界が液性限界に非常に近い(塑性指数がほぼ0)土では、液性指数の分母が小さく、計算値が不安定に大きく振れます。このツールでは塑性限界が液性限界以上にならないようガードしていますが、PI が極端に小さいケースの数値は慎重に扱ってください。

最後に、「塑性図の分類だけで設計判断を完結させる」こと。CL・CH・ML・MHという分類は、土の大まかな性格を示す出発点にすぎません。同じCHでも、関東ローム・有明粘土・海外の膨潤性粘土では挙動が大きく違います。塑性図はA線・B線・有機質土の判定など、いくつかの境界が重なる領域があり、A線ぎりぎりの点は試験誤差で分類が変わりかねません。分類はあくまで設計の入口とし、対象地盤の地質・形成過程・周辺の事例と合わせて、総合的に判断することが重要です。