🙋ローパスフィルタって、どうやって「低い周波数だけ通す」んですか?コンデンサがあるだけなのに、不思議です。
🎓ざっくり言うと、コンデンサ C は「速い変化ほど短絡に見える」性質があるんだ。高周波の信号は C を通って GND に逃げ、抵抗 R にぶつかってほぼ消える。逆に低周波は C がほぼ開放で、入力電圧がそのまま出力点に現れる。だから「低い周波数だけ通す」ように見える。
🙋f_c で -3 dB になるって、半分くらいの音量になるイメージですか?
🎓電力でみると半分、振幅では 1/√2 ≈ 0.707 倍だね。「ここから上はもう減衰し始めるよ」という境界が f_c。実務では、信号として残したい帯域の少し上に f_c を置くのが鉄則。
🙋具体例だと、どんな場面で RC ローパスを使うんですか?
🎓AD コンバータ前のアンチエイリアシング、PWM 出力のリプル除去、センサの高周波ノイズ除去、オーディオ系のトレブルカットなどなど。1 次は急峻ではないから、急峻な阻止帯域がいるなら 2 次・3 次やデジタル FIR を組み合わせる、という流れになる。
入力電圧 $V_{in}$ に対し、出力電圧 $V_{out}$ はキルヒホッフの電圧則と $i_C = C\,dV_{out}/dt$ から次の一階線形 ODE になる。
$$RC\,\dfrac{dV_{out}}{dt} + V_{out} = V_{in}$$
正弦定常解として $s = j\omega$ を代入すれば伝達関数 $H(j\omega) = 1/(1+j\omega\tau)$ が得られ、ゲインと位相は次式となる。
$$|H(f)| = \dfrac{1}{\sqrt{1+(f/f_c)^2}},\quad \phi = -\arctan(f/f_c),\quad f_c = \dfrac{1}{2\pi RC}$$
デシベル表記では $f \ll f_c$ で 0 dB、$f = f_c$ で -3.01 dB、$f \gg f_c$ で -20 dB/decade の漸近線となる。位相は 0° から -90° へ単調に低下する。
AD 変換の前段: サンプリング周波数の半分 (ナイキスト) より上の成分が折り返さないように、RC をアンチエイリアシングとして挿入する。
PWM の平滑化: マイコンの PWM 出力を RC で平滑し、疑似アナログ電圧に変換する。スイッチング周波数 f_sw に対し f_c ≪ f_sw となるよう設計する。
センサ信号の整形: ひずみゲージや熱電対の出力に重畳した高周波ノイズを RC で除去し、低速の計測値だけを取り出す。
オーディオの簡易トーンコントロール: スピーカーのツイータ手前で高音をカット、または音場補正の一部として用いる。
誤解 1: f_c より上は完全にカットされる。 実際は 1 次なら -20 dB/decade、つまり f = 10 f_c で -20 dB、f = 100 f_c でも -40 dB しか落ちない。急峻な遮断が必要なら高次フィルタが必要。
誤解 2: R と C を大きくすればノイズが減る。 R を大きくすると後段との分圧が起きやすく、また熱雑音 $\sqrt{4k_BTR\Delta f}$ も増加する。低雑音設計ではバランスが重要。
誤解 3: 位相は無視してよい。 制御系やオーディオでは位相遅れが応答性・音質に直結する。f_c 付近で -45° という遅れは想像以上に大きい。