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電子回路

555タイマ 非安定動作(発振)シミュレーター

555タイマICを非安定(アスタブル)モードで動かす発振回路を設計するツールです。抵抗 R1・R2 とコンデンサ C を変えると、発振周波数・周期・充放電時間・デューティ比がリアルタイムで分かり、コンデンサ電圧と出力の方形波が動いて見えます。

パラメータ設定
抵抗 R1
充電経路の上側抵抗(電源〜放電端子間)
抵抗 R2
充電にも放電にも使う抵抗(放電端子〜しきい値端子間)
コンデンサ C
µF
タイミングコンデンサ。充放電する容量
電源電圧 Vcc
V
標準的な555は 4.5〜16V で動作。周波数には影響しない
計算結果
充電時間(出力H)(ms)
放電時間(出力L)(ms)
周期 T (ms)
発振周波数 f (Hz)
デューティ比 (%)
周波数帯の判定
発振動作 — コンデンサ電圧と出力波形のアニメーション

上:コンデンサ電圧が 1/3 Vcc と 2/3 Vcc のしきい値の間で充放電する鋸歯状波。下:充電中がH・放電中がLとなる出力の方形波。波形は実時間で左へスクロールします。

波形 — コンデンサ電圧と出力
発振周波数 vs コンデンサ容量
理論・主要公式

$$f=\frac{1.44}{(R_1+2R_2)\,C},\qquad D=\frac{R_1+R_2}{R_1+2R_2}$$

発振周波数 f [Hz] とデューティ比 D。R1・R2:抵抗、C:タイミングコンデンサ。発振周波数は電源電圧 Vcc に依存せず、基本回路ではデューティ比は常に50%を超える。

$$t_H=0.693\,(R_1+R_2)\,C,\qquad t_L=0.693\,R_2\,C$$

出力H(充電)の時間 t_H と出力L(放電)の時間 t_L。係数 0.693 は ln2 で、しきい値が 1/3 Vcc と 2/3 Vcc に固定されていることから出てくる。

$$T=t_H+t_L=0.693\,(R_1+2R_2)\,C$$

周期 T は充電時間と放電時間の和。周波数 f は周期の逆数 f = 1/T。

555タイマの非安定動作とは

🙋
「555タイマ」って、電子工作の本でよく出てくる8本足のICですよね。それを「非安定モード」で使うって、どういう意味ですか?
🎓
そう、世界で一番有名なICのひとつだね。「非安定(アスタブル)」というのは、安定した状態を持たないという意味なんだ。出力が勝手にH(ハイ)とL(ロー)を行ったり来たりし続ける——つまり何もしなくても方形波を出し続ける発振器になる。必要なのは抵抗2本(R1・R2)とコンデンサ1個(C)だけ。これだけでLED点滅やブザーの音源が作れるから、入門の定番回路なんだよ。
🙋
抵抗とコンデンサだけで、どうして勝手に振動し続けるんですか?
🎓
カギはコンデンサの充放電だ。コンデンサは R1+R2 を通して電源に向かって充電されていく。電圧が 2/3 Vcc に達した瞬間、555の中のコンパレータが出力をLに切り替えて、内部の放電トランジスタをオンにする。すると今度はコンデンサが R2 だけを通して放電を始める。電圧が 1/3 Vcc まで下がった瞬間、また出力がHに戻って充電が再開する……これを永遠に繰り返すんだ。上のキャンバスを見て。コンデンサ電圧の鋸歯状波が、まさにその2本のしきい値線の間を行き来しているだろう?
🙋
なるほど!でも、上の波形をよく見ると、出力がHの時間のほうがLの時間より長いですね。デューティ比も54.8%になってます。これってバグじゃないんですか?
🎓
いい観察だね。それは仕様どおりなんだ。充電は R1+R2 を通るのに、放電は R2 だけを通る。充電経路のほうが抵抗が大きいから、充電(出力H)に時間がかかる。だから基本回路のデューティ比は必ず50%より大きくなる。ちょうど50%の方形波がほしいときは、R1 にダイオードを並列に入れて充電経路をバイパスする、といった工夫がいる。R1 を小さく R2 を大きくすれば50%に近づくけど、原理的に50%ちょうどにはできないんだ。
🙋
電源電圧 Vcc のスライダーを動かしても、周波数が全然変わらないですね。これは何でですか?
🎓
それも555のうれしい性質なんだ。発振周波数は R1・R2・C だけで決まって、Vcc には依存しない。しきい値の 1/3 Vcc・2/3 Vcc も、充電の目標電圧 Vcc も、ぜんぶ電源電圧に比例してスケールする。だから式の中で Vcc が打ち消し合って消えてしまう。乾電池が消耗して電圧が下がっても、発振周波数はほぼ変わらない。逆に言うと、Vcc を変えて影響するのは出力電圧の振幅(H側の電圧)だけ。だから安定した発振器が欲しいときに555は重宝されるんだよ。
🙋
じゃあ、自分の作りたい周波数にするには、R1・R2・C をどう決めればいいですか?
🎓
定石は「まず C を選んで、抵抗で微調整」だ。LEDをチカチカさせたいなら数Hzだから C は大きめ(数µF〜十µF)。ブザーの音を出したいなら可聴域の数百Hz〜数kHzだから C は 0.01〜0.1µF くらい。抵抗は 1kΩ〜1MΩ の範囲に収めるのが安全だよ。1kΩより小さいと放電トランジスタに大電流が流れるし、1MΩより大きいとコンデンサの漏れ電流が無視できなくなって計算がずれる。下の「発振周波数 vs コンデンサ容量」グラフで、Cを変えたとき周波数がどう動くか見てみるといい。

