実は楕円接触の厳密解には完全楕円積分という面倒な関数が出てきて、閉じた形では書けないんだ。そこで実務ではRoarkらの教科書にある係数表 m, n を使う。曲率比 k=B/A ごとに m と n が決まっていて、a = m·(3F/(4E*(A+B)))^(1/3)、b = n·(3F/(4E*(A+B)))^(1/3) と計算する。本ツールは k=1〜50 の8点の表値(楕円積分による厳密値)を線形補間しているから、教科書値とほぼ同じ結果になるよ。
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最大接触応力 p_max は球の場合と同じ式ですか?
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形は同じ p_max = 3F/(2πab) だ。理由は、圧力分布が半楕円体(卵を半分にした形)になっていて、その体積が総荷重 F と等しいから。a と b の値さえ求まれば、円接触でも楕円接触でも同じ式で最大圧が出る。ちなみに平均圧は F/(πab) なので、最大圧は常に平均圧の1.5倍——これは形によらず一定だよ。
k=1 のとき係数は m=n=1 となり、長半径と短半径が等しくなって接触面は完全な円になります。これは通常の球接触(hertz-contact.html で扱う)と一致し、本ツールの一般化が球接触を特殊ケースとして含んでいることが確認できます。荷重 F を 1000 N から 8000 N まで変えると a が約 2 倍(8^(1/3)≈2)になることもチェックできます。
本ツールは「楕円形状の幾何効果」と「曲率比による係数 m, n の変化」を直感的に理解することに主眼を置いているため、材料パラメータを固定して幾何だけを変えられるようにしています。鋼-鋼接触は工学上もっとも頻出する組み合わせで、E*=115.4 GPa が得られます。異種材料や非鉄金属の接触を扱いたい場合は hertz-contact.html を併用してください。
本ツールは接触面上の圧力分布のみを扱います。表面下の主応力やせん断応力(転がり接触疲労の起点となる地下応力)を見たい場合は subsurface-stress-hertz.html を参照してください。楕円接触では、深さ方向の最大せん断応力位置は短半径 b と長半径 a の中間程度の深さに発生し、円接触(0.48a)や線接触(0.78a)の中間値となります。
もっとも多い誤解は、接触面が円か楕円かでp_maxの公式が変わると思ってしまうことです。実際には円も楕円も同じ p_max = 3F/(2πab) で表され、円接触は a=b の特殊ケースに過ぎません。本ツールで曲率比を 1 → 5 → 10 と変えても、stat カードに表示される p_max の式は変わらず、ただ a と b の値が変化することで結果が変わるだけです。これは圧力分布が半楕円体型であることの当然の帰結です。
次に注意すべきは、係数 m, n の表値補間に伴う誤差です。本ツールは k=1〜50 の8点(完全楕円積分による厳密値)を線形補間しており、中間の k では1〜数%程度の補間誤差が出ます。学術論文や精密設計では Hamrock-Brewe の近似式や直接的な楕円積分計算を使うべきですが、設計初期の概算や教育用途では本ツールの精度で十分です。