ざっくり言うと、マイクロストリップは「表に信号線、裏にグラウンド面」というサンドイッチ構造だ。CPW (Coplanar Waveguide) は同じ表面に中心線とグラウンドを並べて置く。中心線 W の両側にギャップ G を空けて、その外側がグラウンド——だから上のシミュレーターの断面図でも、黄色い中心線の両脇に灰色のグラウンドが見えるだろう。裏面にビアを打たなくてもグラウンド接続が取れるから、ミリ波の高周波で重宝される構造だよ。
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なるほど。じゃあ Z_0 = 50Ω にするには W と G をどう決めるんですか?
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面白いのはここで、CPW の特性インピーダンスは W と G の絶対値じゃなくて、比 k = W/(W+2G) だけで決まるんだ。マイクロストリップだと W/h (基板厚さに対する幅) が効くけど、CPW は同じ面にあるからスケール不変。シミュレーターで W と G を同じ比率で揃えて拡大縮小してみて。Z_0 はぴくりとも動かないはずだ。
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本当だ!W を 1mm にして G を 0.6mm にしても、デフォルトと同じ Z_0 が出る。スケールが効かないんですね。
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そうそう。だから実務では、まず使える基板の最小ライン幅やプロセスから決まる制約 (例えば W ≥ 0.1mm、G ≥ 0.075mm 等) の中で、目標 k を作る。デフォルト値 (W=0.5, G=0.3, εr=4.3) だと k≈0.45 で Z_0≈78Ω だね。50Ω 狙いなら k をもっと上げる、つまり W : G の比をもっと W 寄り (例えば 3:1 や 4:1) にする必要がある。試しに W=0.6, G=0.1 にしてみると 50Ω に近づくよ。
最も多い誤解は、「W を太くすれば Z_0 が下がる」と一面的に考えてしまうことです。確かに W だけを増やせば k = W/(W+2G) が上がり Z_0 は下がりますが、CPW の特性は「比」だけで決まります。W と G を同じ倍率で拡大すると Z_0 は変化しません。実装の現場では、まず製造プロセスの最小ギャップ G が決まり、その上で W を比例的に決める——という順序で寸法を選びます。シミュレーターで W と G を同時に 2 倍してみてください。Z_0 が変わらないことに最初は驚きますが、これが CPW のスケール不変性の本質です。
次に多いのが、「ε_eff = (ε_r+1)/2 がいつでも成り立つ」と思い込むことです。この簡略式は「無限厚誘電体・両側無限グラウンド・薄い導体」の理想条件下のものです。実機では基板厚 h が有限 (典型的に 0.1〜1.6mm) なので、h が G に比べて薄いと裏面の空気が見えてしまい ε_eff は (ε_r+1)/2 より小さくなります。逆に CBCPW (裏面グラウンド付き) では、低周波で平行平板モードに近づき ε_eff は ε_r に漸近します。本ツールの値はあくまで「初期検討用の暫定値」と捉え、最終寸法は基板厚を考慮した式 (Simons の教科書、Wadell の便覧等) または EM 解析で確定してください。