よくある質問

発振周波数は f = 1.44 / ((R1 + 2·R2)·C) で求めます。R1・R2 は抵抗、C はタイミングコンデンサです。コンデンサは R1+R2 を通して充電され、R2 だけを通して放電します。出力がHのあいだの時間 t_H = 0.693·(R1+R2)·C、Lのあいだの時間 t_L = 0.693·R2·C、周期 T = t_H + t_L です。本ツールはこの計算をリアルタイムで行い、波形とともに表示します。
基本回路ではデューティ比 D = (R1+R2)/(R1+2·R2) となり、必ず50%より大きくなります。これは充電経路(R1+R2)の抵抗が放電経路(R2のみ)より大きく、出力がHの時間がLより長くなるためです。R1 を小さく R2 を大きくすると50%に近づきますが、ちょうど50%や50%未満にするにはダイオードを追加して充電経路をバイパスするか、別の回路構成を使う必要があります。
依存しません。発振周波数は R1・R2・C のみで決まり、電源電圧 Vcc には無関係です。これは555のしきい値(1/3 Vcc と 2/3 Vcc)も充電の到達目標電圧 Vcc も、すべて電源電圧に比例してスケールするため、計算の中で Vcc が打ち消し合うからです。この性質により555タイマは電源電圧が変動しても安定した発振周波数を保つ、扱いやすい発振器になっています。
まずコンデンサ C を決め、次に抵抗で周波数を微調整するのが定石です。低周波(LED点滅、数Hz)には大きな C(数µF〜数十µF)、可聴域(数百Hz〜数kHz)には 0.01〜0.1µF 程度が目安です。抵抗は概ね 1kΩ〜1MΩ の範囲に収めます。1kΩより小さいと放電電流が大きくなりすぎ、1MΩより大きいとコンデンサの漏れ電流の影響が無視できなくなります。本ツールでスライダーを動かして目標周波数に合わせてください。

実世界での応用

LEDフラッシャ・表示の点滅:555の非安定回路の最も基本的な用途が、LEDをチカチカ点滅させる回路です。数Hzのゆっくりした点滅は大きなコンデンサ(10µF前後)で作り、出力ピンに直接LEDと電流制限抵抗をつなぐだけで完成します。電子工作の最初の一歩として定番で、警告灯や「動作中」表示、おもちゃの装飾にも広く使われます。

トーン・アラーム発生器:可聴域(数百Hz〜数kHz)に周波数を設定し、出力にスピーカーや圧電ブザーをつなぐと、ビープ音やアラーム音を出せます。コンデンサを小さく(0.01〜0.1µF)して周波数を上げるのがコツです。電子オルガンの音源、警報装置、タイマーの「終了ブザー」など、音を扱う回路の入門として使われます。

クロックパルス・PWM調光:555の出力をデジタル回路のクロック源として使えば、カウンタやシフトレジスタを駆動するパルスが得られます。またデューティ比が抵抗比で決まる性質を使い、LED調光やDCモータの簡易速度制御といったPWM(パルス幅変調)の用途にも応用されます。R1・R2 の比を変えることで明るさや回転数を調整します。

趣味・教育・産業のタイミング回路:555は1972年の登場以来、製造数が最も多いICのひとつとされ、いまも趣味の電子工作から産業機器まで広く現役です。本ツールのような周波数計算は、回路を組む前に部品定数を見積もる「設計の第一歩」として役立ちます。ブレッドボードで実測する前に、おおよその周波数とデューティ比を把握できます。

よくある誤解と注意点

まず多いのが、「デューティ比は50%にできる」という思い込みです。本ツールの式が示すとおり、基本の非安定回路ではデューティ比 D = (R1+R2)/(R1+2R2) で、必ず50%より大きくなります。充電は R1+R2 を通り、放電は R2 だけを通るためです。R1 を極端に小さく、R2 を大きくすればD は50%に近づきますが、原理上ちょうど50%にはなりません。きれいな50%方形波が必要なら、R1 にダイオードを並列接続して充電時に R1 をバイパスする回路にするか、出力を分周回路(フリップフロップ)に通して2分周する方法をとります。

次に、「計算式の周波数がそのまま実測される」と期待しすぎること。f = 1.44/((R1+2R2)C) はあくまで理想式です。実際にはコンデンサの容量公差(電解コンデンサで±20%以上もある)、抵抗の公差、温度ドリフト、555内部の放電トランジスタの飽和電圧などで、実測周波数は計算値から数%〜数十%ずれます。精度が必要な用途では、抵抗の片方を半固定抵抗(トリマ)にして実測しながら調整するか、温度特性の良いフィルムコンデンサを使ってください。タイミングコンデンサに電解コンデンサを使うと特にずれが大きくなります。

最後に、「555ならどんな抵抗・コンデンサ値でも動く」わけではない点。抵抗が小さすぎる(1kΩ未満)と、放電時に内部トランジスタへ過大な電流が流れて発熱・破損の恐れがあります。逆に抵抗が大きすぎる(1MΩ超)と、コンデンサの漏れ電流や555のしきい値端子のバイアス電流が無視できなくなり、発振が不安定になったり停止したりします。実用上は R1・R2 を 1kΩ〜1MΩ の範囲に収めるのが安全です。また高い周波数を狙うときは、555の出力の立ち上がり・立ち下がりが追従できる上限(標準品で数百kHz程度)にも注意が必要です。